3歳頃に見られる発達障害の特徴とは?8つに分けてそれぞれ紹介
子どもが3歳頃になると、「他の子どもと比べて発語が遅い」「集団生活が苦手」などの症状が現れる場合があります。
もしかすると、発達障害ではないかと気になる方もいらっしゃるのではないでしょうか?
本記事では、3歳で見られる発達障害の特徴を紹介します。発達障害の種類や原因も解説しますので、参考にしてみてください。
1. 発達障害とは
発達障害とは、生まれつき脳機能の発達がアンバランスで、周囲の環境や人間関係にうまく馴染めず、社会生活上で支障をきたす障害のことです。
以下では、発達障害の種類や原因、3歳で発達障害と断定できるか否かについて詳しく解説します。
■発達障害は大きく分けて3種類ある
発達障害には、大きく分けて3つの種類があります。
・自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害(ASD)
自閉スペクトラム症または自閉症スペックトラム障害は、自閉症やアスペルガー症候群、広汎性発達障害などの総称です。コミュニケーションをとるのが苦手だったり、強いこだわりをもっていたりするのが主な症状としてあげられます。なかには、手先が不器用なほか、感覚刺激に敏感・鈍感などの症状がみられる場合もあります。
・ADHD(注意欠如・多動症/注意欠如・多動性障害)
ADHDは、不注意な行動や多動が強く見られる発達障害で、主に「不注意」「多動性」「衝動性」の3種類の特徴があります。それぞれの症状の現れ方は子どもによって異なり、不注意と多動・衝動のどちらかが優位な場合や、混合している場合などさまざまです。
・学習障害(LD)
学習障害は限定性学習症とも呼ばれ、知的障害はないものの、数字の計算や文字の読み書きなどの学習機能が正常に働かなくなる発達障害です。ASDやADHDを伴うケースも多く、本人が頑張って勉強しても周りの学習についていけないことがあります。
■発達障害の原因
発達障害のはっきりとした原因は判明していません。現時点では、生まれつき脳の機能に違いがあることで行動や学習機能、情緒に影響があることのみ解明されています。
ただし、同じ診断名であっても症状の個人差が大きく、同じ障害でも年齢や環境によって発症する症状が異なることがほとんどです。
■3歳で発達障害と断定することは難しい
専門の医療機関であっても、3歳の時点で発達障害と診断するのは難しい場合がほとんどです。
そのため、3歳から発達障害を心配する必要はありませんが、子どもの特徴に早期に気付き、適切なアプローチをすることは、発育によい影響を与えるでしょう。
過剰な反応は子どもが周囲と自分を比較して自己否定に陥ることもあるため、まずは受け入れて認めてあげることが大切です。
2. 3歳頃に見られる発達障害の特徴
以下では、3歳頃に見られる発達障害の主な特徴を8つ紹介します。
■話さない
3歳くらいになっても「言葉を話さない」「2語文以上の言葉が出ない」という場合、自閉スペクトラム症が疑われます。
たとえば、「ママ、どこ」「ワンワン、いた」などの2語文から、「ママ、ジュース、どこ」「大きい、ワンワン、いた」などの3語文以上で文を作れるかどうかを少しずつ確認してみましょう。
■味やにおいに敏感
食事のにおいで気持ち悪くなったり味が濃く感じてしまったりするのも、感覚の偏りによる発達障害の特徴のひとつです。
単なる好き嫌いではなく、本人の意思ではどうにもならないため、「好き嫌いをしない」と叱らないよう注意しましましょう。むやみに叱ると食欲の低下につながってしまい、楽しく食べられなくなってしまうかもしれません。
■音や触感に敏感
発達障害の子どもには、他の人が気にならないような小さな音でも、大きく響き渡るように聞こえる場合があります。
突然の大きな音に、パニックを起こすこともあるほど音に敏感なケースも少なくありません。また、服の縫い目が気になって仕方がないなど、触感に敏感なことも発達障害の特徴のひとつです。
パニックを起こしてしまった場合は、まずはご自身が落ち着いて「どうしたの?」「大丈夫だよ」などと、声を掛けてあげるとよいでしょう。服の縫い目が気になるようでしたら、気になる箇所を取り除いてあげることで落ち着くかもしれません。
■1人で遊ぶことが多い
発達障害の子どもは、おもちゃの貸し借りや「ありがとう」などのやりとりができず、1人で遊ぶことが多いのも特徴のひとつ。
また、順番を待つなどのルールを理解することが難しい場合もあります。
支援が必要であれば、親が声をかけてあげる、保育士が声をかけてあげるなど、落ち着いて対応してみてはいかがでしょうか。
■特定のものへのこだわり
特定のものへのこだわりが強く、駅名や車の名前など特定の物事についてすべて覚えていることがあります。
また、ルールを一度覚えるとそのルール通りでないと落ち着かず、急な変更や予想外のハプニングに対応できないこともあります。
自分のペースを最優先にすることがあるため、周囲とうまく馴染めないケースもあります。
ハプニングが起こったときは、落ち着けるスペースで丁寧に優しく接してあげるといいでしょう。また、特定のもの=好きなものなので、その興味の対象をさらに好きになるように、否定せず積極的に触れさせてあげてもいいかもしれません。
■同じ動きを繰り返す
通路を行ったり来たりする、くるくる回るなど、同じ行動を繰り返す「常同行動」をすることがあります。
常同行動は、自分の要求をうまく伝えられない際や、精神的な安定を求める際に発症するとされています。こうした症状が出た場合は、子どもの気持ちとしっかり向き合いましょう。
■じっとしているのが苦手
発達障害の特性をもつ子どもは、じっとしていることが苦手なため、椅子に座っているときも体を揺らしたり歩き回ったりします。
加えて、無意識に一方的に話し続けることがよくあるのも特徴の1つです。ですが、そういった行為に対しては叱ったり、無理に止める必要はありません。あまり叱られ過ぎると、追い詰められてしまい、自信を喪失してしまうことも。
そうした行動があまり見られず、落ち着いて過ごすことができたときには、必ず褒めてあげましょう。親御さんや保育士もつらいですが、一番つらいのは本人のはず。前向きな気持ちになれるよう、積極的に声掛けしてみましょう。
■パニック(かんしゃく)を起こす
発達障害の特徴がある子どもは、予期せぬハプニングなどに遭遇すると、どうしてよいかわからずパニックに陥ってしまうことがあります。
急な光や音などに反応してパニックになることもあるため、冷静に対応してあげることが大切です。
3. 子どもが発達障害かも、と思ったら
発達障害が疑われる場合は、まずは地域の発達相談機関へ相談しましょう。
発達障害の症状が見られるものの、診断の基準には満たない場合は、経過観察を行なったり療育施設に通ったりする場合もあります。そのため、まずは発達検査や発達相談を受けた後に、医療機関を受診しましょう。
4. まとめ
3歳児の段階では、発達障害であるかどうかを判断することは難しいため、慎重な判断が必要になります。
まずは、発達障害の特徴をきちんと理解し、心配な場合は地域の相談機関に相談しましょう。