自然遊びが保育に与える影響は?自然に触れる・感じる遊びの例を紹介
「自然遊びは子どもにどんなメリットがあるの?」「どういう風に子どもとかかわればいい?」と考えたことはありませんか?本記事では、保育に欠かせない自然遊びを通じて育まれる7つの力や自然を感じられる遊び3選、そして自然遊びにおける保育者のかかわり方について紹介します。
自然を通じて子どもたちにどんな経験をさせるべきか迷っている方は、ぜひ参考にしてみてください。
1. 保育に欠かせない「自然遊び」とは
「自然遊び」とは、身近にある自然と触れ合い、変化を楽しんだり五感を使って感じ取ったりしながら、さまざまなことを学べる遊びです。落ちている木の枝や葉っぱで何か作ったり泥遊びをしたり、どんな虫がいるのか観察するのも保育活動の一貫と言えます。 土や水、草花、昆虫などを子どもたちと一緒に探して、自然を体験していきましょう。
無料会員登録はこちら2. 自然に触れる遊びを通して育まれる7つの力
ここでは、自然遊びをすることで子どもたちの中で育まれる7つの力について解説します。
- 自然界への探究心
- 自然は美しいと思う感性
- 向き合おうとする問題解決力
- 固定観念にとらわれない想像力
- 生きものへの責任能力や愛着心
- 五感と基礎体力
- 協力するコミュニケーション能力
■自然界への探究心
自然に触れることで、楽しく遊びながら理科的な知識を学べるのも大きな魅力です。大人が当たり前と思っているようなことを、子どもたちは自然遊びを通じて知識として身につけます。
たとえば、水の流れを知るために砂で作った道に水を注いでみたり、石や木の浮沈を観察したりすることで、子どもは自分で発見する楽しさを実感できるでしょう。また、天候が変化したり草花が成長したりする理由に興味をもつこともあるかもしれません。
■自然は美しいと思う感性
自然の中に身をおくことで安らぎや安心感のほか、緑に囲まれた環境や四季折々の季節を美しいと感じる感性が養われます。
自然の美しさを直接体験することにより、不安やストレスからも解放されるでしょう。また、自然遊びは季節の変化を観察できる機会でもあります。
自然の中での遊ぶことは、子どもの心を豊かにして自然への興味関心や感性を育むため、重要な役割があると言えるでしょう。
■向き合おうとする問題解決力
子どもたちが疑問をもったとき、それは考える力を育む絶好の機会でもあります。
何かを聞かれたらすぐに答えを教えるのではなく、「どうしてだと思う?」と聞き返してみてください。そうすると、子どもは自分なりに調べたり考えたり、試行錯誤して考えます。
たとえば、知らない昆虫や草花を見つけて「名前を知りたい!」と思ったら、すぐに自分で図鑑を手に取るようになるでしょう。わからないことに向き合う思考力や問題解決力は、学習や日常生活の中でも役立ちます。
■固定観念にとらわれない想像力
木の枝や草花、石などを使って見立て遊びをすることで、固定観念にとらわれない想像力が育まれます。
自然は子どもたちにインスピレーションを与え、同時に新しい遊びや想像の世界を創り出す場所となるでしょう。子どもたちは遊びながらいろいろなことを考えているので、自然遊びを通じて成長につながるきっかけも得られます。
■生きものへの責任能力や愛着心
自然の中では、さまざまな生きものに出会う機会があります。
生きものに接すると「かわいい」「おもしろい」「怖い」「触りたい」などの感情が生まれるでしょう。たとえば、虫や鳥に食べものや水をあげれば、子どもたちは責任感を覚えます。そして、成長過程への関心や愛着心も生まれ、命の大切さについて考えるきっかけにもなるでしょう。
■五感と基礎体力
子どもは自然の中で身のこなし方を学びます。
山登りや川泳ぎなどで基礎体力が養われ、美しい景色を見ながら、鳥のさえずりを聞いたり木の質感に触れたりすることで、五感が磨かれるでしょう。
また、木登りや山道などで凸凹した道を進めば体力がつくだけでなく、バランス感覚も養われます。自然遊びは保育に不可欠であり、活動や体験を通じて心身ともに成長できる遊びと言えるでしょう。
■協力するコミュニケーション能力
他者と協力する重要性について知り、コミュニケーション能力を身につけるきっかけにもなります。
自然の中で友達と一緒に木を登ったり、花や草を摘んだりすることもあるでしょう。子どもは自分たちで役割分担や意思決定、コミュニケーションの重要性を学び、目標を達成するために協力し合うことで、チームワークと協力心を育みます。
3. 自然を感じる遊びの例
保育の現場で取り入れやすい、自然を感じられる遊びの例を紹介します。今回紹介するのは以下の3つです。
- 生きものに触れる自然遊び~カタツムリの観察~
- 植物の自然遊び~葉っぱのじゃんけん~
- 氷を使った自然遊び~氷の指輪~
■生きものに触れる自然遊び~カタツムリの観察~
カタツムリなど虫の観察は、自然遊びの代表例とも言える自然遊びです。
【用意するもの】
- カタツムリ
- 野菜(ニンジン・きゅうり・葉物など)
- 透明な瓶
- ラップ
- つまようじ
- 輪ゴム
【観察の仕方】
- 公園などでカタツムリを探す
- 見つけたら瓶にカタツムリと野菜を入れる
- 瓶にラップをして輪ゴムで留め、つまようじで穴を開ける
- 翌日、カタツムリの様子を観察する
【ポイント】
- カタツムリはどんな野菜が好きか、どんな色のウンチが出たかなどを観察してみましょう。
■植物の自然遊び~葉っぱのじゃんけん~
植物を使った自然遊びは、虫が苦手な子どもでも楽しくできるのでおすすめです。ただし、なかには指を切りやすい葉もあるので、注意してください。
【用意するもの】
- 葉っぱ数枚
- 中身が見えない袋や箱(人数分)
【遊び方】
- 探す葉っぱの形や大きさ、枚数を決める
- 子どもたちがテーマに合う葉っぱを集めたら、2〜3人のグループを作り向かい合って座らせる
- 保育者はジャンケンで使う葉っぱのテーマを伝える
- はっぱじゃんけん ジャンケンポン!」のかけ声と同時に箱から葉っぱを取り出し、よりテーマに合った葉っぱを出せたほうが勝ち
【ポイント】
- 遊びに慣れてきたら、子どもにテーマを伝える役をしてもらいましょう。
- 手で触ったりじっくり観察したりすることで、勝ち負けよりも葉っぱジャンケンの面白さを実感できます。
■氷を使った自然遊び~氷の指輪~
氷を使った自然遊びは、角度や光などで見え方が変わるなど、さまざまな発見や面白さがあり、子どもに人気の遊びです。
【用意するもの】
- 水
- アルミホイル
- 氷の中に入れるもの(花や草、ビーズなど)
- 製氷皿
- 水を注ぎ入れる容器(計量カップなど)
【作り方】
- 氷の中に入れる花や草を見つけて摘む
- 製氷機に見つけてきた花などを入れて、水を注ぐ
- 細長く折ったアルミホイルは指輪の輪っかにするので、Ω型にして2に入れる
- 冷凍庫に入れて氷が固まったら製氷皿から出す
【ポイント】
- 草花は時間の経過によってしおれるため、摘んだらすぐ作るようにしましょう。
- 濡れても問題ない服装や場所で遊ぶと思いっきり楽しめます。
- 氷が溶けると中の草花やビーズが出てくるので、素材の誤飲に注意しましょう。
4. 自然遊びに夢中になれる保育者のかかわり方
本大自然の環境で思いっきり楽しむだけでも教育効果を得られますが、保育者のかかわり方によって、よりよい成長の後押しにもつながります。
ここでは、子どもが自然遊びに夢中になれる保育者のかかわり方を紹介します。ポイントは以下の3つです。
- 子どもの自由を尊重して見守る
- 一緒に考える姿勢を見せる
- 「やってみたい」を許容する
■子どもの自由を尊重して見守る
必要以上に話しかけず、安全面に気を付けながら子どもが自由に遊ぶ様子を見守りましょう。大人はついたくさん話しかけてしまいがちですが、保育者が先に答えを教えてしまうと、子どもたちが自ら考えて学ぶ体験を制限してしまう場合もあります。
子どもが話しかけてきたら、言葉を聞いて相槌を打ったり軽く返事したりするくらいで問題ありません。様子を見守りながら、子どもが何かを発見する機会や自ら考えて試行錯誤する経験を大切にしてあげましょう。
■一緒に考える姿勢を見せる
子どもから質問があったとき、保育者は子どもが自ら思考力を働かせる声かけをしてください。
正解がわからない質問をされたときは、一緒に図鑑を使って調べたりインターネットで検索してみたりしましょう。答えを教えずに一緒に考える機会を作ることで、知的好奇心や想像力、思考力を養えるため、子どもの質問に対して一緒に考えることを実践してみてください。
■「やってみたい」を許容する
子どもたちは何かしようと思ったときに、やってもよいことなのかを考えたり迷ったりして、大人の目を気にすることがあります。
自然遊びにおいては、子どもが挑戦したいことや考えたことはどんどんさせてあげるようにしましょう。考えて実践していく中で成功や失敗を経験しますが、そういったトライアンドエラーの積み重ねが子どもの発達において非常に大切な意味をもちます。
大人に見守られながら何でもできる環境を用意してあげることで、子どもたちはさまざまなことにチャレンジするようになるでしょう。
5. まとめ
今回は、保育現場における自然遊びの重要性、みんなで楽しくできる遊び方、子どもとのかかわり方について解説しました。遊びを通して、自然を美しいと思う感性や想像力、問題解決力、基礎体力など、心身の成長に欠かせない力が育まれます。
自然を感じる遊びの中では、子どもたちが実際に土や葉っぱ、花、昆虫などに触れて、自分たちで新たな疑問や発見をすることでしょう。保育者は必要以上に干渉せず、子どもたちが自然の中でのびのびと自由に過ごせるようにサポートしてあげてください。
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