雇用・定着に向け企業が知っておくべき『高次脳機能障害』について
障がい

2021年10月22日

雇用・定着に向け企業が知っておくべき『高次脳機能障害』について

今回は高次脳機能障害の方を採用する際に知っておきたい障がい特性・業務上の配慮・向いている業務についてご紹介します。高次脳機能障害を患いながらも働いている方も多くいらっしゃいますので、是非ご覧いただき採用にご活用ください。
 

目次

 

⑴ 高次脳機能障害とは?

高次脳機能障害は、脳が損傷を受けることで起こる障がいです。原因としては、脳梗塞やくも膜下出血などの脳血管疾患、事故などによる脳外傷、心肺停止による低酸素血症などが挙げられます。症状としては大きく分けて4つあります。
 
①記憶障がい
・物をどこに置いたか忘れてしまう
・新しい物事が覚えられない
・同じことを何度も話したり質問したりする
 
②注意障がい
・集中力が持続せずに他のことをしはじめる
・ぼーっとしていてミスが多い
・同時に2つ以上のことができない
 
③遂行機能障がい
・約束の時間が守れず、早すぎたり遅すぎたりする
・自分一人で計画・実行をすることが難しく、人に指示を出してもらう
 
④社会的行動障がい
・感情のコントロールが難しく、興奮しやすかったり時には暴力を振るいやすくなる
・自己中心な性格と捉えられる振る舞いがある
以上に挙げた症状によって社会生活に制約をきたす場合、高次脳機能障害と認定されます。
 
高次脳機能障害を患った際には障害者手帳の取得も可能ですが、受傷した時期や症状によって手帳の種類が異なります。
例えば、手足に麻痺があったり、言語障がいなど身体に症状がある場合には「身体障害者手帳」の取得が可能です。
記憶障がいや注意障がいがある際には「精神障害者手帳」の取得が可能です。この場合は、「器質性(脳の変容による)精神障害」と分類されます。
また、18歳以下の発達期に発症し、自治体によって知的障害と認められた場合には、「療育手帳(各地名称は異なる)」を取得することもできます。
 
治らないのでは?と思われることも多いですが、リハビリを行うことで就業をできるまで回復される方も大勢いらっしゃいます。
実際に就業する場合には工夫も必要ですが、そちらは次の章でご紹介します。

 

⑵ 就業上の配慮について

高次脳機能障害の方を雇用するにあたって、業務内容を検討する必要があります。
・発症前の経験を活かせる業務
・期日にゆとりがあり、負担が重くない業務
上記2点を元に考えると良いでしょう。
 
具体的には
・バックオフィスでの軽作業
・データ入力などの事務作業
・清掃作業
などが挙げられます。
 
同じ高次脳機能障害でも、人によって特性が様々です。
採用する際には
・受傷の要因(病気・事故等)
・身体の状況(麻痺のある箇所等の確認)
・得意な作業と苦手な作業 
以上のようなことを確認すると良いでしょう。
 
高次脳機能障害は外見だけではわからない障がいです。理解を得ることができず、苦しむ方も多くいます。
雇用する際には周囲の社員と障がい特性について共有することが大切です。
 
また、特性に応じて業務では工夫をしていく必要もあります。
実際に就労移行支援事業所等で実施されていることとして
・作業のチェックリストを作る
・スケジュールややるべきことを視覚化する
といったことが挙げられます。
 
ポイントは「視覚化」することです。特性上忘れやすかったり不注意になりやすいですので、
耳からの情報のみの場合は漏れが発生しやすいです。視覚情報に強いですので、マニュアルやチェックリストを用いて、業務の漏れが無いよう確認することが大切です。
 

⑶ まとめ

職場内での理解・工夫・そして本人との定期的な情報交換によって、高次脳機能障害をお持ちの方も活躍される機会が増えています。
当社は『高次脳機能障がい』をお持ちの障がい者の方からも、数多く転職のご相談を頂いておりますので、お気軽にご相談ください。

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