ガイドヘルパーとは?仕事内容や必要な資格、給料を解説!
ガイドヘルパー(移動介護従事者)は、「高齢者を相手に介護する仕事だ」というイメージを持つ人も多いかもしれませんが、実際には幅広い支援を行う仕事です。具体的には、利用者の要望に合わせて、外出先で代読や代筆まで行います。幅広い業務を行うガイドヘルパーとして勤務するためには、資格が必要です。本記事では、ガイドヘルパーとはどのような仕事なのか、資格取得や就職先などについて解説します。
1. ガイドヘルパー(移動介護従事者)とは
ガイドヘルパーは、「移動介護従事者」ともいわれており、移動する際にサポートが必要な人を介助する仕事です。視覚障害や行動障害などによって一人で出掛けるのが難しい人が対象であり、利用者は高齢者だけとは限りません。相手によってサポート内容に違いがありますが、生活する上で欠かせない移動をサポートし、障害のある人が積極的に社会活動に参加できるように支援する役割があります。
勤務時間は、数時間~丸1日などと選ぶことができ、他の介護職と比較して時給や日給が高いため、契約社員や会社員として働くのではなく、アルバイトとしていくつかの派遣先に登録することも可能です。こうした働き方を自分のライフスタイルに合わせて選べることから、注目を集めています。
無料会員登録はこちら2. ガイドヘルパーの仕事内容
ガイドヘルパーは、主に「行動援護」「同行援護」「全身性障害支援」の3種類に分けられます。それぞれの仕事内容の違いを理解した上で、どの仕事に興味があるのか、どれが自分に向いているのかを確認することが重要です。ガイドヘルパーの仕事内容について、それぞれ紹介します。
■行動援護
行動援護は、知的障害者・精神障害者に対して、外出する際に利用者のサポートをしたり、食事や排せつの介護をしたり、幅広く支援します。また、自傷、他傷、異食、多動、物を壊すなどといった行動障害が起こった際の対応や、行動障害を防ぐといった仕事も行います。
■同行援護
同行援護は、視覚障害者に対して、利用者が出かける際に、「どこに行くのか」「どのように行くのか」「外出先に何があるのか」など、利用者の求める情報を共有したり、移動をサポートしたりします。また、食事、排せつの介護、代読なども行うことがあります。
■全身性障害支援
全身性障害支援は、主に車いすの利用者に対して、移動する際のサポートや誘導を行います。自分で自動車や自転車を運転できる人に対しては、周りの人へ配慮や注意をしながら移動できるよう、サポートしなければなりません。なお、自分で自転車や自動車を運転できない人に対しては、車いすを押してあげる必要があります。移動に伴い、全身障害のある人が不安を感じないように、段差のない場所、車や人通りの少ない場所を選んで移動をサポートすることが大切です。
無料会員登録はこちら3. ガイドヘルパーになるには?資格が必要?
ガイドヘルパーとして働くためには、3種類の資格のいずれかを取得する必要があります。それぞれの資格は、どのように取得するのか、費用やかかる期間についてチェックしてみましょう。
■行動援護従業者養成研修(知的障害者・精神障害者ガイドヘルパー)
行動援護従業者養成研修(知的障害者・精神障害者ガイドヘルパー)とは、介護の方法や行動障害全般についての知識を学ぶ研修のことを指します。10時間の講習と14時間の実習を行い、研修場所によって期間は異なるものの、3~4日で終了するケースが多いです。なお、受講料は、2万~3万円程度となっています。
■同行援護従業者養成研修(視覚障害者ガイドヘルパー)
視覚障害者をサポートする業務に就くためには、同行援護従業者養成研修(視覚障害者ガイドヘルパー)を受ける必要があります。これは、同行援護を行う上で重要なスキルや、障害についての知識を学ぶための研修です。「一般課程」「応用課程」の2種類あり、一般課程は、講習が12時間、実習が8時間です。応用課程では、講習が2時間、実習が10時間で、研修期間は、研修する場所によって異なるものの、3~4日程度が一般的でしょう。受講料は平均3万円程度となっています。
また、同行擁護のガイドヘルパーとして働くためには、以下のいずれかの資格保有者、従事経験者である必要があります。
- 介護福祉士
- 実務者研修修了者
- 居宅介護職員初任者研修修了者
- 介護職員初任者研修修了者
- 視覚障害者外出介護従業者養成研修修了者
- 全身性障害者外出介護従業者養成研修修了者
- 知的障害者外出介護従業者養成研修修了者で、障害者の支援業務に1年以上の従事経験がある人
■全身性障害者ガイドヘルパー養成研修
全身性障害者ガイドヘルパーとして働くためには、全身性障害者ガイドヘルパー養成研修を修了する必要があります。養成研修は、市区町村地域支援事業で行われており、自治体ごとに要件が異なるため、注意が必要です。基本的には、無資格者と有資格者で研修費用が異なります。無資格者の費用は、平均4万5,000円+テキスト代2,700円程度です。介護福祉士、実務者研修修了者、介護職員初任者研修修了者などの有資格者の費用は、3万7,000円+テキスト代2,700円程度です。
4. ガイドヘルパーの主な職場・就職先
ガイドヘルパーの主な職場・就職先は、訪問介護事業所や福祉施設などが多いです。訪問介護事業所は、介護保険に基づいて事業を行う在宅介護や訪問介護の事業所であり、障害者へ向けたガイドヘルプサービスを行っている事業所も多くあります。主に、通院や買い物など、一人で外出するのが難しい障害者のサポートを行っており、事業所に登録すればガイドヘルパーとして活躍できます。福祉施設は、日常的にサポートを必要とする障害者のための福祉施設やデイサービスが挙げられます。施設で職員として働き、利用者のサポートを行います。
特別養護老人ホームや介護福祉施設においても、介護の資格を取った後、ガイドヘルパーの資格を取得することによって、さまざまなスキルや知識を身に付けられるため、より品質の高いサービスを提供できるヘルパーとして活躍できるでしょう。
ガイドヘルパーは、高齢者のみを対象としたサービスではありませんが、高齢化が進む中、福祉施設、介護施設、障害者施設が増えており、人手不足の状態です。そのため、就職先は、比較的見つけやすいといえます。
5. ガイドヘルパーのやりがい・魅力
ガイドヘルパーの仕事をする中でやりがいを実感できるのは、利用者が外出する際にサポートしている瞬間です。利用者は、障害があるため、外出を諦めているケースも珍しくありません。しかし、出掛ける際に同行しサポートすることで、障害のある人の生活がより豊かになるでしょう。利用者によっては、会話などのコミュニケーションが困難な人もいますが、利用者と一緒に楽しみを共有できるため、やりがいを感じられます。
無料会員登録はこちら6. ガイドヘルパーに向いている人
ガイドヘルパーに必要な資格を取得できたとしても、仕事に向いていなければ、続けられなかったり、自分も利用者も辛い思いをしたりといったことにつながってしまいます。そのため、ガイドヘルパーは、どのような人に向いているのか、自分の性格や考え方に合っているのかどうか、見極めることが大切です。そこで、仕事に向いている人の特徴を紹介します。
■柔軟に対応できる人
どこに行くのか、何をするのかについて、あらかじめヒアリングし、シミュレーションをしていたとしても、予期していないことが起こるケースは少なくありません。場面に合わせて柔軟に対応できることはもちろん、自分で考えられなかったとしても、周りにいる人に手段や状態を聞いたり、事業所にスムーズに連絡して指示を仰いだりすることができるかどうかが大切です。
外出すると、利用者からの要望が追加されたり、元々聞いていた内容から変更されたりすることもあります。サポートする時間や予定は決められているため、利用者からの要望が減った、もしくは増えた際には、予約時間内で対応できるかどうか、要望に応えて良いかどうかなど、臨機応変に判断しなければなりません。
■コミュニケーションが得意な人
どのようにコミュニケーションを取るかについては、障害の度合いによって異なります。例えば、視覚障害のある人や身体の不自由な人は「表情」「顔」、言葉を話せない人は「指を指す」「文字を書く」などの方法でコミュニケーションを取る、などといったことです。利用者の希望や考えに基づいてサポートする他、困っていることを聞きながら移動の手助けをするため、状況に合わせて、柔軟にコミュニケーションが取れる方に向いています。
■方向感覚が優れている人
移動のサポートをするため、外出先の地域について詳しいかどうかも大切です。たとえ詳しくなかったとしても、調べてスムーズに移動をサポートする必要があります。
行き先や道順については、スマートフォンやパソコンで簡単に確認することができますが、スマートフォンを見ながら利用者をサポートすることは難しいでしょう。そのため、一度地図を見たらすぐに覚えられる人、一度来た道や何度か利用したことがあるエリアは、地図を見ずに案内・移動を介助できる方向感覚の優れた人に向いています。
さらに、利用者によっては、使いたい公共交通機関が異なることも珍しくありません。私鉄や公営交通などによって料金も違うため、利用者の予算を加味し、移動方法を検討するスキルも求められます。
7. ガイドヘルパーの給料事情
ガイドヘルパーは、正社員とパート・アルバイトでの給与が異なります。正社員として働く場合は、平均20万円前後で、福利厚生、ボーナス、交通費が加算されます。通常は、介護職員初任者研修を取得している人と同じぐらいの給料です。介護福祉士といった資格を持っていると、資格のない人よりも給料が若干高くなるでしょう。
パート・アルバイトとして働く場合は、時給制で1,000~1,800円程度と差があります。時給は、地方よりも都心部の方が高いことが一般的です。ガイドヘルパーは、短時間で働くパート・アルバイトを募集していることが多く、働き方を選べる点がメリットであるといえるでしょう。
8. ガイドヘルパーを目指そう
障害があっても、積極的に社会に出て活動したい」と考えている人は、非常に多いです。しかし、出掛ける際にサポートする仕事に就いている人は少なく、支援が行き届いていません。ガイドヘルパーは、取得しやすい資格です。しかも、短期間で取得できるため、介護職や人をサポートする仕事に興味のある人は、ガイドヘルパーを目指してみるのも良いでしょう。
無料会員登録はこちら