発達障害の子どもに保育士や保育園はどう対応すればいい?
発達障害とは、生まれつき脳の機能に障害があり、日常生活や人間関係に支障をきたしたり支援が必要になったりすることを指します。健常児と同じように指導しても思うようにいかないことが多く、保育園では対応に困ることがあるかもしれません。
そこで今回は、発達障害の子どもに対する保育士や保育園の対応について、具体的な対策を紹介します。
1. 発達障害とは
生まれつき脳の働きに偏りがあり、社会生活で困難を感じることがあるため、周りからの支援が必要な状態です。
発達障害の種類は、大きく3つに分かれます。
■発達障害の種類
発達障害の種類は、主にASD・ADHD・LDの3つがあります。
・ASD(自閉症スペクトラム症)
ASD(自閉症スペクトラム症)は、人とコミュニケーションを取ることが苦手だったり強いこだわりがあったりすることが特徴として挙げられます。自閉症・高機能自閉症(広汎性発達障害)・アスペルガー症候群などが含まれ、言葉の遅れをきっかけに3歳までに医師から診断されるケースがほとんどです。 なかには知的障害がなく、保護者による発見が遅れてしまい、保育士など身近な大人が覚える違和感によって診断につながることもあります。
・ADHD(注意欠如・多動性障害)
ADHD(注意欠如・多動性障害)は、不注意行動や多動行動、衝動性などが強く、落ち着きがない・集中力が続かない・不注意が多い・すぐ感情的になる、といった特徴が見受けられます。
ADHDは健常児との違いがわかりづらく、幼児特有の落ち着きのなさか、発達障害によるものかを判断するのは非常に難しいとされています。
・LD(学習障害)
LD(学習障害)は、知的発達的に問題が見受けられないにもかかわらず、読む・書く・計算するなど特定の学習機能が正常に働かない発達障害です。
本人は必死で勉強をしているのに対応できず、「単に勉強が嫌い」「苦手なだけ」と周囲の人に思われてしまうため、子どもをよく観察していないと発達障害だと見抜くのが難しいでしょう。
■特性のあらわれ方
発達障害の特性のあらわれ方は人それぞれで、1つだけの場合もあれば複数ある場合もあります。
また、発達障害の特徴がみられるものの、診断基準に満たない、またはまだ受診していない状態の人はグレーゾーンと呼ばれます。グレーゾーンの子どもは決して症状が軽いわけではなく、発達障害の子どもと同じ対応が必要になる場面もあるので注意が必要です。
■発達障害はネガティブなものではない
発達障害はネガティブに捉えられがちですが、よい部分もあります。
たとえば、自閉症スペクトラムの「強いこだわりをもつ」という特性を研究者として活かしている人は多く、ADHDの「衝動性」を行動力と捉えてベンチャー企業の経営者になる人もいます。
発達障害の特性をよい方向に伸ばすことで、特定の分野で優れた能力を発揮し、社会で活躍することが期待できるかもしれません。発達障害は、「本人なりの可能性を秘めている」と言い換えられるため、ポジティブな側面もあることに留意しましょう。
■発達障害の二次障害を防ごう
二次障害とは、発達障害への理解が不足することにより生じる別の問題のことです。
たとえば「どうして理解できないの?」「なんで落ち着いていられないんだ!」などと叱られたりからかわれたりすることで、自己肯定感が大きく下がり、物事に挑戦する前から諦めるといった事象が挙げられます。放っておくと、うつ病や強迫性障害、睡眠障害といった重大な精神疾患を招くケースも少なくありません。
保育園では、環境を整えたり本人が抱えている困りごとへの具体的な対応策を教えたりして、二次障害を防ぐことが大切です。
■発達障害の可能性は保育園の視点がカギになる
子どもの発達障害は、集団生活の中でしか気付けない特性もあります。
そのため、保育士や保育園の視点が早期発見につながるカギとなることも珍しくありません。ただし、「発達障害児」というレッテルを貼ることが目的ではありません。
発達障害の特性が目立つ頻度や程度に着目することで、かかわり方を工夫し、支援が必要かもしれないと捉えましょう。
2. 発達障害の子どもへの保育園がとるべき対応
発達障害のある子どもに対して、保育園ではどのような対応をとるべきでしょうか?
よりよい環境をつくるための工夫を紹介します。
■対応方法を統一し園全体でかかわるようにする
子どもを担当する保育士だけでなく、保育園全体でかかわることが大切です。
対応のしかたを具体的に決めて園全体で統一することにより、自信をもって子どもに向き合えるでしょう。どの保育士も同じ対応ができれば、子どもや保護者の安心にもつながります。
■対応方法はノウハウの蓄積が必要
発達障害のある子どもへの対応は、具体的な事例をノウハウとして蓄積し、子どもに合わせて応用していくことが必要です。
たとえば、「〇〇ちゃんは言葉で説明しても伝わらないが、絵を見せると理解できた」といった成功事例は、似た特性がある他の子にも応用できるかもしれません。ノウハウを積み重ねることで、一般的な情報では得られない実践的な知識や技術が身につき、保育園全体の保育スキル向上にも役立つでしょう。
■子どもに合う対応方法を探る
対応を検証するときは、方法を1つに絞り込んで2~3週間のサイクルで試して成果を振り返りましょう。というのも、以前の成功事例が他の子にも効果的とは限らないからです。
うまくいかない場合は、成果が見られるまで別の方法を試してみてください。多くの成功と失敗の経験を積み重ね、一人ひとりに合った対応方法を探っていくことが大切です。
3. 発達障害の子どもへの保育士がとるべき対応
保育士は、発達障害の子どもにどのように接すればいいのでしょうか?
ここでは、保育士の接し方や対応を紹介します。
■発達障害を理解する
まずは、発達障害の特性を詳しく知り、理解を深めることが大切です。
その際、子どもの目線になって「どうしたらスムーズに作業ができるか」「どんな言い方ならうまく伝わるか」などを研究し、質の高いサポートができるように努めましょう。
子どもの発達障害に関する書籍などで得た知識や経験を土台にして、実際の現場で試しながら、徐々に応用力を身につけてください。
■子どもの特性に合った支援をする
子どもの得意なこと、不得意なことを理解するよう心がけましょう。
通常のカリキュラムを達成するのが難しいようなら、その子専用のカリキュラムを作成することをおすすめします。
発達障害のある子どもは、得意なことに対して驚異的な集中力を発揮できる場合があります。
その子の得意分野をどんどん伸ばすためにも、必要以上に手助けしないよう注意しましょう。
■時間がかかっても怒らない
発達障害がある子どもは、指示内容を理解・実行するのに時間がかかる場合もあります。他の子とペースが異なるので焦るかもしれませんが、怒らずに寄り添うことが大切です。
子どもが理解しやすい方法で伝えられるように工夫をしながら、落ち着いて指導する方法を模索していきましょう。
4. 発達障害の子どもの支援は保護者との連携が重要
発達障害の子どもをもつ保護者への対応を解説します。
■保護者には伴走者の視点で対応する
保育園は、保護者の「先導者」でなく、「伴走者」の視点でいることが大切です。
子どもに発達障害があることを無理に受け入れてもらおうとせず、親身に寄り添いながら、保護者が困ったときに相談できる姿勢をとりましょう。
■保護者とこまめに情報交換をする
保護者とこまめに情報を交換して、家庭と保育園の支援方法を統一するよう努めましょう。
園での対応を伝えるときは、保護者が前向きに受け止められる言葉を選んでください。
「〇〇のときに心配だったのですが、××にしたら理解できるようになりました」など、子どもなりに成長していることを明るく伝えましょう。
5. まとめ
発達障害の特性は、子どもによって差があります。一人ひとりの特性や頻度などをしっかりと見たうえで、その子の症状に合った対応方法を探していきましょう。
じっくり子どもに寄り添いつつ、保育園全体で対応を統一して、常に同じように接してあげることが大切です。また、保護者には支援方法をポジティブに伝え、保育園が味方であることをきちんと伝えましょう。
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