介護職の給料はどれくらい?今後上がる可能性はある?
介護の仕事はやりがいもあり、長く続けることもできる仕事ですが、きつくて給料が安いという意見もあります。転職で介護職や福祉の仕事につきたいと考えている人は、年収がどのくらいなのか気になるのではないでしょうか。
今回は、介護職の平均年収や今後の給与について解説するので、ぜひ参考にしてください。
1. 介護職の平均給料
介護職の平均給料は、勤務する施設や勤続年数により差があります。ここでは全体の平均給与額と性別による違い、都道府県別の違いを解説します。
■介護職全体の平均給料
厚生労働省の「令和3年度介護従事者処遇状況等調査結果」によると、介護職全体の平均給料は、以下の通りです。
給与形態 | 処遇改善加算(Ⅰ)~(Ⅴ)を取得している事業所 | 特定処遇改善加算(Ⅰ)、(Ⅱ)を取得している事業所 |
平均月給額(常勤) | 316,610円 | 323,190円 |
平均月給額(非常勤) | 198,520円 | 206,100円 |
介護施設にはさまざまな職種があるので、職種や常勤と非常勤でも給料相場は変わります。平均月給額は、基本給に手当やボーナスなどの一時金を等分して加算したもので、平均基本給額は187,180円となっており、月収の相場は16万~30万円です。また、介護職におけるボーナス支給額の全国平均は、男女全体で約52万円となっており、介護職全体の年収は大体350万円程度で決して高いとは言えません。
■性別による違い
介護職の性別による給与の違いは、以下の通りです。
・男性の介護職の平均給料
【男性 介護職員の年齢別平均月給額(常勤)】
年代 | 平均月給額 | 平均勤続年数 |
29歳以下 | 297,240円 | 4.3年 |
30~39歳 | 340,130円 | 7.6年 |
40~49歳 | 355,700円 | 9.8年 |
50~59歳 | 332,670円 | 9.6年 |
60歳以上 | 286,900円 | 9.2年 |
・女性の介護職の平均給料
【女性 介護職員の年齢別平均月給額(常勤)】
年代 | 平均月給額 | 平均勤続年数 |
29歳以下 | 287,400円 | 4.1年 |
30~39歳 | 305,860円 | 7.8年 |
40~49歳 | 310,510円 | 9.3年 |
50~59歳 | 315,760円 | 9.6年 |
60歳以上 | 292,710円 | 11.2年 |
男性の場合、40代が1番高くなります。女性に比べると男性のほうが高くなるのは正社員として働く人も多く、家族手当や住宅手当などの手当もあることが影響しているでしょう。
対して、女性は50代が1番高くなります。
介護に携わる人が不足していることもあり、女性も男性も60歳以上でも長く正社員として働けることは介護職の強味とも言えます。
■都道府県別の違い
厚生労働省の「平成30年賃金構造基本統計調査」によると、都道府県別の年収で高い県と低い県は以下の通りです。
【年収が高い都道府県】
都道府県 | 年収 |
東京都 | 約401万円 |
山梨県 | 約390万円 |
神奈川県 | 約389万円 |
【年収が低い都道府県】
都道府県 | 年収 |
青森県 | 約270万円 |
佐賀県 | 約284万円 |
山形県 | 約294万円 |
首都圏や近畿地方は年収が高い傾向にあり、逆に東北や九州は低めと、年収にかなりの開きがあります。 無料会員登録はこちら
2. 介護職の給料は今後上がる?
近年、介護職の給料面での待遇が見直されてきています。ここでは、介護職の今後の展望について解説します。
■昨今、介護職の待遇が見直されている
介護業界は昨今、需要はあるものの深刻な人手不足が問題しされているため、介護職員が働きやすくなるよう、政府がさまざまな施策を検討しています。
● 介護職員処遇改善加算:主に介護職員の賃金向上や労働環境の整備を目的で2012年に運用が開始されています。
● 介護職員特定処遇改善加算:2019年に新設され、経験を積んだ職員に対しての処遇改善が目的で、勤続10年以上の介護福祉士が対象です。
■2022年からの変化
2021年11月19日閣議決定において、「介護職員処遇改善臨時特例交付金」が新設されました。2022年より始まった福祉・介護職員の賃上げ政策では、基本的に介護職員処遇改善加算のⅠ~Ⅲのいずれかを取得している介護施設または事業所を対象に報酬が加算されます。介護職員処遇改善臨時特例交付金の特徴は、賃上げ効果に取り組む事業所に対し、介護職員の収入を1人あたり3%程度引き上げるものです。すでに事業所によっては、1人あたり約月額9,000円の給料アップにつながる交付が始っています。この介護職員処遇改善臨時特例交付金は、2022年10月より介護報酬に組み込まれ、介護業界の人手不足の解消や賃金などの処遇が改善されていくことを期待されています。
■介護職の給料の推移
介護職の月給と時給の推移は、以下の通りです。
【常勤(月給)】
2021年7月 | 20万7,167円 |
2021年10月 | 20万7,673円 |
2022年1月 | 20万8,426円 |
2022年4月 | 20万9,666円 |
【非常勤(時給)】
2021年7月 | 1,160円 |
2021年10月 | 1,166円 |
2022年1月 | 1,177円 |
2022年4月 | 1,181円 |
2021年7月〜2022年4月までの全国平均賃金の推移を見てみると、常勤・非常勤ともに右肩上がりに増加していました。介護職員処遇改善加算や介護職員等特定処遇改善加算が設立された影響もあるのでしょう。
2022年2月には、月給が9,000円上がる施策が新たに実施されたことにより、徐々に給料は上がっています。
3. 介護職の給料が低い理由
高齢化に伴い、介護職は今後ますます需要が高まる傾向にありますが、人材不足は未だ解消されていません。介護職における人材不足の原因は給料の少なさとされていますが、なぜ給料が少ないのでしょうか。
■介護報酬の上限がある
介護報酬サービスを提供している事業所には、介護報酬が国から支給されます。介護報酬とは、事業所が利用者に介護サービスを提供した場合に、対価として国から事業者に支払われる報酬のことです。介護報酬が増えれば、給料に充てられるお金も増えますが、介護報酬は介護保険制度により決められているため、事業所に決定権はありません。
この報酬額は介護保険加入者の保険料および公費から出ており、高齢者の人口増で介護報酬を改正しても大幅な増額はできないとされています。そのため、介護施設は一般企業のように企業努力だけで収入を増やすことができません。これが、介護職の給料が低い原因です。
■専門性を求めていない
介護職員は資格を持っていなくても働けることから、専門性が低く、誰にでもできると間違った認識をされていることがあります。介護職員の仕事は福祉の仕事のでもあり、本来なら高い専門性を求められる職種です。しかし、人手不足から無資格でも仕事に就きやすく、専門性は二の次になっています。
4. 給料を上げるには何が必要?
介護職員として給料を上げるためには、どういったことをするとよいのでしょうか。
■資格の取得
介護職員の給料を上げる方法として、資格を取得する方法があります。
介護職の資格には、ケアマネジャーや介護福祉士といった資格があり、介護福祉士の資格を取るにはさまざまな条件をクリアしなければなりません。
未経験から始める人は、まず介護職員初任者研修から目指しましょう。
■勤続年数を延ばす
正規職員の場合、勤続年数が長くなれば給料は増えていく傾向にあります。介護の仕事は需要もあり、長く続けやすい職業です。非正規雇用の場合は、業界で長く働きたい意欲があれば、経験を積みながら正規職員を目指しましょう。
■別の施設に転職する
介護職の給与は、施設の規模や待遇によって異なります。今の職場の待遇が改善されそうにない場合は、待遇のよい職場への転職を検討してもよいでしょう。介護職の経験が長いと、よい条件の転職先が見つかることもあります。転職するときは、条件や給与などが自分の希望に合っているかチェックすることが大事です。
5. まとめ
介護職は、今後さらに需要が高まる仕事です。政府の施策などによって、待遇や給与は改善されつつあります。介護の仕事に興味をもった人は、この機会にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
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