保育園で行う5歳児の劇遊びにおすすめの題材とは?実施のポイントについても紹介
保育園の5歳児のクラスで劇遊びを取り入れようとしている先生の中には、「5歳児は何を題材に劇遊びをすべき?」とお悩みの方も多いのではないでしょうか。
5歳児は、人とのかかわりの中で協調性や適応力、応用力を養ってく発育段階であることから、少し複雑なストーリーの題材を選ぶことが大切です。
本記事では、5歳児の劇遊びにおすすめの題材を紹介します。保育園で実施する際のポイントや進め方も解説しますので参考にしてみてください。
1. 劇遊びの狙い
劇遊びには3つの狙いがあります。
- 友だちと一緒に表現する楽しみを知ってもらう
- 物語や歌の歌詞に興味や親しみをもってもらう
- 絵本などの登場人物になりきる楽しさを知ってもらう
まねっこ遊びが好きな子どもにとって、劇遊びは好奇心を刺激してくれる遊び。特に、子どもに親しみのある絵本を題材にすることで、興味をもって取り組んでもらいやすくなります。
日常保育の中で、興味をもって劇遊びに取り組めれば、発表会の練習でもすんなりと役に入り込めるようになるでしょう。
2. 5歳児の劇遊びにおすすめの題材
以下では、5歳児におすすめの題材を5つ紹介します。
■アリとキリギリス
アリとキリギリスは、イソップ寓話(ぐうわ)の一つです。
楽しいことばかりをして暮らすのではなく、先のことを考えて真面目に働くことの大切さを学べます。
【登場人物】
- アリ
- キリギリス
【大道具・小道具】
- キリギリスの家
- 食べもの
- 飲みもの
【演技のポイント】
- アリは複数人で演じ、キリギリスは1人が交代で演じるとよいでしょう。
- アリが一生懸命働く様子や、キリギリスが働かずにお菓子や飲みものを飲み食いしている様子を、子どもたちの好きに演じさせてみるのもおすすめです。
- 事前に絵本の読み聞かせなどを通して、内容や物語の流れを把握できていれば、子ども自身がセリフをアドリブで自由にアレンジもできます。
■おむすびころりん
おむすびころりんは、有名な日本のおとぎ話です。
見返りを求めない行いはよい結果をもたらし、欲にまみれた行いは自分を苦しめるという教訓を得られます。
【登場人物】
- おじいさん
- おばあさん
- ねずみ
- よくばりじいさん
【大道具・小道具】
- おむすび
- 小判
- 穴
- 楽器
【演技のポイント】
- ねずみは複数人で演じ、おじいさん・おばあさん・よくばりじいさんは1人ずつ交代で演じます。
- おむすびが穴に落ちたシーンに聞こえてくるフレーズ「おむすびころりん、すっとんとん」では、「すっとんとん」に合わせて楽器を使うとより伝わりやすいほか、子どもたちも楽しめるため、子どもたちのよく知る歌や好きな歌にアレンジしてみても盛り上がるでしょう。
- おむすびが落ちる穴は、バケツやフラフープで表現するのがおすすめです。
■桃太郎
桃太郎は、日本のおとぎ話の一つです。1人では困難なことでも、仲間と力を合わせれば達成できるという教訓を得られます。
【登場人物】
- 桃太郎
- おじいさん
- おばあさん
- きじ
- 猿
- 犬
- 鬼
【大道具・小道具】
- 桃
- きびんだんご
- 宝物
【演技のポイント】
- 人数が足りない場合は、登場回数の少ないおじいちゃんおばあちゃんと、他の登場人物を兼任するのがおすすめです。
- 桃太郎がきびだんごを配って仲間にしていくシーンでは、子どもたちのアドリブを入れてみても楽しめます。
- 大きな桃を子どもたち全員で作ることで、より物語に興味をもち、役にのめり込めるでしょう。
■ブレーメンの音楽隊
ブレーメンの音楽隊は、有名なグリム童話の一つです。他の物語と比べて登場人物が多く、比較的簡単に役割を配分できます。
【登場人物】
- ロバ
- イヌ
- ネコ
- オンドリ
- 泥棒たち
【大道具・小道具】
- テーブル
- 金貨
- ごちそう
【演技のポイント】
- 泥棒たちは複数人で演じ、泥棒を追い出す際に、窓の所で一斉に声をあげるシーンが一番の見所です。
- 本当に誰かを追い出すイメージで大きな声を出したり、実際にライトを使ってお化けのような影を創り出したりすると、より物語の内容が伝わりやすいでしょう。
■きたかぜとたいよう
きたかぜとたいようは、イソップ物語の一つです。北風と太陽のどちらが早く旅人の服を脱がせられるか競う物語であり、説得は暴力に勝るという教訓が得られます。
【登場人物】
- 北風
- 太陽
- 旅人
【大道具・小道具】
- コート
【演技のポイント】
- 北風役と太陽役の2つのチームに分かれて演じましょう。
- 旅人に風を吹かせるシーンや、太陽の熱を浴びせるシーンでは、子どもたちに自由な発想で成りきってもらうと楽しい劇に仕上がります。
- 空や雲などの背景の製作にも取り組んでもらえれば、子どもたちの仲も深まるでしょう。
3. 保育園で劇遊びを実施するときのポイント
保育園で劇遊びを実施する際に、押さえておくべきポイントを紹介します。
■演出を工夫する
セリフを言うだけでなく、ダンスや歌を取り入れてミュージカル風にアレンジするなど、工夫を加えることで見ている側もより楽しめます。
また、物語のクライマックスや効果音が必要な場合は、タンバリンやカスタネットなどを活用すると、子どもたちもさらに熱中できるでしょう。
■登場人物の数を変更する
主人公のセリフが多い場合、主人公を複数人で演じるのもよいでしょう。その場合は、物語全体のセリフを考慮して、必要に応じて登場人物の担当を増やします。
4. 劇遊びの進め方
ここでは、5歳児の劇遊びの進め方について解説します。
■①題材を決めて大まかなストーリーを考える
題材を決めるうえで最も大切なのは、子どもたちが好きそうな題材を選ぶことです。
みんなが知っているような絵本や昔話など、ストーリーの流れがわかっているものは、セリフを覚えやすいメリットがあります。
題材が決まった後は、子どもたちが演じやすいように大まかなストーリーを考えましょう。ミュージカル風にしたりセリフを増やしたりするのもおすすめです。
■②歌や曲を選ぶ
劇中で使用する歌や曲は、手遊び歌や体で効果音を表現できるものがおすすめです。子どもたちが楽しいと思えるような、身ぶり手ぶりができる曲を選びましょう。
■③配役を決める
配役を決める前に、全員が各役を1度ずつ担当するように遊びます。
1度経験していればイメージが湧きやすく、スムーズに配役を決めることが可能です。また、必要に応じてグループ化したり役を交代したりして、柔軟に配役を決めましょう。
5. まとめ
5歳児の劇遊びでは、型にはめすぎず臨機応変にセリフや歌などを変更することで、より楽しい劇が作れます。
劇遊びを取り入れようとお考えの保育士の方は、今回紹介した題材を元に、演出を工夫してみてください。