月齢別の0歳児の発育の目安と関わり方のポイントを解説!
0歳児の発育は、日を追うごとに急激なスピードで進んでいきます。しかし、0歳児は、大人のように言葉でのコミュニケーションができず、まだ身体を動かすこともできません。そのため、初めての子どもを出産予定のプレママや、これから保育士として働く人たちにとっては、ちゃんと見てあげられるかどうかという心配が多いかもしれません。赤ちゃんにとっては、食べたり立ったりなど、生活の何もかもが初めてで、安全の意識もまだ備わっておらず、周囲の大人が注意して見てあげる必要があります。本記事では、月齢別、機能別に、0歳児の発育の目安、関わり方のポイントなどについて説明します。プレママやこれから保育士として働く予定の人たちには、ぜひご覧いただきたい内容です。
1. 【機能別】0歳児の発育の目安
0歳児は、運動機能、感覚機能、認知機能が短期間で急激に発達していきます。この3つの機能は、お互い影響し合いながら相互作用的に成長し、その後の幼児期のコミュニケーション力や社交性などにもつながる重要な発育の基盤となります。それぞれの機能が0歳の段階でどの程度まで進むのか、その目安について説明します。
■運動機能
生まれたばかりの新生児は、寝たままで手足を少し動かすくらいのことしかできません。しかし、そこからわずか1年程度の期間で立って歩けるようになるなど、0歳児の運動機能は、ものすごいスピードで発達していきます。立って歩く以外にも、玩具をつかんで自分で遊べるようになる他、座って自分で食べるようにもなってきます。このように、0歳児の運動機能は、自分の体の動かせる場所、頻度が上がると、物を使えるようになっていきます。
■感覚機能
感覚機能とは、その名の通り、「聞く(聴覚)」「見る(視覚)」「触る(触覚)」「嗅ぐ(嗅覚)」「味わう(味覚)」の五感のことです。新生児は、すでに聴覚、嗅覚は発達しているといわれていますが、視覚はまだぼんやりとしており、母親の顔もあまり分かっていません。そこから運動機能が徐々に発達していくことで、さまざまな物、人、音などに触れ、この五感を徐々に発達させていきます。1歳児になる頃には、視力はまだ0.2~0.4程度ではありますが、大人の顔を認知するようになっています。また、音によく反応したり、触る感触が面白くなって玩具でよく遊んだりするようにもなります。
■認知機能
新生児は、自分と外界の区別がまだ曖昧な状況です。身体を動かし、五感で外界の人や物を感じ取っていくことで、徐々に外界の物、人、音などを認知していきます。そのため、周囲の大人は、赤ちゃんがより幅広い物に触れる機会を提供してあげましょう。例えば、玩具を与えることで、「感触が面白い」「音が鳴る」などを発見していきます。それに対し、周囲の大人が共感し、褒めてあげることで、より赤ちゃんの好奇心を掻き立て、さらなる認知機能の向上につながっていくのです。
無料会員登録はこちら2. 【月齢別】0歳児の発育の目安
0歳児は、短期間に急激なスピードで成長していきます。身体の運動では、生まれたばかりの頃は寝ているだけだったのに、1歳を迎える頃には、立って歩けるようになるほどです。このように、急激に成長していく0歳児の発育段階を、細かく月齢別に紹介します。
■生後0~3カ月
生まれたばかりの生後0~3カ月の赤ちゃんは、手足を動かす程度のことしかできません。また、自分と外界の区別がまだ混濁していて、じっと周囲の物を見たり、触ったりする中で、徐々に外界の物、人、音などを認知していきます。もちろん、言葉はまだしゃべれませんが、「あうー」といった母音だけの言葉(クーイング)を発するようになります。これは、特に機嫌の良いときに出す声です。
■生後3~6カ月
生後3~6カ月になると、首が据わり、寝返りも自分で打てるようになります。また、玩具を自分で握り、遊べるようにもなります。この頃には、徐々に世界が広がり始め、周囲の物、人が分かるようになっています。言葉は、「まんま」「ばぁー」といった子音を使った喃語(なんご)を話し始めます。これは、クーイングよりも上の段階で、子音・撥音・濁音なども出せるようになり、声帯の使い方を練習しているともいわれています。周囲の大人があやすと、うれしそうに笑うようにもなり、徐々に感情豊かになっていきます。
■生後6~9カ月
生後6~9カ月になると、自分で動ける範囲が増え、より周囲の物に興味を示し、探索活動が活発になっていきます。生後6カ月では、寝返りを頻繁に打つようになり、生後7カ月頃になると「お座り」ができるようになったり、早い子だと「ずりばい」や「ハイハイ」をしたりもします。また、歯が生え始める頃でもあり、この時期から徐々に離乳食が始まります。脱乳はまだまだ先ですが、食べ物を見て食欲を見せる他、食べ物の好き嫌いも出てきます。物、人への認知はかなり進んでおり、身近な人への愛着を示すとともに、見知らぬ人への人見知りが出ることもあり、母親が見当たらないと泣くことも増えてきます。夜泣きが始まるのも、この時期です。
■生後9~12カ月
生後9~12カ月になると、食事は幼児食に移行し、そろそろ「赤ちゃん卒業」の時期になってきます。行動面では、積極的にハイハイし、つかまり立ち、伝い歩きをし始め、行動範囲がぐんと広がります。赤ちゃんの好奇心は、自分の行動できる範囲が増えることでさらに旺盛になっていきます。「これ、なんだろう?」となんでもつかみ、口に入れてしまいます。また、言葉はまだ話せませんが、周囲の大人に対して指をさし、自分のやりたいことや発見、欲求を伝えるようになります。
無料会員登録はこちら3. 【月齢別】0歳児との関わり方のポイント
ここまでは、0歳児の発育状況について説明しました。子どもの発育を促すためには、周囲の大人が愛情を持って関わっていくことが重要です。ここからは、大人は0歳児に対して、どのように関わっていくべきなのかについて説明します。
■生後0~3カ月
生後0~3カ月の時期に大切なのは、周囲の大人が子どもの反応に共感してあげたり、泣いたら不快感を取り除いてあげたりなど、赤ちゃんに寄り添ってあげることです。生まれたての頃の赤ちゃんは、寝て過ごし、五感や昼夜の感覚もあまり発達していません。赤ちゃんが快適に過ごせる環境を作り、泣いたり、目が覚めたりしたら、抱っこして声を掛けてあげましょう。そうすることで、その後の子どもの心の安定や、大人との信頼関係につながっていきます。
■生後3~6カ月
生後3~6カ月になると、周囲の大人を認知するようになってきますので、愛情を込めて接することで、赤ちゃん自身も愛着を持ってくれるようになり、声を出して喜ぶなど、感情豊かになっていきます。音のする方向に反応することも増えるため、声を掛けてあげたり、子どもが喜ぶような音楽をかけてあげたりすると良いでしょう。
■生後6~9カ月
生後6~9カ月になると、頻繁に声(喃語)を出すようになるため、「お話が上手だね~」などと話しかけてみてください。これにより、子どもは「大人から愛情を得ている」「受け入れられている」という充足感を感じ、その後のコミュニケーション力や社会性につながっていきます。また、人見知り、夜泣き、後追いも始まります。これは、愛着を感じている大人が視界からいなくなったり、見知らぬ人を目にしたりすると、不安になってしまうためです。この時期は、まだ身近な大人しか認知できていませんので、目を離さず、近くにいてあげることや、スキンシップを取って安心させてあげることが重要です。
■生後9~12カ月
生後9~12カ月になると、立って伝い歩きをするようになりますので、周囲の大人は、赤ちゃんが安全に行動できるように、注意を払いましょう。「昨日までできなかったことが、今日になったらもうできる」なんてことが、日常的に起こります。そのため、危険な物は事前に手の届かない場所に移し、落下や転倒などにも気を配ってあげるようにしましょう。この時に大切なのは、なんでも「ダメだ」というのではなく、赤ちゃんの好奇心に寄り添い、未然に危険を防止しながら、赤ちゃん自身が自分で探求することを後押ししてあげることです。好奇心が満たされることが、その後の赤ちゃんの心の安定や、豊かなコミュニケーションにつながっていきます。
無料会員登録はこちら4. 0歳児保育で心掛けたいこと
0歳児の成長には、大人からの手助け(保育)が欠かせません。しかし、まだ言葉でコミュニケーションが取れないため、どう対処していいのか分からないことも多いでしょう。そこで、0歳児の保育で特に心掛けておきたいポイントを紹介します。
■一人一人に合わせた保育
0歳児は、成長の速度があまりに急激なため、個人差が大きく出てきます。「この子はまだしゃべらない」「立たない」など、あまり過度な心配をせずに、成長を見守ってあげましょう。また、赤ちゃんは、時間の感覚だけではなく、昼夜の感覚も曖昧なので、生活リズムがバラバラです。中には、「ほぼ夜泣きせず、よく寝て、朝までぐっすり」なんて赤ちゃんもいますが、それぞれに合わせて睡眠を取るようにするなど、工夫が必要です。
■スキンシップをたくさん取る
これまでの指針では、「3歳児以上」の保育についての記載が中心でしたが、改定により「0歳~3歳児未満」の保育についての記載が充実しました。この背景には、共働き家庭の増加による3歳未満の乳幼児の利用が増えたことが挙げられます。
■明るい表情と笑顔で関わる
保育には苦労も多いですが、ぜひ明るい笑顔で接してあげてください。赤ちゃんは、愛着を持つ大人の優しい表情で愛情を感じ取っています。赤ちゃんの心が満たされると、豊かな感情を引き出すなど、その後の人格形成に関わっていきます。また、生後10カ月頃になると、大人のまねをし始めるため、いろんな表情やしぐさを見せて関わってあげると、赤ちゃんが喜ぶだけではなく、赤ちゃん自身の表情の習得にもつながっていくでしょう。
■泣いている原因を探る
0歳児は、言葉をまだ話すことができず、泣いて大人に伝えることしかできません。「どうして泣いているのか」と、大人が泣いている原因を察知し、それを取り除いてあげる必要があります。最初はなぜ泣いているのか分からず、困惑することも多いですが、一緒に過ごし、試行錯誤していく中で、「この時間だから、きっと眠いんだな」「お腹がすいているんだな」といったことが、徐々に分かるようになっていきます。この「不快を除去してくれた」ということが大人への信頼につながっていきますので、「泣くのが赤ちゃん流のコミュニケーションなんだ」と理解し、丁寧に対処してあげましょう。
■ゆっくりはっきり話す
赤ちゃんは、言葉をまだ話せませんが、ゆっくりと、はっきりとした言葉で、よく語りかけてあげるようにしましょう。五感の中でも、「聴覚の発達は一番早い」といわれており、お腹の中にいる頃から聞こえているともいわれています。
このように、赤ちゃんは、大人の言葉をよく聞いており、大人に語りかけられた言葉や絵本の内容は、大きくなってからの思考などにも影響しやすいといわれています。言葉の覚えに役立つ可能性もあるので、聞き取りやすいスピードで丁寧に語り掛けてあげましょう。
5. 0歳児におすすめの遊び
ここまでは、0歳児は、運動機能、感覚機能、認知機能が急激に発達する時期であることをお伝えしました。では、その機能の発達には、どのようなことがより手助けとなるのでしょうか。ここでは、運動機能、感覚機能、認知機能のそれぞれを刺激する、おすすめの遊び方について紹介します。
■運動機能を刺激する遊び
首が据わるようになったら、赤ちゃんを広いマットにゴロンと寝かせて、赤ちゃんが自分で寝返りを打ったり、足をじたばた動かしたりできるようにしましょう。ハイハイができるようになったら、例えば大人の足の下をくぐって遊ぶのも良いですし、布団やクッションで山を作って登らせてあげるのも喜ぶかもしれません。これらをすることで、身体が鍛えられるだけではなく、「運動することが楽しい」という気持ちを育てることができます。
■感覚機能を刺激する遊び
五感を刺激する玩具は、簡単に手作りすることができます。例えば、くしゃくしゃにした新聞や、梱包材のプチプチなども、赤ちゃんにとっては玩具となります。新聞特有のカサカサした音、ビリビリと破く感覚、プチプチをつぶすときの感触などを楽しむこともできます。他にも、赤ちゃんは音の鳴る物に興味を示すので、透明のペットボトルの中にいろいろなビーズを入れ、振って遊ぶのも良いでしょう。振る音だけでなく、カラフルなビーズで視覚が刺激される他、ペットボトルをベコベコとさせる感触や音も楽しむことができます。
■認知機能を刺激する遊び
絵本やぬいぐるみなどを用いて、さまざまな動物や食べ物などを教えてあげると良いでしょう。まだ言葉はしゃべれませんが、例えば、ゾウのぬいぐるみを見せて、「ゾウさん」だと教えてあげると、絵本など別の場所でゾウを見たときに、赤ちゃんは「あー!」と気付くようになっていきます。絵本の読み聞かせの際にも、絵本の動物や食べ物を指さして、「これが何なのか」ということをゆっくり、はっきり、話して教えてあげると、その後の言語能力にもつながっていきます。
無料会員登録はこちら6. 0歳児の発育と関わり方のまとめ
0歳児は、運動機能、感覚機能、認知機能が急激に発達していきます。しかし、それらの豊かな発育には、大人の温かい語り掛けや、赤ちゃんの気持ちを察知してあげる姿勢が必要です。最初は慣れない子育てですが、赤ちゃんの不快に感じる原因が何なのかを探ってあげることで、赤ちゃんの気持ちが徐々に分かってきます。赤ちゃんは、月齢時期に応じて、みるみる成長していきますので、本記事での発育の目安を参考に、大人としての関わり方を赤ちゃんに合わせていってあげましょう。
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