人事必見!障がい者の採用面接での注意点と質問項目
人事担当の皆様から【面接での質問項目】についてよくご相談をいただきます。
マッチ度をはかるために色々とご質問したくなると思いますが、どのような点に配慮が必要か具体的にまとめている方は少ないのではないでしょうか。
今回は、健常者、障がい者を問わずに「面接で聞いてはいけないこと」と、特に障がい者の採用面接においての注意点、質問項目についてご紹介したいと思います。
1.健常者・障がい者を問わず【応募者に聞いてはいけない質問】
厚生労働省は「採用選考時に配慮すべき事項」というものを出しています。
ポイントは以下の通りです。
・応募者の基本的人権を尊重すること
・応募者の適性や能力のみを基準として行うこと
また、男女雇用機会均等法には性別にかかわりなく門戸を開く必要があると記載があります。
上記を念頭において具体的にしてはいけない質問、選考をみていきましょう。
(1)本人に責任のない事項
●本籍・出生地
●ご家族に関すること
●住宅状況に関すること
●生活環境・家庭環境などに関すること
~言ってしまいがちなNG質問~
「ご両親のご出身はどちらですか?」
「ご両親のご職業は?」
「お生まれになってからずっとそちら(現住所)にお住まいなんですか?」
「持ち家ですか?賃貸ですか?」
(2)本来自由であるべき事項(思想・信条)
●宗教に関すること
●支持政党に関すること
●人生観・生活信条などに関すること
●尊敬する人物に関すること
●思想に関すること
●社会運動に関すること
●購読新聞・雑誌・愛読書などに関すること
~言ってしまいがちなNG質問~
「尊敬する人物とその理由について教えてください」
「どんな本を愛読されてますか?」
(3)採用選考の方法
●身元調査など(現住所の略地図などもNG)
●合理的・客観的に必要性がない採用選考時の健康診断
(4)男女雇用機会均等法に抵触する質問
~言ってしまいがちなNG質問~
「結婚、出産したとしても働き続けようと思いますか?」
「結婚のご予定はありますか?」
面接のときだけではなく、面接前後のアイスブレイクで思わず聞いてしまうこともあるかもしれません。
もし違反をした場合、罰則(6か月以下の懲役又は30万円以下の罰金)を受ける場合があります。
また、SNSなどで拡散することで非難をうける可能性もあります。就職差別につながりかねませんので、十分にお気を付けください。
2.障がい者の採用面接においての注意点と質問項目
次に、障がい者の採用面接での注意点と具体的な質問項目についてまとめます。
企業には、安全管理と合理的配慮の義務がありますので、障がいのご状況や、必要な配慮などを確認しておくことは必要です。
聞き方に注意しながら、どのような困難さがあり、ご配慮が必要なのかを職場で実際働くことをイメージしながらすり合わせていきましょう。
面接の冒頭で「面接の中で言いたくないことに関してはおっしゃってください。ご障がいについてもご質問いたします」と伝えておくと、より応募者の方不安なく面接に臨めるかと思います。
また、「会社として、どのような配慮や対応をすればよいか検討、準備をしておきたい」といった質問の意図を言葉で伝え、興味本位やあらさがしで聞いているのではなく、会社として真摯に対応したいという姿勢を示すと、トラブルなく面接が行えると思います。
上記注意点を理解した上で、障がい者の採用面接では特に3点、確認していきましょう。
(1)業務を行ううえでの確認事項
●職業準備性が整っているか
●就業意欲があるか
●業務に必要な能力や経験を有しているか
●希望の仕事と用意できる仕事がマッチしているか
●希望のキャリアステップと会社の考えがマッチしているか
●業務に必要なコミュニケーションスキルを有しているか
(2)障がいについて
●ご障がい状況
●配慮項目
●通院、服薬、手術について
●現在のコンディションは、働ける状態か(医師や支援機関などの意見なども併せて聞く)
●できないこと、配慮項目を自分で理解し周囲にも伝えられるか
(3)業務外での生活に関する確認事項
●基本的な自己管理ができているか
●どのような時に不調になりやすいのか
●不調の時の対処法や苦手なことに対する工夫
●疲労やストレスの解消法
●相談、サポートできる方、支援機関の有無
●通勤は問題ないか
これらを通して実際に働くうえで想定される困難さと必要な配慮について把握していきましょう。
まとめ
ご面接の際の注意事項と、特に障がい者の採用面接での質問項目についてご確認いただけましたでしょうか。
公正な選考による、よりマッチした採用を行うためにご参考になれば幸いです。