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2022年7月7日

【最新版】保育士の給料事情をチェック!平均給与額のほか、手当や処遇改善等加算についても紹介

待機児童問題などで需要が高まっている保育士ですが、世間的には給料が低いと言われています。
保育士として働く人やこれから保育士を目指す人の中には、働き方や平均的な給料、キャリアアップなどについて気になる方も多いのではないでしょうか。
この記事では、保育士の給料事情や給料を上げるために取り組まれている処遇改善、受けられる手当などについて詳しくご紹介します。

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1. 【最新版】保育士の給料事情


まずは保育士の給料事情について、平均額などさまざまな観点から見ていきましょう。

■【令和3年度】保育士の給料の平均額


賃金構造基本統計調査」によると、企業規模計10人以上の場合、令和3年度における保育士の平均給与額は25万6,500円、年間の平均賞与などは74万4,000円です。

給与額と賞与などを合わせて換算すると、全国の保育士の平均年収は382万2,000円となっています。
保育士の一般労働者と短時間労働者、臨時労働者それぞれの給与額は下記の通りです。

保育士(男女) 平均給与額 年間の賞与など 全国の保育士の平均年収
一般労働者 256,500円 744,000円 3,822,000円
短時間労働者 191,840円 89,000円 2,391,080円
臨時労働者 182,400円 0円 2,188,800円

なお、平均給与額は社会保険料や所得税などを控除する前の金額です。

■直近5年間の平均額の推移

令和3年度から平成29年度の直近5年間を参考に、保育士の平均給与額の推移を見ていきましょう。

保育士(男女計) 平均給与額 年間の賞与・特別手当など 全国の保育士の平均年収
令和3年度 256,500円 744,000円 3,822,000円
令和2年度 249,800円 747,400円 3,745,000円
令和元年度 244,500円 700,600円 3,634,600円
平成30年度 239,300円 707,700円 3,579,300円
平成29年度 229,900円 662,500円 3,421,300円
出典:賃金構造基本統計調査

上記を見ると、5年間で保育士の平均年収は約40万円上がったことがわかります。
理由としては、待機児童問題の解決に向けて保育士の需要が上がり、保育士の待遇が改善されたことなどが考えられるでしょう。

■男女別の給料の違い

性別によっても保育士の給料に違いがあります。

平均給与額 年間の賞与など 全国の保育士の平均年収 労働者数
女性保育士 249,100円 741,900円 3,731,100円 230,690人
男性保育士 275,000円 784,800円 4,084,800円 11,400人
出典:賃金構造基本統計調査

女性保育士の平均年収約に対し、男性保育士の平均年収が高い理由ですが、給料の高い役職についている男性保育士以外が少ないため、平均を押し上げていることが考えられます。

■年齢別の給料の違い

年齢別の給料の違いは下記の通りです。

保育士(男女計) 平均給与額 年間の賞与・特別手当など 全国の保育士の平均年収
20〜24歳 221,400円 468,300円 3,125,100円
25〜29歳 242,900円 710,800円 3,625,600円
30〜34歳 254,800円 744,600円 3,802,200円
35〜39歳 268,800円 838,600円 4,064,200円
40〜44歳 264,700円 807,300円 3,983,700円
45〜49歳 279,700円 855,300円 4,211,700円
50〜54歳 283,500円 941,300円 4,343,300円
55〜59歳 275,500円 876,700円 4,182,700円
出典:賃金構造基本統計調査

■都道府県別の給料の違い

続いて、保育士の平均年収が高い都道府県のうち、上位5つをご紹介します。

全国の順位 都道府県 平均給与額 年間の賞与・特別手当など 全国の保育士の平均年収数
1位 東京都 298,600円 897,400円 4,480,600円
2位 愛知県 287,800円 828,400円 4,382,000円
3位 新潟県 293,100円 858,400円 4,375,600円
4位 奈良県 281,100円 961,700円 4,334,900円
5位 広島県 276,200円 844,100円 4,158,500円

平均給与が最も高いのは東京都で、最も低い島根県と比較するとおよそ140万円程の差があります。
保育士の平均給料に差が出る理由は、まず都道府県ごとに給与水準が異なることが挙げられるでしょう。
加えて、保育士は「厚生労働省の分類」において第2種社会福祉事業に位置付けられるため、市区町村の施策によって給与や手当などが異なるためです。

・都市圏で保育士として働くメリット

園によっては社宅として住居を提供したり、引っ越しの際に必要な費用を負担したりする場合もあります。
特に都市部で多く、人口の増加に伴い保育士の需要も高まっていることから、このような好条件を提示することで保育士を獲得しようと考える保育施設が増えているためです。
実際に、首都圏の保育施設の家賃補助や福利厚生といったメリットに魅力を感じて、上京する保育学生もいます。

・地方で保育士として働くメリット

一方、地方の保育施設では敷地が広くゆったりと働けることや、ベテランの保育士がいることが多いなどが主なメリットとしてあげられます。
さらに、通勤ラッシュを回避できるのもメリットでしょう。
広い敷地でのびのびと働けることなどにメリットを感じ、地方で就職・転職する保育士もいます。

■役職ごとの給料の違い

保育士は役職によっても給料に違いがあります。
保育施設の主な役職は、園長(施設長)と主任保育士で、それぞれの給料の違いは下記の通りです。

私立保育所/常勤 1人当たり給与月額(賞与込み) 1人当たり年収(賞与込み)
園長 565,895円 6,790,740円
主任保育士 422,966円 5,075,592円
保育士 301,823円 3,621,876円

当然、役職が上がるごとに給与は大きく変わりますが、給与だけでなく、仕事や責任も増えます。
園長の仕事は保育の最終判断はもちろん、保育施設を運営する経営面や行政とのやりとり、保護者対応、シフト管理など多岐にわたります。
一方、主任保育士は園長の補佐役と、現場の保育士をまとめるのが主な仕事。保育施設の運営面で園長をサポートしながら、現場の保育士の指導も行います。

参考:令和元年度幼稚園・保育所・認定こども園等の 経営実態調査集計結果

■常勤と非常勤の給料の違い

常勤保育士と非常勤保育士の給料の違いは下記の通りです。

平均給与月額(賞与込み) 平均平均年収(賞与込み)
常勤保育士 301,823円 3,621,876円
非常勤保育士 187,816円 2,253,792円

給料だけを比較すると非常勤保育士の給料は少なく感じますが、持ち帰りの仕事や残業がないことが大きなメリットです。
勤務時間中の非常勤保育士の主な業務は、保育補助やフリーの担任として担任保育士のサポートを行います。

参考:令和元年度幼稚園・保育所・認定こども園等の 経営実態調査集計結果

■施設形態ごとの給料の違い

施設形態ごとの給料の違いは下記の通りです。

施設形態 1人当たり給与月額(賞与込み)
私立認可保育園 301,823円
公立保育園 303,113円
公立認定こども園 287,181円
小規模保育 291,775円
事業所内保育 238,168円

施設形態ごとの給料を比較すると、公立保育園が最も高いことがわかります。
公立保育園に勤務するには公務員保育士試験に合格する必要がありますが、給料面に魅力を感じて公立保育園の保育士を目指す人も多いでしょう。

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2. 保育士の給料が安いと言われる原因は?


ここでは、保育士の給料が安いと言われるさまざまな原因をお伝えします。

■公定価格の存在

公定価格とは、保育園を運営するにあたって、国が必要であると定めた費用のことです。
子ども1人を単価とし、1~3号までの子どもの区分・定員数・年齢・施設の所在地などの地域区分によって、各保育園の事業費・管理費・人件費などが、どの程度必要なのかを定めています。
つまり保育園は、たとえ民間の私立保育園であっても、主に政府から支給される公定価格で運営されているのです。
そのため、事業費・管理費などの必要経費を引くと、人件費にかけられる金額はわずかしか残らず、保育士の働きが給料に反映されづらくなっています。

■仕事量が多い

保育士は就業時間内に仕事が終わらず残業が続いたり、持ち帰りの業務が発生したりするなど、仕事量が多いにもかかわらず賃金が低いと指摘されています。
人手不足の園では特に業務が多いため、「休みが取りづらい」「早く帰れない雰囲気がある」など負担を感じることが多く、仕事量に対して給料が見合っていないと感じている保育士も少なくありません。

■保育士の給料は今後上がる?

保育士の処遇改善としては、2022年2月より収入を3%(月額9,000円)引き上げるための措置が実施されました。
実施期間は2022年9月までとされていましたが、2022年10月以降は公定価格の見直しにより、2022年9月までと同様の給料の補助を行うとしています。
ただし、役員を兼務する施設長や土曜保育など、通常の保育以外のみの業務に携わる職員は対象外となるため、注意しましょう。

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3. 保育士の給料を上げるための処遇改善等加算とは?


続いて、保育士の給料を上げるための処遇改善等加算Ⅰと処遇改善等加算Ⅱについて、それぞれ詳しくご説明します。

■処遇改善等加算Ⅰ

2015年に始まった「処遇改善等加算Ⅰ」は、非常勤職員を含むすべての職員が処遇改善の対象となっており、施設の平均勤続年数によって加算率が上がる制度です。

● 基礎分
● 賃金改善要件分
● キャリアパス要件分

以下でそれぞれの要素を見ていきましょう。

・基礎分

基礎分とは、職員の平均勤続年数に応じて賃金に2~12%上乗せされる仕組みのこと。
施設の平均勤続年数は以下の方法で算出されます。

「対象となる全職員の勤続年数の合計値」÷「対象となる職員数」=平均勤続年数

・賃金改善要件分

基準となる年度の賃金水準に対して改善を行なった施設限定で、勤続年数が11年未満の場合は一律5%、11年以上の場合は一律6%が加算される仕組みです。
賃金改善計画書と実績報告書を提出することで定率加算されます。

・キャリアパス要件分

キャリアパス要件分は賃金改善要件分に含まれるもの。
具体的には下記のものが加算の要件として設定されています。

● 役職や職務内容に応じた勤務条件の設定
● 資質向上を目的としたキャリアアップ研修など
● 計画に沿った研修の実施や研修機会の確保、職員への周知

これらの要件を満たしていない保育施設の場合、賃金改善要件分の加算額からマイナス2%される仕組みです。

参考:施設型給付費等に係る処遇改善等加算Ⅰ及び処遇改善等加算Ⅱについて

■処遇改善等加算Ⅱ

「処遇改善等加算Ⅱ」は、約3年以上の保育士経験をもつ職員を対象とする制度のこと。
管理職クラス以外に新たに職務分野別リーダー・専門リーダー・副主任保育士という中堅の役職を置き、目指す役職に応じたキャリアアップ研修を受講することで、月額5,000円または月額4万円の手当を受けることができます。

キャリアアップ研修の分野は下記の8つです。

1. 乳児保育
2. 幼児教育
3. 障害児保育
4. 食育・アレルギー
5. 保健衛生・安全対策
6. 保護者支援・子育て支援
7. 保育実践
8. マネジメント

・月額5,000円の処遇改善の内容

月額5,000円の処遇改善は、下記の要件を満たす職務分野別リーダーや若手リーダーが対象です。

● 保育経験がおおむね3年以上
● 先述したキャリアアップ研修分野の1~6のいずれかを修了
● 担当分野において職務分野別リーダーを務めていること

・月額4万円の処遇改善の内容

月額4万円の処遇改善は、下記の要件を満たす副主任保育士や専門リーダーが対象です。

● 保育経験がおおむね7年以上
● 職務分野別リーダーを経験し、副主任保育士や専門リーダーの役職を務めていること

上記2つの共通要件に加え、副主任保育士の場合はマネジメント研修と先ほどご紹介したキャリアアップ研修分野のうち3つ以上の研修を修了する必要があります。
また、専門リーダーの場合は専門分野の研修修了が4つ以上必要。

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4. 保育士の手当について


保育士がもらえる手当には、「保育園が実施する手当」と「国や自治体が実施する手当」があります。
ここでは、それぞれの手当についてご紹介します。

■保育園が実施する手当

保育園が実施する手当の対象には、常勤だけでなく非常勤保育士も含まれますが、すべての保育園が手当を設定しているわけではありません。
さらに、手当の支給額も保育園によって異なるため、事前に調べておくとよいでしょう。

・住宅手当

住宅手当は保育業界に限らず一般的な福利厚生の一つです。
独身の方や賃貸住まいの方に支給されることが一般的ですが、持ち家の場合や家族と同居の場合でも支給されるケースもあります。
支給額は保育園によってさまざまですが、1万円前後が多いようです。
ただし、保育園によって支給条件や支給額が異なるため、確認しておくことをおすすめします。

・職務手当

職務手当とは、園長や主任保育士、専門リーダーなど特定の職務に対して支払われる手当のこと。
必要とされる資格や技術、責任などに応じて支給されます。
職務手当の支給によって、それぞれの役職に就くことを目標に、長く勤めようと考える保育士が増えることが期待されているようです。

■国や自治体が実施する手当

国や自治体が実施する手当もあり、国から保育園へ支給されたあと、保育士に支給する流れです。

・保育士宿舎借り上げ支援事業

保育士宿舎借り上げ支援事業は、保育士向けの家賃補助制度の一つ。
保育施設がアパートやマンションを保育士の宿舎として契約した場合、保育施設が支払う家賃に対して、市区町村や国が補助金を支給。
そのため、毎月の給料に上乗せして補助金を支給する住宅手当とは異なり、毎月の家賃そのものが軽減される制度です。

・保育士就職準備金貸付

潜在保育士の再就職支援を目的として、保育士就職準備金貸付制度が実施されています。
貸付の対象は、保育士登録から1年以上経過しているにもかかわらず保育士施設での勤務経験がない方や、離職後1年以上経過した方のうち、新しく週30時間以上働くことが決まっている保育士です。
1回に限り20万円以内が無利子で貸付けられ、自治体内の該当保育施設で2年継続して従事することで、貸付金の返還が免除される仕組みになっています。

・未就学児をもつ保育士に対する保育料の一部貸付事業

未就学児を育てる保育士に対し、子どもを保育施設に預ける際にかかる保育料の一部を貸付ける制度もあります。
具体的には、保育所などで週20時間以上勤務する保育士が、保育施設で勤務する期間(上限1年間)に、保育料の50%(上限は月額2万7000円)が無利子で貸し付けられるという制度です。
主に潜在保育士の再就職支援を目的として実施されています。

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5. まとめ

世間的には給料が低いと言われている保育士ですが、近年では保育士の給料を上げるためのさまざまな取り組みが行われています。
実際に令和3年度までの直近5年間で保育士の平均年収は約40万円上がっており、今後も公定価格の見直しがされることから、さらなる処遇改善が進められるでしょう。
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