高齢化社会とは|2021年の高齢化率は何%?定義や原因、対策も解説!
高齢化社会は、日本の大きな社会問題のひとつです。他の国と比べても、日本は高齢化が進んでおり、深刻な問題となっています。高齢化は、経済や社会にも影響を与えるため、国民の負担が増えることにもつながります。
高齢化社会と聞いても、どのような問題が起きているのか詳しく分からない人も多いでしょう。この記事では、高齢化社会について詳しく説明します。
1. 高齢化社会とは
高齢化社会とは高齢化率が7%を超えた社会のことです。1956年の国連の報告書では、65歳以上を高齢者と位置づけ、高齢者が7%以上を超えた場合に、「高齢化した人口」と呼んだのが始まりです。
また、日本が高齢化社会に突入したのは1970年でした。1970年の国勢調査によると、日本の総人口は約1億370万人で、これに対して65歳以上の人口は約730万人と、高齢化率が7%を超えました。
1970年は高度成長真っ只中であり、医療や科学技術が進歩しため、長生きする人が増え、高齢者の割合が増えたのです。
2. 高齢社会とは
高齢社会とは、総人口のうち高齢者が占める割合が14%を超えた状態をいいます。
海外では高齢化社会から高齢社会となるまでに、ドイツでは42年かかり、フランスでは114年もかかったのに対して、日本では24年で高齢社会に突入しています。
日本で急速に高齢化が進んだ理由としては、少子化が影響しており、子供が減り続ける中で高齢者の人口が増えているためです。
無料会員登録はこちら3. 超高齢社会とは
最後に、超高齢社会についてです。超高齢社会とは高齢化率が21%を超えた状態です。日本は2021年9月15日時点で、高齢化率が29.1%を超えており、高齢者数は3,640万人でした。そのため、現在の日本は「超高齢社会」です。
日本で人口の減少が始まったのは2008年とされており、今後、高齢者がますます増えていくと予想されています。また、2065年には全人口の約25%が75歳以上の後期高齢者となり、高齢化率は38%を超える推計が出ています。
4. 高齢化社会の原因
日本の高齢化が進んでいるのには、大きく2つの原因があります。
■死亡率低下に伴う平均寿命の伸び
高齢化社会の原因の1つは、死亡率低下によって平均寿命が伸びたことです。死亡率が低下したことの原因は、戦後の生活環境の改善や食生活・栄養状態の改善、医療技術が進歩したことであるとされています。戦前の日本は平均寿命が短かったのに対して、現在は平均寿命が伸びています。
具体的には、戦後1947年に男性23.6%、女性18.3%だった年齢調整死亡率は2019年には男性4.6%、女性2.4%となっています。
また、平均寿命も1950年と比較すると2020年には20年以上も伸びています。
■少子化の進行による若者の人口減少
日本の高齢化社会の2つ目の原因は、少子化が進行していることです。日本での少子化の進行は、出生率の低下や未婚率の上昇などが原因です。また、出生率の低下の原因として、一人当たりの教育費が高いことや、子育てをする環境が整っていないことなどが挙げられます。さらに、女性の社会進出によって未婚率が上昇し、結婚する年齢が上がることで、結婚しても子供を生まない選択をする夫婦も増えています。
仕事と子育ての両立による負担や、育児や教育のコストの上昇などのさまざまな問題もあり、妻の精神的、身体的負担が増えています。
参考:https://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2012/zenbun/pdf/1s1s_3.pdf
5. 日本の高齢化の推移と将来像
日本の高齢化社会の推移と将来像について説明します。
■高齢化率は29.1%
2021年9月15日時点での日本の高齢化率は29.1%です。総務省が求めた推計によると、65歳以上の高齢者は前年度と比べて22万人ほど増加し過去最多の3640万人でした。男性が1583万人、女性は2057万人で、女性の方が多い結果となりました。
また、総人口が前年度よりも51万人減少しており、高齢者の割合は0.3%ほど増えています。日本は、世界でも高齢者人口割合が高い国とされております。
日本の高齢化社会には様々な要因があり、寿命が長いこと、子供が少ないことが大きな原因の1つです。さらに、社会に関心を持つ若い世代の人も減っており、持続可能な社会制度として様々な対策をとる必要があります。また、このまま高齢化が進むと2065年には3人に1人が高齢者であることが懸念されています。
参考:https://www.stat.go.jp/data/topics/topi1291.html
■令和47(2065)年の日本
総務省によると、令和47年(2065年)には、3人に1人が高齢者となり、65歳以上の高齢者人口は約40%になるとされています。65歳以上の高齢化人口が大幅に増えることによって、高齢化率が上がり、人口の減少と高齢化が急速に進むことが懸念されています。
また、これによって労働力が減少したり、医療や介護などの社会保障の需要が増大したり、経済や社会生活にも大きな影響が出ることが予想されています。日本の労働力人口は戦後上昇し続けますが、2012年を境に減少傾向を迎えています。2065年までに、高齢者人口が大幅に増えることを想定し、現在は様々な対策がとられています。
参考:https://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2017/html/gaiyou/s1_1.html
無料会員登録はこちら6. 超高齢社会の問題点
超高齢社会には様々な問題点があり、大きな問題となるのは経済成長と社会保障制度です。
経済成長は労働力人口に左右されており、高齢化が進行することで労働力が急速に減っていきます。また年金や介護などの社会保障制度は労働力によって支えられているため、労働力人口が減ることによって年金や介護などの社会保障制度も以前よりも成り立ちません。
また、労働力人口の減少による国内市場の縮小によって投資先の減少や経済など様々な分野で成長力が下がっていきます。現在の社会保障制度下では、労働力の人口は減っているので、一人当たりの負担が増大しています。
この先さらに高齢者が増えることを予想すると、一人当たりの負担がさらに増えていくでしょう。このように超高齢社会には様々な問題があります。
他にも、高齢化社会の影響は自治体にも及んでおり、地方から大都市への人口流出で、地方の人口が急速に減り高齢化が進んでいます。地方圏で高齢化が進むことで、自治体で行政機能を今までのように維持していく事は難しくなるでしょう。
7. 高齢化社会への対策
高齢化社会においてはどのような対策がされているのでしょう。これから高齢化社会の対策について説明します。
現在は、高齢化社会が進んでおり、この状況が続けば経済的、社会的な影響が懸念されます。そのため政府主導で高齢化社会への対策が行われています。
基本的な対策としては高齢社会対策基本法に基づいて、経済社会の健全な発展と国民生活の安定向上を図ることです。
具体的には、就職や所得において年齢にこだわらずに働ける社会の実現や環境を整えること、公的年金制度、健康や福祉においては、介護サービスの充実、持続可能な社会などです。
また、学習や社会参加においても、生徒が高齢化社会の課題を把握するための活動を行ったり、近年は生涯学習のニーズが高まっているため、昼夜間学校の実施、科目等履修制度を実施したりしています。
さらに、生活環境を整えるためには豊かなまちづくりの総合的推進や交通安全の確保、犯罪や災害等からの保護、成年後見制度の利用促進等が実施されています。
8. 高齢化社会のまとめ
日本の高齢化は、医療の発展による寿命の伸び、出生数の減少などの原因によって進行し、現在の日本は超高齢社会となっています。
高齢化が進むことで、社会保障における一人当たりの負担の増加なども問題となっています。
また、高齢化による介護業界の人材不足もさらに加速するでしょう。
介護の採用試験では、高齢化に関する問題や論述が出されることもあります。
高齢化社会について理解し、就職に活かしましょう。