雇用・定着に向け企業が知っておくべき『免疫機能障がい』について
障がい

2021年8月10日

雇用・定着に向け企業が知っておくべき『免疫機能障がい』について

ヒト免疫不全ウイルスによる免疫機能障害は内部障がいに分類され、身体障害者手帳1級~4級の対象となります。
現在では早期発見と通院、服薬により、長期にわたって今までと変わらない生活が送れるようになり、一般健常者と同じようにご活躍いただける方が多いです。
今回は、「免疫機能障害」の基本的な知識や採用時・就業上の配慮をまとめました。
 

目次

 

⑴障害説明


 

ヒト免疫不全ウイルス(= Human Immunodeficiency Virus)は「HIV」と略されます。
HIVは、免疫の司令塔の役割を持つ「CD4陽性Tリンパ球」という細胞に感染し、徐々に破壊していく特性を持っています。
これにより免疫機能が低下するのですが、いくつかの条件を満たすと手帳の申請が可能です。
 
また、HIVウイルスの感染により、通常の免疫力であれば問題ないような弱い病原体によって病気が発症した状態を「AIDS(エイズ)」といいます。
感染後、治療をせずにおくと数年~10年ほどでAIDSが発症するといわれておりますが、抗HIV薬の服薬によって免疫機能を維持することが可能です。
 
副作用や合併症、ほかの病気がある場合などを除けば、一般的には、1日1~2回の服薬と1~3カ月に1度の通院で、免疫機能が維持されている状態となります。
 

⑵感染について

HIVは日常生活のなかでは感染しません。
傷口や粘膜から感染する非常に感染力の弱いウイルスですので、体液(血液、精液、膣分泌液、母乳)と粘膜や傷口との接触(性行為、輸血、注射器具の共用など)がないと感染することはないのです。
 
例えば、以下の行為や状況も感染しません。
・飲食(同じ鍋をつつく、回し飲み)
・目の前で咳やくしゃみをされる
・汗や涙がとぶ
・お手洗いや手洗い場、風呂を共用する
・同じ蚊やダニに刺される
・握手、体が接触する  など
 
参考:障害者雇用マニュアル HIVによる免疫機能障害者の雇用促進
   (独立行政法人高齢・障害者雇用支援機構)https://www.jeed.go.jp/disability/data/handbook/manual/om5ru80000007i0m-att/om5ru8000000q7l2.pdf
 

⑶ 就業上の配慮・ポイント

就業上の主な配慮・ポイントは以下の3点です。
(1)通院配慮
(2)安全対策(感染リスクを避ける・出血事故の対処法の周知)
(3)障がい開示・社内理解
 
(1)通院配慮
個別の事情にもよりますが、合併症や強い副作用がない場合は約1~3カ月に1度の通院が必要となります。
指定日での通院が必須な場合が多いので、休みが取れるように配慮しましょう。
 
(2)安全対策(感染リスクを避ける・出血事故の対処法の周知)
本人への感染症罹患を避けるため、動物や様々な感染症患者と接する業務は注意が必要です。
また周囲へのHIV感染を防ぐために、カミソリや歯ブラシ、くし、タオルなど、血液が付きやすい日用品の共有は避けたほうが良いでしょう。
 
HIVに限った話ではありませんが、出血した場合の対処法を社員が正しく理解しておく必要があります。
・傷の処置や、血液の処理などは使い捨てのビニール手袋などを用いて直接触れないようにしましょう
・血液がついたガーゼやタオルなどを捨てるときはビニール袋にいれて、口をしばって捨てるようにしましょう
これは、周囲もご本人も守る手段で、HIV以外にも様々な感染症を防ぐことになります。
 
(3)障がい開示・社内理解
障がいについては、個人情報保護法における特定機微情報に該当し、本人の希望を確認した上で判断することになります。
本人が開示することを望まなければ、人事部門と上長(安全配慮義務上必要な関係者)にとどめましょう。
また開示する際は、情報開示の経路と範囲を定めて正しい情報を伝え、あわせて、職場の意識啓発を進めることも大事です。
情報を開示しても、しなくても本人が障がいの情報開示について不安に思ったときに相談できる相手を定めておきましょう。
 

⑷ 採用時の配慮・ポイント

採用時には、CD4の数値が安定しているか、通院の頻度、副作用や合併症で重いものはあるかを確認しましょう。
また、事前に開示範囲の希望も聞くことが大事です。
ただし、発症のきっかけなどの安全配慮上必要でない情報に関しては聞かないように注意しましょう。
 

まとめ

今回は免疫機能障がいについてお伝えいたしました。
就業上の配慮項目が少なく、一般健常者と同じようにご活躍いただけるご障がいです。
ぜひ積極的にご採用いただければと思います。
 
当社では『免疫機能障がい』をお持ちの障がい者の方からも、数多く転職のご相談を頂いております。
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