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介護

2022年3月15日

介護における接遇マナーとは? 5原則を解説

「接遇」とは、基本的な介護サービスを提供するだけではなく、相手の気持ちを理解しながらサービス提供することを指します。接遇は、介護サービスを利用している人に対し、高品質なケアを受けてもらえるようにするためにも重要です。介護施設では、接遇研修をしているケースも多いでしょう。
しかし、接遇研修を実施していたとしても、実際のケアで生かせていなかったり、どのように生かせば良いのか分からなかったりする人も少なくありません。また、研修だけでは、実際の業務で行うサービスとのミスマッチが起こることも多いです。
本記事では、実際の業務で生かせる接遇マナーと、接遇で意識すべきポイントなどについて紹介します。

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1. 接遇とは?


「接遇」は、「応接する、もてなす」という意味があります。接遇と似ているワードとしては「接客」が挙げられますが、接客は顧客に対応することであり、もてなすという意味ではありません。介護で使用される接遇とは、もてなす気持ちで利用者と接し、信頼関係を築くことなのです。コミュニケーションを取る際には、言葉遣いや会話の内容の他、身だしなみ、態度、表情によっても印象が変わります。接遇においては、身だしなみ、態度、表情など、言葉以外の部分も含め、もてなす気持ちで接することが大切です。

2. 介護職で接遇マナーが重視される理由


介護サービスを提供する場所における接遇は、利用者の安全や安心のために、また、高品質なサービスを提供するために重視されています。介護は、人の命にも関わることから、安全・安心なサービスを提供するための正しい接遇を行い、信頼関係を築いていかなければなりません。利用者は、信頼関係を築けていない相手に対して、自身の体を預けることをためらったり、介護を受けたくないという気持ちになったりすることがあります。さらに、利用者だけではなく、家族に信頼してもらうことも重要であるといえるでしょう。

また、接遇は、介護職員同士が信頼関係を築き、職場環境を良くするためにも重要なポイントとなります。職場環境が悪ければ、報告・連絡・相談といった必要最低限のやり取りを正しく行うことができず、業務が滞る可能性もあるでしょう。職場の雰囲気は、利用者やその家族にも伝わってしまうものです。

接遇を意識することで、どのような場面でも高品質なケアができるようになる他、利用者と家族からの信頼を得られ、働く介護職員のモチベーションアップにもつながるでしょう。

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3. 接遇マナー5原則


利用者と良い関係を築くためには、接遇マナーの基本を理解することが大切です。以下、介護サービスを提供する上で基本となる接遇マナーを紹介します。基本的な知識やスキルを身に付けた上で、自分に適したスタイルを確立しましょう。ただし、ルールや規則は、事業所ごとに違いがあるため、職場のルールについても、併せてチェックしてみてください。

■あいさつ

正しいあいさつをすることは、人と人とがコミュニケーションを取る際にとても重要です。スタッフ同士、利用者、家族など、誰に対しても元気な明るい声であいさつをしましょう。気持ちの良いあいさつをすれば、第一印象が良くなります。

利用者にあいさつをする際に注意したいポイントは、「前から近づき、笑顔であいさつをすること」「利用者と少し距離を空けて、大きな声であいさつをすること」です。利用者の耳が遠いといった理由もあり、急に近づいて大声であいさつをすると、ビックリさせる可能性もあるため、注意が必要です。また、あいさつに加えて「今日は良い天気ですね」「○○さん顔色が良いですね」などと一言加えると、会話するきっかけとなるでしょう。

■身だしなみ

身だしなみは、接遇のマナーとしてだけではなく、事故を防ぐためにも、重要なポイントです。ケアする際に意識したいのは、機能性な身だしなみを整えることです。また、接遇マナーを守るためには、清潔感も意識するようにしましょう。

髪型については、肩にかかる長さの髪の場合は一つに束ね、髪がべたついていたり、フケが出ていたりといったことがないように清潔にすることも大切です。

服装は、汚れても良いような動きやすいものを選ぶようにしましょう。ほつれていたり、破れていたりする服は、着用しないことがマナーです。ほつれや破れのある服は、予期せぬ場所に引っかかって事故を起こす可能性もあるため、注意しましょう。靴は、ヒールがなく、動きやすいものを選びます。服装は、臭いや汚れのないように、清潔にすることも重要です。

アクセサリーは、着用しないことが一般的ですが、結婚指輪や外れにくい小さなピアスについては、許可している事業所が多いでしょう。

■言葉遣い

ケアする際には、相手との上下関係が生まれてしまうため、「○○をしてあげる」という言葉は使わないようにしましょう。利用者によっては、「介護してもらっている」と感じてしまい、プライドが傷ついたり、畏縮したりしてします。利用者にサービスを提供する際には、「○○をします」「○○をいたします」などといった言葉遣いを心掛けましょう。

また、「○○をしては駄目です」と、行動を制限しなければならない場面も多いですが、行動を制限する言葉はスピーチロックと言われ、拘束に当たるため、NGとされています。また、相手の尊厳を傷つけてしまう可能性があるため、行動を制限する言葉は使わず、「〜していただけますか?」などと声を掛けることで、利用者の判断に委ねる形で、利用者の尊厳を守ることが大切です。

■表情

利用者と会話する際には、相手の目を見て話すことが大切です。良い印象を与えるためには、意識的に額を上げ、目を大きくすることです。そうすることで相手に好意的な印象を与えるため、目を広げて表情を明るく見せるように意識します。また、表情は柔らかくし、口角は上げましょう。笑顔で接すると、マスクをしていて表情が見えない場合であっても、目元で表情が分かります。笑顔は、相手に対して敵意を持っていないことを表現し、安心させ、空気を和ませるためにも重要です。

不機嫌な顔や無表情で接すると、利用者に不快な印象を与え、距離ができてしまったり、相談したいときや話したいときにも「話しかけにくい」といった印象を持たれてしまったりすることがあります。人間は、好意的な印象を持った相手に対して好意を返そうとするため、笑顔で接することで、相手も笑顔で接してくれる可能性が高くなるでしょう。

■態度

態度は、会話したり、サービスを提供したりする際において、重要なポイントとなります。注意したい場面は、立ち方、歩き方、物を渡す際などが挙げられます。

立ち方は、耳、肩、膝、くるぶしが直線になるように、意識しましょう。両足のかかとを付け、つま先は握りこぶし1個分を広げます。両膝は付けるようにして足に力を入れ、腰は反らないように下腹部に力を入れ、肩は広げて猫背にならないように、注意しましょう。最後に顎を引けば、正しい姿勢で立つことができます。

また、歩き方は、自分の癖を確認するために、歩いている姿を撮影する方法がおすすめです。撮影することで、自分の歩き方のどこに問題があるかについて、スムーズに確認することができます。さらに、靴底の減り具合を見てみると、かかとを引きずるように歩いているか、正しい姿勢で歩けているかどうかについて確認できます。

忙しい場面では、立ち方や歩き方を意識できないこともありますが、背筋を伸ばしているだけでも、良い印象を持ってもらえるでしょう。

4. 介護現場での接遇で意識すべきポイント


マナーの基本を押さえた上で、ケアする際に意識しなければならないポイントについて紹介します。日頃の業務において、きちんと行えているかどうかについても、再確認してみましょう。

■目線

利用者とコミュニケーションを取る際には、目線の高さを合わせることがポイントです。椅子に座っていたり、車椅子に乗っていたりする場合は、しゃがんで目線を合わせるようにしましょう。目線を合わせるのが難しい場合は、利用者の目線よりも少し下になるように意識します。目線は、利用者よりも上にならないように注意しましょう。

■スタッフ同士の会話

利用者や家族と接する際には言葉遣いや態度を意識していたとしても、スタッフ同士で会話する際には意識していないという人も多いでしょう。しかし、利用者は、スタッフ同士が会話している場面を見ているケースが多いです。後輩や先輩に対して、態度が悪かったり、乱暴な言葉遣いをしていたりする場合は、注意が必要です。スタッフ同士が会話する際にも敬語を使い、誰が見ていても気持ちの良い態度を意識しましょう。

■傾聴

ケアしたり、接遇を意識したりする際には、話をしっかり聞くことが大切です。傾聴は、相手の話を聞いたり、考えや悩みをスムーズに聞き出したり、相手の感情をくみ取ったりするスキルであり、単純に話を聞くだけではなく、傾聴の意思を表す必要があります。声の高さや表情についても意識し、相手の話すことに共感を示すようにしましょう。

5. 介護現場での接遇マナーを意識しよう


接遇マナーには、100%の正解がありません。介護現場においては、利用者ごとに考え方や性格が異なるため、マニュアル通りの接遇だと対応できないケースもあります。利用者と向き合い、相手の気持ちをくみ取れるよう、話を聞くことが重要です。相手の立場を考慮し、おもてなしの気持ちを持って、サービス提供することを心掛けましょう。

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