ケアプランセンターとは?役割や業務内容も解説
現在働いている職場からの転職を検討していると、他にどのような職場があるのか、自分に適した仕事は何か迷うこともあるでしょう。介護職員として働く場所のひとつとして、ケアプランセンターが挙げられます。しかし、ケアプランセンターの役割や仕事内容、他の介護機関との違いを詳しく知らない方も多いのではないでしょうか。
ケアプランセンターは施設基準が設けられており、運営するにあたって人員の配置や設備などの条件があります。ケアプランセンターの役割や特徴、施設基準や他の介護機関・施設との違いを詳しく紹介します。
1. ケアプランセンター(居宅介護支援事業所)とは
ケアプランセンターでは、介護保険に関する相談や申請・更新をする際に代行したり、他の事業所や看護サービス事業者と連携や調整を行ったりします。また、介護サービスを希望する方に適したケアプランを提案する場所でもあります。
ホームヘルパーやデイサービスといった在宅サービスのほか、介護保険施設を利用するためには介護保険の申請をしてケアプランを作らなければなりません。介護保険を利用する際には、役所に申請をします。さらに、1回申請したら永久に利用できるわけではなく、利用者ごとに期間に違いがあるものの更新手続きをしなければならないのです。そのため、申請や更新の際に、手続きの代行をしてくれるケアプランセンターを活用する方が多いです。 無料会員登録はこちら
2. ケアプランセンターの役割
ケアプランセンターの役割は、利用者に適したケアプランを作り、提案することが挙げられます。ケアプランセンターの利用を検討する方の多くは、どの介護サービスが良いのか判断できない、自分に適した事業所があるか知りたいなど、介護サービスそのものや施設や事業所に対する疑問を持っている方が多いです。
疑問や不安を解消して、デイサービスや訪問介護事業者と利用者をつなぐ役割があるのです。
3. ケアプランセンターの施設基準とは
ケアプランセンターには、4つの施設基準があります。人員の配置や運営母体、設備などの基準をそれぞれ理解しておきましょう。
■人員
ケアプランセンターの人員基準は、管理者として介護支援専門員を常勤させること、介護支援専門員は利用者35人に対して1人配置することと定められています。
介護支援専門員は、利用者の人数に対して配置しなければならず、働く方のうち1名は常勤させなければなりません。なお、厚生労働省が公表した資料では、1つの事業所につき介護支援専門員の人数は平均3.2人となっています。
■運営母体
ケアプランセンターは、介護事業を行う法人が運営しています。法人に当てはまらない場合は、法人設立や登記簿謄本の使用目的を変更しなければなりません。運営母体はNPO法人、社会福祉法人、医療法人、株式会社などであり、同じ法人のデイサービス、訪問介護、看護ステーションに併設されるケースが多いです。
なお、専門性を持ったスタッフを配置して、高品質な介護サービスを提供していると、特定事業者に認定されます。
■設備
相談室、事務室などとして使うスペースは、プライバシーを守るため区画を設けなければなりません。事業所兼自宅の場合には、パーテーションを利用して事務室や相談室と自宅スペースをしっかりと分ける必要があります。
また、衛生面に関しては、感染症予防のために消毒液や洗浄剤を用意すること、洗面所を設置することなどが条件です。設備の詳細は、都道府県や自治体のガイドラインで決められているため、ケアプランセンターがある地域のガイドラインを確認しましょう。
■運営基準
ケアプランセンターは、厚生労働省令で決められている運営基準に基づき、適正に運営しなければなりません。
「指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準」として、趣旨及び基本方針(第一条・第一条の二)、人員に関する基準(第二条・第三条)、運営に関する基準(第四条―第二十九条)、基準該当居宅介護支援に関する基準(第三十条)、雑則(第三十一条)が定められています。
詳細は「厚生省令第三十八号 指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準」の資料から確認しましょう。
参照元:指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準(平成11年03月31日厚生省令第38号)
4. ケアプランセンターでの主な業務
ケアプランセンターでは、具体的にどのような業務を行うのでしょうか。実際に働き始めた際に担当する業務内容を解説します。
■要介護認定の代行申請
要介護認定を受ける際には、自治体に申請をして審査を受けます。要介護認定を希望する方が住んでいる市区町村で申請をします。申請の窓口は市区町村によって異なり、問い合わせたりウェブサイトで確認したりといった必要があります。申請時には、申請書と介護保険被保険者証などの書類を提出し、介護保険被保険者証の代わりとなる介護保険資格者証を受け取ります。
その後、一次判定、二次判定、認定結果通知の郵送という流れで、要介護認定の判定が出ます。要介護認定を希望する方が申請に行けない場合や、家族が遠くに住んでおり申請を代行できない場合に、ケアマネージャーが利用者本人や家族に代わって申請を行うことができるのです。
さらに、自治体から依頼を受けて訪問調査を行うケースがあります。審査を通過すれば、利用者が介護保険証を受け取れます。
■ケアプラン作成
ケアプランは、利用者本人が置かれている環境や状態、要望をヒアリングして、利用者が希望する生活環境を目標にします。
目標を達成するために使うべきサービスの内容や頻度を決定し、ケアプランを作成する仕事です。一定期間に1度、健康状態や介護状態を確認して、ケアプランを見直さなければなりません。介護サービスの提供が始まったら、医療機関やサービスを提供する事業者と連絡調整をしたり、給付金の管理をしたりすることもあります。
■利用者様の居宅訪問と面談
ケアプランセンターでは、利用者の自宅に訪問し、面談を行います。しかし、医師の指示によっては病院や診療所のほか、場合によっては公的施設やサービスを提供している施設で面談をするケースも少なくありません。
ケアプランセンターでは、1人の職員が多くの利用者を担当しています。面談に使える時間は限られているため、スケジュール管理を徹底して、効率的に業務を進めることが大切です。面談の際には、専門知識がない方でも分かるように質問をしたり会話をしたりといったスキルも必要になります。
■関係各所との連絡調整
関係各所との連絡もケアプランセンターでの業務のひとつです。注意すべき点は、介護サービスを提供している事業所ごとに、連絡調整をする時間が異なることです。例えば、病院に連絡する際には診療が終わる時間、福祉介護サービスを提供している施設では昼食の介護をしている12時前後には連絡をしないといった調整が必要です。なかには、連絡調整をする時間や連絡方法を指定しているところもあります。
■相談業務
ケアプランセンターでは、要介護1以上の利用者を対象にした介護サービスの提案や相談業務をしています。なお、介護サービスの相談業務は他の施設でも行なっていますが、ケアプランセンターよりも幅が広い総合窓口であり、ケアプランセンターとは少し異なります。
5. ケアプランセンターと地域包括支援センターとの違い
ケアプランセンターに似ている施設として、地域包括支援センターが挙げられます。
地域包括支援センターも、地域に住んでいる高齢者が対象になっているものの、対応する範囲に違いがあります。地域包括支援センターは、高齢者から寄せられる相談内容の幅が広いことが特徴です。要介護認定や介護保険の相談のほか、近隣の高齢者同士のトラブルに関する相談も受け付けています。
ケアプランセンターは、主に介護のケアプランを作る場所です。介護認定を受けた方に対して、介護サービスが適切に提供されるように事業所を紹介します。ケアマネージャーが常駐しており、介護に関する質問や相談を受け付けていますが、介護以外の近隣の高齢者とのトラブルといった相談は、受け付けていないことが一般的です。
そのため、介護以外の相談をしたい場合には、ケアプランセンターではなく地域包括支援センターに相談しなければなりません。
6. ケアプランセンターのまとめ
近年、在宅介護を希望する高齢者が増えています。日本では高齢化が進み、ケアプランセンターを必要とする方も増えるでしょう。さらに、最後は自宅で過ごしたいという方が多いため、医療機関との連携も求められます。
ケアプランセンターでの業務は、介護業界でのスキルアップ・キャリアアップを検討している方や在宅支援に力を入れたいケアマネージャーにおすすめです。ケアプランセンターの役割や特徴を理解して、自分に適しているかを判断し、転職活動の際の参考にしましょう。