看護と介護の違いとは?仕事内容や必要な資格、給料を解説!
看護と介護は、いずれも障害のある人や高齢者をサポートする仕事です。しかし、看護と介護は、目的、役割、資格、サポートできる内容に違いがあります。看護師と介護士が業務をスムーズに行うためには、両者の役割や違いをしっかり理解しておくことが大切です。そこで、看護と介護におけるそれぞれの特徴、仕事内容、給料、資格の違いなどについて紹介します。
無料会員登録はこちら1. 看護とは
看護の主な役割は、医療ケアをすることです。看護師は、医療の専門知識を持っているため、患者・利用者・障害者を医療の知識でサポートします。医師と同じく医療従事者であるため、介護施設や老人福祉施設で勤務する場合は、医療ケアを行います。介護士と働く職場が同じだった場合でも、看護師だけが実施する医療ケアがある点も特徴です。
2. 介護とは
介護の主な役割は、障害者や高齢者の自立支援を行うことです。生活のサポート、介護を行い、身体が不自由になったり、障害があったりしても、自分の考えに基づいて生活できるようにサポートします。
介護は、「身体のサポート(身体介護)」と「生活のサポート(生活援助)」に分けられることが特徴です。身体のサポートは、利用者の身体に触れる介護であり、車いすに乗る際やベッドから移動する際のサポートの他、入浴、排せつなどを介助します。生活のサポートは、利用者の家で掃除、料理などを代行することです。利用者の身体に触れない場合は、介護の専門資格を持っていなくても、実施することが可能です。
看護師と介護士がスムーズに連携するためには、それぞれの見解や立場を理解しなければなりません。医療と介護の専門知識を持つ者同士、見解が異なることもあるでしょう。これは、役割や利用者に対する考え方が違うため、仕方のないことです。しかし、それぞれの業務を行っているからこそ理解できることや見えるものがあります。お互いを尊重することで、より利用者に適した支援をすることにつながるでしょう。看護師と介護士で見解が異なる場合は、お互いの立場を理解することが大切です。
無料会員登録はこちら3. 看護と介護の違い
看護と介護では、業務を行うに当たって必要な資格や仕事内容に違いがあります。介護業界に携わる場合、それぞれの明確な違いを理解することが大切です。ここでは、看護と介護の違いについて、具体的に解説します。
■資格の違い
看護の資格は国家資格であり、介護の資格は国家資格とその他の資格に分かれていることが特徴です。それぞれの資格の取得方法や内容の違いを見ていきましょう。
・看護の資格
看護師は、国家資格を取得する必要があります。看護師の国家試験を受験し、合格しなければなりません。看護師の国家試験を受けるためには、3年もしくは4年制大学に通うか、看護師の養成所に通う必要があります。または、5年間の看護師養成課程を卒業することで、受験資格を得ることも可能です。
・介護の資格
介護の資格は、「介護職員初任者研修」「介護福祉士」「介護福祉士実務者研修」の3種類が挙げられます。介護職員初任者研修は、元々は「ホームヘルパー2級」といわれる資格であり、介護の仕事をする際における基本的な知識やスキルを身に付けることができます。資格を取得すれば、直接身体に触れる介護を行うことが可能です。
介護福祉士は、国家資格で、条件を満たした上で介護福祉士試験を受験し、合格する必要があります。
介護福祉士実務者研修は、痰の吸引や経管栄養などの医療ケアを行えるようになることが特徴です。なお、介護福祉士実務者研修の取得は、介護福祉士資格を受験するための条件でもあります。
■仕事内容の違い
看護と介護では、仕事内容も異なります。病院内での仕事はもちろん、福祉施設内でも異なる仕事を担当します。食事、入浴のサポートなど、似たような仕事をしているように見えても、目的が異なる点を理解しておきましょう。
・看護の仕事
看護の仕事は、以下の4種類に分けられます。● 診療や手術のフォロー
● 患者の世話
● 救急対応
● 医療行為全般
看護師は、主に医師が行う手術や診療のフォローを行います。診療では、体温・血圧を測ったり、診療に必要な器具を医師に渡したり、注射、点滴、採血を行ったりといったことが挙げられます。手術室で勤務する際には、手術前に照明・温度を確認し、医師の指示に沿って器具を渡すといった重要な仕事を担当します。
患者の世話は、看護スケジュールに合わせて、患者一人一人に応じた世話をしなければなりません。入浴、食事、排せつのサポートといった世話をすることはもちろん、患者に大きな変化がないかを常にチェックし、医師に伝える必要があります。
救急病院で働く場合は、運ばれてくる患者の看護や応急処置を行い、医師の指示の下、救命措置を行うこともあります。常に緊張感があるため、精神面での強さも求められるでしょう。また、救命救急病院では、24時間シフト制で働くことが一般的であり、夜勤と日勤の両方を担当するケースも少なくありません。医療行為全般は、注射、点滴、酸素ボンベを管理したり、酸素量を調整したりといったことを行い、その他には、痰の吸引、経管栄養、人工肛門の管理・交換なども挙げられます。
・介護の仕事
介護は、「身体のサポート(身体介護)」と「生活のサポート(生活援助)」の2種類があります。身体介護と生活援助を行い、利用者が自立できるようにすることが主な仕事です。身体のサポートは、介護度の高い場合に求められることが多く、老人ホームの他、デイサービスでも行われることがあります。患者・利用者・障害者の生活支援、療養サポートのためには看護・介護どちら側からの支援も必要になるなど、包括的なケアが求められているため、病院で介護士が働いていたり、介護施設で看護師が働いていたりすることも多いです。
洗濯や掃除などの生活のサポートは、基本的に利用者の自宅で実施されます。「訪問介護」といわれることもあり、職員が利用者の自宅を訪問し、身体に触れずに支援をすることも多いです。介護の中でも訪問介護の仕事は、介護の資格を取得していなくても行うことができます。また、生活のサポートは、短時間の業務のため、アルバイト・パートで働く人が多くいるのも特徴です。
■給料の違い
看護職と介護職では、給料にも違いがあります。看護職は、夜間勤務手当が付くことも多いでしょう。介護職は、資格を取得することでキャリアアップしたり、手当が付いたりすることが特徴です。それぞれの平均給料について、紹介します。
・看護職の給料
厚生労働省の「令和2年度(2020年度)介護従事者処遇状況等調査結果」では、看護師の平均給与は37万9,610円でした。給料は、介護職と比べて看護職の方が「高い」といえます。これは、国家資格であること、医療ケアができること、専門知識があることが理由であるといえるでしょう。厚生労働省が発表した数字は、あくまでも平均値であり、夜勤の場合は、平均よりも高い給料をもらえることが一般的です。管理職に就くことができれば、夜勤が減少し、役職手当が付きます。さらに、保健師や助産師の資格を取ってキャリアアップすれば、昇給できる可能性が高いでしょう。
参考:令和2年度介護従事者処遇状況等調査結果
・介護職の給料
厚生労働省が発表した「令和2年度(2020年度)介護従事者処遇状況等調査結果」では、介護職の平均給与は、31万5,850円でした。介護職は、資格を取得していると、資格手当が付くことが一般的ですが、特に、国家資格の介護福祉士は需要があるため、キャリアアップにより給料も高くなるでしょう。介護福祉士は、チームリーダーとして責任ある仕事を任されるため、昇進するチャンスがあり、昇進できれば給料が上がります。また、資格を取得した後、さらに他の資格取得を目指す方法も有効です。例えば、ケアマネージャーは、介護福祉士として5年以上実務経験があり、900日以上従事していれば、受験することができます。そのため、介護福祉士として働きながら、取得を目指すことができるでしょう。
ケアマネージャーの給料は、介護福祉士と比較して高い上、業務内容も多岐にわたります。ケアプランを作る仕事に興味がある人には最適でしょう。
さらに、施設で働く場合や夜勤手当によって、給料が上がることもあります。介護施設は、早番から夜勤までシフト制で、夜勤は16時間勤務です。長時間勤務すると、1回の業務で2日分の給料が支払われ、加えて夜勤手当が付きます。正社員はもちろん、アルバイトでも夜勤手当が付くため、雇用形態を問わず、給料アップを目指すことができます。
参考:令和2年度介護従事者処遇状況等調査結果4. 看護と介護の違いを理解しよう
看護と介護は、仕事、目的、役割に違いがあります。介護施設や病院では、業種や資格の異なる従業員たちが連携しなければなりません。利用者により良いサービスを提供するためにも、職種の異なる者同士、理解し合うことが大切です。それぞれの職種の違いを確認し、お互いの考え方や意見を尊重しながら、サービス向上を目指す必要があります。
介護の仕事に従事する場合は、各々の資格、仕事内容、役割の違いに関して、理解を深めておきましょう。