精神保健福祉士国家試験の受験資格を満たすにはどうすればいい?実務経験の内容についても解説
精神保健福祉士国家試験を受験するためには資格が必要です。
これまでの学歴や実務経験によって条件が異なるので、自分に必要となる条件を早めに確認しておきましょう。
この記事では、精神保健福祉士の受験資格を立場別に解説しています。
また、試験の特徴や効率のよい勉強法などについても紹介しますので、合格を目指す方はぜひ最後までお読みください。
1. 精神保健福祉士国家試験の受験資格について
精神保健福祉士国家試験は、受験資格なくして受けることができません。
まずは、どのような条件を満たせば受験資格が得られるのかを確認しましょう。
■福祉系大学を卒業(通信含む)
福祉系大学を卒業している場合は、指定科目を履修しているか否かで受験資格の有無が決まります。
・指定科目履修をしている場合
指定科目を履修して卒業していれば、すぐにでも精神保健福祉士国家試験を受験することが可能です。受験に必要な条件はそれ以外ないので、大学卒業後に受験申し込みを行えば精神保健福祉士国家試験は受験できます。ちなみに、通信制の福祉系大学で指定科目を履修した場合でも受験可能です。
・基礎科目を履修している場合
同じ福祉系大学であっても、基礎科目しか履修していない場合は受験資格がありません。受験資格を得るためには、大学卒業後に短期養成施設などで指定カリキュラムを履修しましょう。
■一般大学を卒業(通信制含む)
一般大学(通信制含む)を卒業している場合、受験資格を得るための方法は一つしかありません。
短期養成施設などで指定カリキュラムを履修することで、受験資格が得られます。
2. 実務経験がある場合の精神保健福祉士国家試験の受験資格について
ここからは、すでに実務経験がある場合や、短大を卒業した場合の精神保健福祉士国家試験の受験資格について紹介します。
■4年間の相談援助実務+一般養成施設
相談援助の実務経験がある方は、最低でも4年以上の実績が必要です。
それに加え、一般養成施設などで指定カリキュラムを履修することによって受験資格が得られます。
■一般短大を卒業+一般養成施設
一般短大の場合は、3年制か2年制によって受験に必要な実務経験の実績が異なるため、注意が必要です。
・一般短大(3年制)を卒業する場合
3年制の一般短大を卒業している場合は、相談援助の実務経験を1年以上行います。さらに、卒業後に一般養成施設などで指定カリキュラムを履修することが必要です。
・一般短大(2年制)を卒業する場合
2年制の一般短大を卒業している場合は、必要な相談援助の実務経験を2年以上行います。卒業後は、3年制同様に一般養成施設などでの指定カリキュラムの履修が必要です。
■福祉系短大を卒業
福祉系短大を卒業している場合は、指定科目を履修しているか否かで受験に必要な条件が異なります。
・福祉系短大等(3年制)を卒業する場合
3年制の福祉系短大を卒業して指定科目を履修している場合、必要な相談援助実務経験は1年以上です。一方、基礎科目を履修している場合も相談援助の実務経験が1年以上必要なのは同じですが、それに加えて卒業後に短期養成施設などで指定カリキュラムを履修しなくてはなりません。
・福祉系短大等(2年制)を卒業する場合
2年制の福祉系短大を卒業して指定科目を履修している場合、必要な相談援助実務経験は2年以上です。一方、基礎科目を履修している場合も同様に相談援助の実務経験が2年以上必要で、3年制と同様に卒業後に短期養成施設などで指定カリキュラムを履修しなくてはなりません。
■実務経験として認められる法律に基づく施設とは?
学歴によっては、精神保健福祉士国家試験を受験するために実務経験が必要です。
実務経験は、複数の法律によって施設や職種が限定されているため、確認しておきましょう。
・精神保健および精神障害者福祉に関する法律
精神保健および精神障害者福祉に関する法律は、精神保健福祉法です。この法律で認められているのは精神科病院と精神保健福祉センターで、ソーシャルワーカーや社会福祉士としての実務があれば受験資格として認められます。
・児童福祉法
児童福祉法で認められる施設の一部は以下の通りです。● 児童相談所
● 乳児院
● 障害児の相談支援施設・入所施設
● 母子生活支援施設
● 児童家庭支援センター
上記のような施設で保育士や児童指導員として働いたことがあれば、実務経験として認められます。
・地域保健法
地域保健法では、保健所と市町村の保健センターの2施設を認めています。社会福祉士や精神科ソーシャルワーカー、心理判定員としての実務経験が必要です。
・医療法
医療法では、心療内科のある病院や診療所、精神科が対象です。精神科ソーシャルワーカーや医療ソーシャルワーカーなどとして必要な期間働いていれば、受験資格として申請できます。
・生活保護法
生活保護法では、入所施設である救護施設や厚生施設などに加え、就労支援を行う事業所も認められています。施設内で生活指導員や就労支援員としての実務経験があれば、受験可能です。
3. 精神保健福祉士国家資格の合格率と試験の特徴は?
精神保健福祉士国家資格を受験するにあたり、合格率と試験の特徴について知っておきたい方も多いのではないでしょうか。
以下で詳しく解説します。
■合格率について
2019年における精神保健福祉士国家試験の合格率は62.7%でした。
2020年は62.1%、2021年は64.2%と、ここ数年の合格率は60%以上を維持しています。
社会福祉士の合格率は30%に満たないため、比較すると精神保健福祉士国家試験の難易度はそれほど高くないと言えるでしょう。
■試験の特徴
精神保健福祉士国家試験最大の特徴は、すべての科目で正解率が60%以上必要ということです。
つまり、総合点が高くても正解率が60%未満の科目が1つでもあれば不合格となってしまいます。
得意分野で点数を稼いでも合格できるわけではないので、すべての科目をまんべんなく勉強しなくてはなりません。
4. 精神保健福祉士国家資格の勉強方法
精神保健福祉士国家試験で一発合格を目指す方のために、効率のよい勉強方法を紹介します。
■まずはスケジュールを立てる
精神保健福祉士国家試験を受験するためには、まず受験の条件を満たす必要があります。
そのため、自分の受験スケジュールを立てることが大切です。
特に、通信制の大学に編入・入学する必要がある人や養成校に入学する必要がある人、仕事や家庭と両立しながら勉強する人などは、すでに福祉系大学の指定科目を履修している人よりもうまく時間を使わなくてはなりません。
まずは、限られた時間の使い方を考えることから始めましょう。
■最新のテキストを使う
身近に精神保健福祉士国家試験の受験者がいる場合、テキストや問題集を借りて勉強する人も少なくないようです。
しかし、精神保健福祉士の分野は法改正が頻繁に行われます。
そのため、効率よく学習するのであれば、最新の内容が反映されたテキストや問題集を使いましょう。
5. 精神保健福祉士国家資格は看護師のキャリアップにもつながる
精神保健福祉士国家資格は正看護師だけでなく准看護師も取得できる資格です。
医療と福祉の両分野の知識を幅広く手に入れられる精神保健福祉士は、今後も医療現場で長く働くことを考えている人にとってキャリアアップなどのメリットがある魅力的な資格と言えるでしょう。
6. まとめ
「精神保健福祉士国家試験」を受験するためには、まず受験資格を得ることが必要です。
学歴や実務経験によって条件が異なるので、該当する資格を早めに確認しましょう。
精神保健福祉士は今後の医療に重要な役割を果たす資格として期待されています。
限られた時間で効率よく学び、一発合格を目指して努力しましょう。