『障がい者職業生活指導員』とはどんな仕事?
「障がい者職業生活指導員」とは何かご存じですか?
《障害者の雇用の促進等に関する法律》により、障がい者を5名以上雇用する場合に選任することが義務付けられており、厚生労働省が定める資格(注)を有する従業員のうちから、障害者職業生活相談員を選任し、職業生活全般における相談・指導を行うよう義務づけられています。
【障がい者職業生活相談員の具体的な職務】
障がい者職業生活相談員とは・・・
障がい者が実際に働く職場で、支援を具体的に行い
職業・生活サポートを担うサポートのスペシャリストです。
具体的には、
・適職の選定
・職業能力の向上サポート
・障害に応じた設備改善提案
・職場環境の整備
・労働条件の整備・改善
・職場生活全般のサポート
・その他
など、就労してから充実した職場・生活を継続するために、障がい者職業生活指導員は障がい者をサポートしていきます。
【障がい者職業生活相談員】と【ジョブコーチ】の違いとは?
職場での支援という点では共通している部分もございますが、大きな違いは以下の通りになります。
■障がい者職業生活指導員
企業内での支援がメインになります。
また企業の従業員から選任をすることになります。
企業内で働く障がい者に対して、現場でのサポートをしていきます。
■ジョブコーチ
社会福祉法人・地域障害者職業センターから派遣されるケースが多く、支援内容にも違いがあります。
ジョブコーチは、《具体的な目標設定・支援計画の作成》を担います。
作成した計画を元に就職・定着に関わる支援を行っていきます。
【障がい者職業生活指導員の資格要件】
厚生労働省が定めている、資格要件は大きく分けて2通りあります。
①「障害者の雇用の促進等に関する法律施行規則」の要件に記載された学歴・実務経験があること
②「障害者職業生活相談員資格認定講習」を修了すること
どちらかを満たす事で要件を満たすことになります。
まずは①から見ていきましょう。
1) 職業能力開発総合大学校の長期課程の指導員訓練(福祉工学科に係るものに限る)の修了者またはこれに準じる者として厚生労働大臣が定める者
2) 大学もしくは高等専門学校の卒業者または職業能力開発総合大学校の長期養成課程の指導員訓練(福祉工学科に係るものを除く)、職業能力開発大学校もしくは職業能力開発短期大学校の専門課程の高度職業訓練もしくは職業能力開発大学校の応用課程の高度職業訓練の修了者もしくはこれらに準じる者として厚生労働大臣が定める者で、その後1年以上障害者である労働者の職業生活に関する相談及び指導の実務経験を有する者
3) 高等学校または中等教育学校の卒業者で、その後2年以上、障害者である労働者の職業生活に関する相談および指導の実務経験を有する者
4) その他の者で、3年以上、障害者である労働者の職業生活に関する相談及び指導の実務経験を有する者
となっています。
つまり、職業能力開発総合大学校の長期課程で福祉工学科に係る指導員訓練を修了していない場合は何らかの実務経験が必要で、大卒者でも1年間の実務経験があるか資格認定講習を修了しなければ、相談員にはなることが出来ないのです。
次に②を見ていきましょう。
「独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構」が実施する「障害者職業生活相談員資格認定講習」への受講が必要になります。
受講するためには、各都道府県の高齢・障害者雇用支援センターへの申し込みが必要になります。
《講習期間・時間》
期間:2日間
時間:計12時間
の受講が必要になります。主な講習内容は、「障害者雇用の理念」「障害者雇用の現状と課題」「関係行政機関と障害者対策」「障害者の心理、職業能力」「施設・設備の改善」「労務管理と人間関係管理」「適職の選定と職業能力の開発」「職場適応の向上」
その後に《意見交換会、事業見学会、支援機関見学》の3つの中からいずれかを実施することになります。
【まとめ】
「障がい者職業生活指導員」について、具体的な職務・ジョブコーチとの違い・資格要件をご説明させて頂きました。
障がい者が企業で安心して働くことが出来るように障がい者職業生活指導員が担う役割は多岐に渡ります。
配置するだけでいい。ではなく、障がい者の職業生活サポートのプロフェッショナルとして役割について理解することが重要です。