雇用・定着に向け企業が知っておくべき『音声・言語・そしゃく機能の障がい』について
障がい

2022年8月22日

雇用・定着に向け企業が知っておくべき『音声・言語・そしゃく機能の障がい』について

今回は、企業の障がい者採用、定着担当者や一緒に働く方々に知ってもらいたい『音声・言語・そしゃく機能の障がい』についてお伝えします。
原因や状態、言語獲得時期、経験、リハビリ状況などによって非常に個人差がある障がいなので、あくまで参考程度にはなりますが、
基本的な知識や就業上の配慮、業務や実際の雇用事例をまとめました。
 

目次

 

⑴ それぞれの障がいの基本知識と主な原因

(1)音声機能の障がい
何らかの理由で音声を発することができない、もしくは困難である状態です。
音声機能障がいの主な原因は、がんなどによる喉頭摘出、発声筋麻痺、唇顎口蓋裂の後遺症、先天的形状異常などです。
喉頭にがんができることは珍しいことではなく、罹患率は人口の約4%、男性は約7%にものぼります。
芸能人の方で、喉頭癌になった方には立川談志さん、林家木久扇さん、つんく♂さんなど多くの方がいらっしゃいます。
罹患し、喉頭を手術した方の一部は、手帳取得の対象となる場合がございます。
 
(2)言語機能の障がい
言語機能そのものが喪失している、もしくは、音声、言語のみを用いて意思を疎通することが困難な状態です。
言語機能障がいの主な原因は、ろうあ、失語症などです。
失語症の主な原因は脳梗塞、脳内出血などの脳血管障害や交通事故、転倒などによる脳外傷です。
大脳の言語をつかさどる部分が損傷されたために、話す・聞く・読む・書くことに影響がでます。
 
(3)そしゃく機能の障がい
経口での栄養摂取ができない、もしくは、それだけでは不足し経管での栄養摂取が必要な状態にあること、
あるいは、摂取する食物の内容に著しく制限がある(ゼリー状のものや、とろみのある半固形物のみなど)状態のことをいいます。
主な原因は、重症筋無力症などの神経・筋疾患、 延髄機能障がい、梢神経障がい、外傷、腫瘍切除、およびそしゃく・嚥下機能の低下です。

 

⑵ 就業上の配慮例

(1)音声・言語機能の障がい
口話などの音声でのコミュニケーションが難しいため以下の配慮が必要です。
・筆談(チャット、マニュアル、メール、ホワイトボードの活用)
・都度の聞き返しの対応
・大きい声、ゆっくりとした話し方、簡単な単語を使った話し方、身振り手振りを交えた話し方など本人が理解しやすい話し方をする
・電話対応をなくす配慮
・音声がクリアに聞き取りやすい環境(個室、パーテーション、複数人が同時に喋らないなど)づくり
・手話での対応
・五十音表を指さしでの対応
・視線での音声入力ツールの導入  など
 
最近は文字を入力すると音声で出力してくれるものや、音声を読み取って文字変換をしてくれる自動音声認識ツール(UDトークなど)などがでています。
場合によってはそれらのシステムや機械の導入も検討しましょう。
また、本人の発話が不明瞭な場合や、ゆっくりな場合、文章構成がうまくできない場合も焦らせることなく、プレッシャーをかけずに対応することが大切です。
言語面での障がいはコミュニケーションが少なかったり、情報が行き届かなかったりすることにより、2次障がいを引き起こす可能性があります。
本人の話を聞き、本人に情報を伝え、コミュニティの一員であるように、会社側としても努めましょう。
 
(2)そしゃく機能の障がい
食物をかんでのみこむことがむずかしいため、食事の形態に配慮が必要です。
以下のことに配慮しましょう。
 
・定期通院の配慮
・経管栄養摂取の時間の確保
・(経管栄養摂取の際の)スペースの確保
・飲み会や職場交流の機会の配慮
 
通院や経管栄養などにより、勤務時間が減る場合、周囲への理解や業務内容の調整も必要です。
人によっては、職場での配慮はほとんど必要のない方もいらっしゃいますので、まずはご本人の希望をヒアリングするようにしましょう。
 

⑶ まとめ

今回は『音声・言語・そしゃく機能障がい』ついてご紹介しました。
リモートワークが進んだからこそ、文字でのやりとりも増えたことと思います。
当社は、ご入社にあたっての業務や配慮の相談にものっております。
どんなご相談でも遠慮なくお申し付けください。
『音声・言語・そしゃく機能障がい』をお持ちの障がい者の方からも、数多く転職のご相談を頂いておりますので、お気軽にご相談ください。

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