障がい

2021年10月4日

障害者の職場定着率の現状・企業が知っておきたい障害者定着のために必要なこと

「障害者雇用促進法」の整備や「法定雇用率」の上昇などもあり、近年、障害者雇用促進の動きが高まっています。令和2年度の民間企業に雇用されている障害者の数は578,292人で、過去最高を更新しました。(17年連続更新)
 
企業に就職する障害者が増えている一方、就職したあとの『定着率』はどのくらいなのかご存じでしょうか?
今回は、障害者の職場定着率の現状と、企業が知っておきたい障害者定着のために必要なことをお伝えします。
 

*もくじ*

 

1.就業する障害者数の変化


冒頭でもお伝えしましたが、令和2年度の民間企業の雇用障害者数、実雇用率は過去最高を更新しました。

<実雇用率・雇用されている障害者数(令和2年)>
雇用障害者数:57 万 8,292.0 人 (対前年 3.2%増加)
実雇用率 :2.15% (対前年比 0.04 ポイント上昇)
※法定雇用率(当時)2.2%


出典:職業安定局「令和2年 障害者雇用状況の集計結果」(2021)
 
2021年3月より法定雇用率が2.2%から2.3%に引き上げられ、今後も段階的な引き上げが予想されることから、ますます就業する障害者が増加することでしょう。
 

2.知っていますか?障害者雇用の定着の現状

①定着率

働く障害者の数が増加している一方で、障害者の職場定着率はどうなっているのでしょうか。
独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構 障害者職業総合センターの2017年「障害者の就業状況等に関する調査研究結果」を見てみると、障害者雇用の職場定着にはまだまだ課題がありそうです。

出典:独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構 障害者職業総合センター「障害者の就業状況等に関する調査研究結果」(2017)
 
グラフでは身体障害・知的障害・精神障害・発達障害の4つの結果に分けています。
知的障害や発達障害の職場定着率が比較的安定しているのに対して、特に、精神障害は1年後定着率が50%を切るなど、職場定着が困難な人が多い状況となっています。
 
<補足>
この集計には『一般求人』と『障害者求人』の両方が含まれています。
下グラフを見て分かるように、知的障害者と発達障害者は約8割が『障害者求人』で採用されているのに対して、身体障害者と精神障害者の『障害者求人』での採用は約5割に留まっています。つまり、身体障害者と精神障害者は、障害のない方と同じ条件で雇用をされる『一般求人』での採用が多く、その離職率が高くなっているといえるでしょう。

出典:出典:独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構 障害者職業総合センター「障害者の就業状況等に関する調査研究結果」(2017)
 
『障害者求人』のみに限定しての定着率は以下となっており、全体を通して比較的安定した定着率と言えます。しかし、それでも

身体障害者と精神障害者の定着率は他の障害者より少し低い傾向が見られます。

<職場定着率>
・発達障害者
  3か月後:92%、1年後:79.5%
・知的障害者
  3か月後:91.2%、1年後:75.1%
・身体障害者
  3か月後:86.8%、1年後:70.4%
・精神障害者
  3か月後:82.7%、1年後:64.2%

 

②離職理由

厚生労働省職業安定局が2017年9月に発表した「障害者雇用の現状等」によると、以下のような結果になっています。

<離職理由(身体)>
1位:賃金・労働条件に不満
2位:職場の雰囲気・人間関係
3位:仕事内容が合わない
 
<離職理由(精神)>
1位:職場の雰囲気・人間関係
2位:賃金・労働条件に不満
3位:仕事内容が合わない、疲れやすく体力意欲が続かなかった


 

3.職場定着のために企業側に必要なこととは?


それでは、障害者の職場定着のために必要なことは何でしょうか?以下4つの項目を参考にしてみてください。
 

①制度を整える

まずは障害を持っている社員を受け入れるにあたって、社内の制度を整えることです。
とりわけ、『能力に応じた評価/昇進/昇格制度』と『調子が悪い時に休みがとりやすい環境』が重要となります。
この2項目は、厚生労働省職業安定局が発表した『平成25年度障害者雇用実態調査結果』の中で「職場における改善等が必要な事項」において上位に挙がっています。
 

<社内制度の例>
・評価/昇進/昇給制度
・有給休暇・傷病休暇の日数
・フレックスタイム制度、時短勤務制度、在宅勤務制度
・時間単位の有給休暇
・休職・復職のサポート体制の整備
・メンターやOJTコーチ制度の構築

 

②職場内の協力体制・職場理解

続いて必要なことは『職場の協力体制の構築』と『職場の理解を得ること』です。
障害者が働く環境は、必ずしも人事担当の近くとは限りません。
障害者が実際に働く職場での理解を得ることで、多方面からのサポートが可能になります。

<理解を得るためのポイント>
・雇用、配属の目的の周知
・必要な配慮内容の共有(できること/できないこと)
・本人とのコミュニケーション方法、留意点の伝達
・緊急時の対応の把握 等

 

③コミュニケーションの強化

前述の障害者の離職理由の上位に「職場の雰囲気・人間関係」が挙げられています。これは、精神障害者で1位、身体障害者で2位となっており、離職理由の中でも大きな要因となっています。
こうした職場の雰囲気・人間関係の悪化は『コミュニケーション不足』であるケースがほとんどです。
言葉足らずや遠慮によるコミュニケーション不足で本人が疎外感を感じてしまい、そこから誤解が生まれ、本人の不調や離職につながることもあります。
 
これらを防ぐためにも、コミュニケーションを強化することが大切です。
具体的には以下のポイントを押さえましょう。

<コミュニケーションのポイント>
・事前に共有された配慮項目を心がける
・遠慮をしない、腫物に触るような態度で接しない
・健常者と同様に、障害者もそれぞれの個性があることを理解する

 

④支援機関との連携

障害者の定着を進めていくときに、支援機関を活用することもおすすめです。採用された障害者の多くは、職場で働くことを不安に感じています。このようなときに、第三者的な立場である支援機関からのサポートを受けることで、本人だけでなく、企業側の利益を守ることができます。

<支援機関例>
・障害者就業・生活支援センター(なかぽつ)
就業と、就業に伴う日常生活上の支援が必要な障害者に対し、求職相談、職場定着相談、生活相談を行う。事業主に対しては、雇用管理にかかわる助言、職場の環境改善などの支援も行う。
・地域障害者職業センター
障害者に対する専門的な職業リハビリテーションサービス、事業主に対する障害者の雇用管理に関する相談・援助、地域の関係機関に対する助言・援助を行う。
 専門職員として厚生労働省の定める研修・試験を修了した障害者職業カウンセラーがいるほか、相談支援専門員、ジョブコーチ等を配置。
・就労移行支援事業所
 就労を希望する障害者に対し、一般企業への就職をサポートする通所型の事業所。就労に必要な知識の提供、職業訓練、職場探し、就職後における職場への定着支援や相談などを行う。

 

4.まとめ


企業に採用される障害者の数は年々増加している一方で、障害者の職場定着(特に精神障害者)には課題があります。
離職の原因となるのは『会社制度』と『職場の雰囲気・人間関係』が多く、企業側は会社制度を整備しつつ、コミュニケーションを強化していくことが大切です。
 
セントスタッフでは色々なスキルを持った障がい者の方も登録いただいております。
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