企業における障がい者の法定雇用率上昇について
障がい

2021年2月18日

企業における障がい者の法定雇用率上昇について

(1)障害者の法定雇用とは…?

従業員に占める障がい者の割合を一定以上にするよう、障害者雇用促進法43条第1項により定められています。
民間企業の法定雇用率は2021年2月1日現在で2.2%です。
従業員を45.5人以上雇っている事業主であれば、障がい者の雇用義務があることになります。
また、ここでいう従業員とは「常用労働者」を指しており、正社員のほかに、1年間以上雇用されているもしくは1年以上雇用すると見込まれる労働者も含まれます。
つまり、この条件に当てはまるアルバイトやパート、契約社員、派遣労働者(派遣元、雇用主が適応)などを雇用している企業様も対象となり、すべて含めてカウントを行う際の母数となります。

(2)法定雇用率の上昇の背景

2021年3月1日に、この「法定雇用率」が2.3%になり、0.1%引き
上げられることになりました。
これは2018年4月1日施行の「改正障害者雇用促進法」が2021年2月末までは経過措置扱いになっていたことが原因です。
経過措置期間の終了に伴い民間企業は2.3%国・地方公共団体2.6%までの引き上げが実施されます。
厚生労働省は当初、「2021年1月1日」を法定雇用率の引き上げ時期としていましたが新型コロナウイルス感染症の影響を受け、これを後ろ倒しとし「2021年3月1日」に変更しました。

(3)実際どのように変わるの…?

2021年3月1日から以下のように変更になります。

【民間企業の法定雇用率】  2.2%⇒2.3%
【対象となる事業主の範囲】 従業員45.5人以上⇒従業員43.5人以上

このため、従業員が43.5人~45.5人の企業様は気を付ける必要はあり
ます。また、必要なカウント数も変わってきます。

(4)法定雇用率を下回るとどんな影響・罰則があるの…?

主には以下のの3点があります。

■行政指導

法定雇用率が達成できていない企業は、雇用義務を履行していないとみなされ、ハローワークによる行政指導が入ります。
まずは「雇入れ計画作成命令」が出され計画を作成することになります。
加えて、計画の実施ができていない企業には、「勧告」や「特別指導」が行われます。

■納付金の支払い

常用労働者が100名をこえる企業では、不足カウントに応じて「納付金」を払わなければなりません。
雇用している障害者手帳保持者が、法定雇用率に対して1名不足するごとに1カ月に5万円が徴収されます。
反対に、上回っている企業には「調整金」のかたちで1カ月に2万7千円の支給があります。

■社名の公表

「雇入れ計画に対する勧告」に従わない事業主についてはその旨を厚生労働大臣が公表することがあります。
具体的には、障がい者の雇用状況が特に悪くて、改善する姿勢がみられない企業名を毎年公表しています。

行政指導も納付金の支払いも企業にとっては避けたいところです。
しかし、企業人事、特に、消費者と直接かかわっている企業や株式を公開している企業が恐れているのは「社名の公表」かと思われます。
社名公表となると企業イメージを損ね、不買運動にもつながりかねません。
取引や採用活動に影響がでることも、十分考えられます。
企業の社会的責任やSGDsなど、企業の社会的な意義への関心が高まっている昨今ですので、企業名公表の悪影響はより大きくなっていると考えられます。

(5)まとめ

今回の引き上げに伴い、新たに雇用義務がある企業人事様は準備が必要です。
また、雇うべき数に変更がないか、余裕を持って採用できているかを確かめておきましょう。

セントスタッフでは障がい者雇用に関して、業務の切り出しの相談から助成金の導入まで幅広くご相談にのっております。
この法定雇用率上昇を機会とし、障がい者採用の従業員確保に動かれた企業様も多くいらっしゃいますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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