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介護

2022年5月9日

認定介護福祉士とはどんな仕事?役割や資格取得方法を解説

認定介護福祉士の資格に興味を持っているものの、他の介護に関する資格と比較すると情報が少ないのが現状です。認定介護福祉士の資格を取りたいが取得条件はあるのか、どのように取得できるのか、詳しく知りたい方もいるでしょう。取得条件を満たすためには、一定期間特定の仕事に従事したり、特定の資格を取得したりしなければならないケースもあるため、取得までの流れを理解することが大切です。
そこで今回は、認定介護福祉士とはどのような資格なのか、取得するメリットや取得方法について、詳しく紹介します。

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1. 認定介護福祉士とは


認定介護福祉士とは、介護福祉士の上級資格として2015年12月に「一般社団法人認定介護福祉士認証・認定機構」が始めた民間資格です。近年登録者数は増加傾向にあり、注目を集めている資格のひとつです。介護福祉士とは異なり、国家資格ではないものの、介護福祉士から、より知識や技術を身につけたことを証明できる資格であり、キャリアアップに役立ちます。

認定介護福祉士の認証が開始されるまでは、介護福祉士の資格を取った後のキャリアプランが立てにくいということが問題視されていました。福祉関係のスクールを卒業するタイミングで介護福祉士を取った後に、キャリアアップするための資格が少なかったのです。

認定介護福祉士の認証が開始された理由は、介護福祉士として働いている方のモチベーションアップや、介護サービスのケアの向上を目指すことなどが挙げられます。また、介護の技術だけではなく、地域社会や介護者の家族などといった介護者を取り巻く環境にも注目し、周囲と連携を図るためのスキルなども身につけるための資格でもあるのです。

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2. 認定介護福祉士になるメリット


認定介護福祉士の資格を取ると、役職に就きやすかったり給与が上がったりすることがあります。主な2つのメリットを確認しておきましょう。

■給与面での待遇が良くなる

キャリアアップすることで、給与面の待遇が良くなる可能性が高いでしょう。責任がある役職に就くと、転職をする時などに給与面や待遇が有利になります。
認定介護福祉士は、介護福祉士のキャリアアップとしての位置づけもあり、チームリーダーとしてチームをまとめる、人材育成を担うなど、職場内でも中心的な役割を求められることも出てくるでしょう。他の方に仕事を教えることによって、認定介護福祉士としてはもちろん、社会人としての成長も見込めるでしょう。

■高いスキルも持っていることの証明となる

認定介護福祉士の資格を取ると、専門スキルや知識を身につけたことを証明できます。利用者や家族からの信頼を得やすくなるほか、社会的な信用度も上がります。
また、前述の通り認定介護福祉士は、介護福祉士の上級資格であり、介護福祉士資格を持っていて、かつ実務経験が5年以上、さらに認定介護福祉士養成研修にて600時間の講義を受講しないと取得できない資格です。これだけの厳しい条件をクリアしたことの証でもあるのです。

3. 認定介護福祉士の役割


認定介護福祉士は、介護職員初任者研修、介護福祉士実務者研修、介護福祉士とキャリアを積んだのちに取得するため、介護職のリーダーとしてさまざまな役割を担います。介護の現場はもちろん、地域全体の介護力を向上させるための活動も行っていきます。認定介護福祉士の主な役割を3つに分けて紹介します。

■現場におけるマネジメントと育成

介護現場では、数名の介護職員でサービスを提供するためのチームを組みます。認定介護福祉士は、数人のチームリーダーに対し、教育や指導を行う役割があります。また、介護サービスのマネジメントを実施し、サービス全体の質を上げるためのマネジメントをする役割もあります。

■サービス提供における他職種との連携

地域包括ケアを進めるために、医師や看護師など他の職種の方と連携を図ります。介護サービスを提供するための中核となって協働する役割もあるのです。

■地域における介護力の向上

地域の事業者施設、ボランティアなど、個々の介護力を向上させ、地域全体の介護力向上に繋げる役割もあります。認定介護福祉士は教育や指導、実践力のほか、コミュニケーションスキル、マネジメントスキルなども求められます。少人数の介護チームのリーダーをした経験がある方や、施設・在宅の両方で生活をサポートした経験があると、認定介護福祉士の役割に近い経験を持っていることになり、業務を遂行しやすいでしょう。

4. 認定介護福祉士の取得方法


認定介護福祉士の資格を取るためには、認定介護福祉士養成研修を受講しなければなりません。養成研修を修了すると、資格を取得できます。認定介護福祉士養成研修はⅠ類とⅡ類があり、資格取得の条件や受講内容に違いがあります。そこで、資格取得の条件、申込方法、研修期間をチェックしてみましょう。

■資格取得の条件

認定介護福祉士養成研修Ⅰ類とⅡ類の資格取得条件について説明します。

【認定介護福祉士養成研修Ⅰ類の取得条件】
● 介護福祉士として5年以上の実務経験があること
● 介護職員を対象とした現任研修を100時間以上受講していること
● 研修実施団体のレポート課題もしくは受講試験で一定水準の成績を取っていること
(「認定介護福祉士認証・認定機構」が指定する、介護福祉士ファーストステップ研修、認知症介護指導者養成研修、ぐんま認定介護福祉士養成研修を修了している方は免除)


【認定介護福祉士養成研修Ⅱ類の取得条件】
● 認定介護福祉士養成研修Ⅰ類を修了していること
● 介護職の5~10名の介護サービスチームのユニットリーダー、サービス提供責任者としての実務経験があること

■申し込み方法

認定介護福祉士養成研修を行っているのは、認定介護福祉士認定機関ではなく、機関が認証した団体です。各都道府県の社会福祉協会や介護福祉協会が実施をしているため、認定介護福祉士を取得したい場合には、自治体に認定介護福祉士養成研修を行っている団体があるかどうか、問い合わせてみましょう。
個人で受講するのではなく、事業所や施設単位で受講を受け付けていることがあります。そのため、事業所・施設単位で受講をする予定があるかどうかも確認することが大切です。

■研修期間・費用

受講費用や受講期間は、実施団体によって異なります。一例を見てみましょう。

● 長野県介護福祉会:受講費用は会員35万7,000円、非会員60万9,000円、期間は7月~翌年4月まで(法人に対しては県からの一部助成制度あり)
● 京都府介護福祉会:受講費用は会員28万6,000円、非会員57万2,000円、期間は9月~翌年10月まで(県からの一部助成制度あり)
● 群馬県介護福祉会:受講費用は会員34万8,500円、非会員59万4,500円、期間は9月~翌年2月まで(法人は人材開発支援助成金を利用できることがある)

全国一律ではないため、受講する地域の実施団体の規約を確認しましょう。

5. 認定介護福祉士養成研修はどんな研修?


認定介護福祉士養成研修は、認定介護福祉士養成研修Ⅰ類とⅡ類があり、カリキュラムを修了するまで600時間、期間にすると1年半程かかります。研修のスケジュールは実施団体ごとに異なりますが、研修内容は決められています。

■認定介護福祉士養成研修Ⅰ類

まずは、認定介護福祉士養成研修Ⅰ類の研修の目的、受講要件、受講内容を紹介します。

・目的

認定介護福祉士養成研修Ⅰ類の目的は、介護福祉士養成課程で学習しない医療やリハビリ、住環境と福祉用具、認知症、心理支援、社会支援などを学ぶことです。また、他の職種と連携して、認定介護福祉士としての必要な実践力を身につけます。
さらに、ユニットなど5~10名の介護チームのリーダーを指導するために必要なスキルを身につける目的もあります。

・受講の要件

認定介護福祉士養成研修Ⅰ類の必須要件は、介護福祉士として5年以上の実務経験があること、現任研修100時間以上の受講歴、レポート提出または試験を受けることです。ただし、実務経験は科目によって必要ない場合もあります。 なお、推奨されている要件は、ユニットリーダー、サービス提供責任者などリーダーとしての実務経験、居宅と施設サービスの両方で介護サービスを提供した経験があることです。

・カリキュラムの内容

カリキュラムの内容と、受講時間は以下の通りです。

履修科目領域 科目 時間数
認定介護福祉士養成研修導入 認定介護福祉士概論 15
医療 疾患・障害等のある人への生活支援・連携Ⅰ 30
疾患・障害等のある人への生活支援・連携Ⅱ 30
リハビリテーション 生活支援のための運動学 10
生活支援のためのリハビリテーションの知識 20
自立に向けた生活をするための支援の実践 30
福祉用具と住環境 福祉用具と住環境 30
認知症 認知症のある人への生活支援・連携 30
心理・社会的支援 心理的支援の知識技術 30
生活支援・介護過程 認定介護福祉士としての介護実践の視点 30
個別介護計画作成と記録の演習 30

■認定介護福祉士養成研修Ⅱ類

次に、認定介護福祉士養成研修Ⅱ類の研修の目的、受講要件、受講内容を紹介します。

・目的

認定介護福祉士養成研修Ⅱ類の目的は、自立するための介護実践の指導力を身につけること、基本的知識に基づいた応用力を身につけることです。また、サービス管理で使うツールを整理して業務を改善すること、地域の介護力を向上させるスキルを身につけることも挙げられます。

・受講の要件

認定介護福祉士養成研修Ⅱ類を受講するためには、認定介護福祉士養成研修Ⅰ類を修了していること、ユニットリーダー、サービス提供責任者などの介護職のリーダーとしての実務経験があることが必須要件です。
推奨されている要件は、居宅と施設サービスの両方で介護サービスを提供した経験があることです。

・カリキュラムの内容

履修科目領域 科目 時間数
医療 疾患・障害等のある人への生活支援・連携Ⅲ 30
心理・社会的支援 地域に対するプログラムの企画 30
マネジメント 介護サービスの特性と求められるリーダーシップ、人的資源の管理 15
チームマネジメント 30
介護業務の標準化と質の管理 30
法令理解と組織運営 15
介護分野の人材育成と学習支援 15
自立に向けた介護実践の指導 応用的生活支援の展開と指導 60
地域における介護実践の展開 30

I類、Ⅱ類ともに、知識を学習するほか、事例の検討や研究、レポート提出、演習などを実施して、研修で学んだ内容を現場ですぐに活かせるように、カリキュラムが組まれています。

6. 認定介護福祉士の給料事情(年収・月収)


認定介護福祉士の取得者は増えているものの、他の介護関連の資格と比較すると人数が少ないため、厚生労働省から給料の詳細が公表されていません。

厚生労働省が公表した令和2年の介護福祉士の平均給料は32万9,250円でした。事業者施設によっては、認定介護福祉士の資格を持っていると手当がつくこともあります。介護福祉士と比較して認定介護福祉士は業務の幅が広いことから、介護福祉士の平均給料32万9,250円よりは多く受け取れる可能性が高いといえるでしょう。

7. 認定介護福祉士と介護福祉士との違い


認定介護福祉士に似ている資格として、介護福祉士が挙げられます。認定介護福祉士と介護福祉士の主な違いについて、資格・仕事・待遇に分けて見てみましょう。

■資格面での違い

介護福祉士は国家資格ですが、認定介護福祉士は民間資格であり、試験はありません。認定介護福祉士は、養成研修を受講し、カリキュラムを修了して申請をしなければ資格を取得できません。国家資格は、合格すると資格を取得できます。認定介護福祉士と介護福祉士は、養成研修を受講・修了して取得するか、試験に合格する必要があるかという点に大きな違いがあります。

■仕事面での違い

認定介護福祉士は、リーダーとして働く介護職員にサービスの向上や指導をする役割のほか、リハビリ、看護といった他の職種と連携を図ります。連携や協働し、介護サービスの質を向上させる役割があるため、現場で介護サービスを提供するという以外にもさまざまな仕事を行います。一方、介護福祉士は、終末期ケアや認知症といった現場での支援をメインにしていることが特徴です。

■待遇面での違い

認定介護福祉士の資格を取れば、必ず待遇が良くなるというわけではありません。認定介護福祉士の取得者は増えているものの、他の資格と比較すると全体数が少ないことから、現段階では待遇面の向上は明確になっていないのです。
一方、介護福祉士は、チームリーダーへの指導や地域包括ケアに対する活動、他の職種と協働することなど、さまざまな経験を積んでいます。
待遇面で大きな違いはありませんが、認定介護福祉士の資格を取ることで介護福祉士よりも責任ある仕事を任され、手当がつくこともあると覚えておきましょう。

8. 認定介護福祉士のまとめ


認定介護福祉士と介護福祉士は、給料事情に大差はないとされています。しかし、事業所によっては専門性がある資格だと評価され、認定介護福祉士に手当がつくこともあります。
認定介護福祉士は介護福祉士の上級資格であり、責任ある仕事を任され、役職にも就きやすいです。役職に就くと、転職の際に有利になったり、キャリアアップしやすかったりします。介護のスキルや知識を向上させる以外のメリットが大きいため、介護職での転職やキャリアアップを検討している方は認定介護福祉士の資格取得を検討しましょう。

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