生活支援コーディネーターとは?仕事内容や給与についてもわかりやすく解説!
介護や福祉に関連する職業の1つに、生活支援コーディネーターがあります。今回の記事では生活支援コーディネーターの仕事内容や給与について紹介します。 生活支援コーディネーターや介護・福祉に関連する職業を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。
1. 生活支援コーディネーターとは?
生活支援コーディネーターとは、高齢者やその家族が暮らしやすい環境を実現するために、地域の方々と支え合う仕組みを考え、課題解決の手伝いをする職業です。このことから、「地域支え合い推進員」という別名でも呼ばれています。生活支援コーディネーターの目的は、高齢者の生活支援や介護予防の基盤整備を推進することです。
地域のニーズにあった福祉サービスを探し、その後、適切な業者や機関とつなぐマッチングの役割を担っています。
■生活支援コーディネーターの背景
2025年を目前にして、ますます生活支援コーディネーターの活躍が期待されています。なぜなら、2025年には1950年代に生まれた方々が一斉に後期高齢者となるからです。この問題は「2025年問題」と呼ばれており、今後の対策が問われています。
2025年問題の課題点は、高齢者の人口増加だけではありません。認知症高齢者や高齢世帯、死亡者数の増加も課題とされています。高齢者が自分らしく暮らしていくためには住まいや医療、介護や予防、生活支援が提供できる仕組みを構築しなければなりません。そこで、生活コーディネーターの存在が大きな力となるでしょう。
・地域包括ケアシステム
生活支援コーディネーターは、2015年の介護保険制度改正の際につくられました。目的は「地域包括ケアシステム」を進めるためです。地域包括ケアシステムは、5つの柱を包括的に提供できる体制を構築しています。5つの柱は以下の通りです。● 医療
● 介護
● 予防
● 住まい
● 生活支援
この5つの柱は、前述の2025年問題にも大きくかかわってきます。目標は、これらを均等に組み合わせて「高齢者が自立した生活を送れるようにする」ことです。そのためには生活支援コーディネーターだけでなく、公的機関や地域住民、民間機関との連携が必要と言えるでしょう。高齢者を支える取り組みは、力を合わせることで円滑に進めることができます。
・第一層・第二層・第三層の考え方
生活支援コーディネーターは3つの構造から成り立っています。一層から二層、二層から三層と数字が大きくなるにつれ、生活支援コーディネーターの活動範囲も広がっていくという点が特徴です。● 第一層:市町村区域でコーディネート
● 第二層:日常生活区域でコーディネート
● 第三層:生活支援や介護予防サービス提供者と利用者を組み合わせる
■生活支援コーディネーターの目的
生活支援コーディネーターの目的は、高齢者の生活支援や介護予防サービスの体制を推進することです。さまざまな高齢者が自分らしく生活を送れるよう、日常生活上の支援体制の充実と強化を図ります。
また、生活支援コーディネーターの存在意義は地域の困りごとの相談に乗り、解決に導くことです。そのため、高齢者の一人ひとりに寄り添ってサポートしなければなりません。悩みを気軽に話せる信頼関係の構築も必要です。
■生活支援コーディネーターに求められる役割
生活支援コーディネーターに求められる役割は、以下の通りです。
● 社会資源の把握:地域の居場所や生活支援に関するサービス、ボランティアグループなどを把握する
● 地域住民のニーズとマッチングする取り組み:把握した困りごとに対応する。地域にある活動につなげたり、新しいサービスをつくったりする
● 福祉ネットワークの構築:地域住民や関係者の話し合いができる場をつくる
生活支援コーディネーターは、ニーズに応えるために公的機関や地域住民の多くと連携する必要があります。
2. 生活支援コーディネーターの仕事内容
生活支援コーディネーターは、地域の高齢者の悩みや希望に沿って、彼らが自立した生活を送れるようにサポートを行うのが仕事ですが、そのためには信頼関係の構築が必要になります。淡々と事務作業を進めるというより、人とのかかわりが重要になる仕事と言えるでしょう。
先述のように、生活支援コーディネーターは活動範囲が3つに分かれています。層はそれぞれ単体で存在している訳ではなく、関連しているのが大きな特徴です。たとえば、地域の規模によって第一層と第二層が同じ役割をしていたり、複数の第二層がまたがってコーディネートしていたりします。
3. 生活支援コーディネーターの職場は?
主に生活支援コーディネーターは市役所や役場の福祉関係の部署などに配属されます。ただし自治体の規模が大きい場合は、業務委託が一般的で、配置されるのは社会福祉法人や特定非営利法人などになるでしょう。
つまり、生活支援コーディネーターの職場は自治体の規模によって異なるということです。
4. 生活支援コーディネーターと生活支援員における違い
生活支援コーディネーターと生活支援員は間違われやすい職業です。生活支援員というのは身体や知能、精神に障害をもつ方々の生活を支援する役割があります。支援内容は生活習慣や職業訓練などの指導・支援、悩みごとの相談などです。
生活支援コーディネーターとの違いは、高齢者や障害者の介助や支援を実際に行なっているかどうかと言えるでしょう。また、地域活動支援センターや障害者支援施設、高齢者向けの介護施設が生活支援員の主な職場とされています。
5. 生活支援コーディネーターの給与や待遇って?
次に、生活支援コーディネーターの給与や待遇について紹介します。
■生活支援コーディネーターの給与
生活支援コーディネーターの給与は、21〜26万円が相場のようです。ただし、所属する施設によって給与額が異なったり昇給したりする可能性もあります。
■生活支援コーディネーターの待遇
生活支援コーディネーターの待遇は、所属する施設によって異なりますが、正社員の場合は社会福祉士やケアマネージャーなど、資格手当が出るところもあります。また、経験に応じて昇給することもあるので、安定した収入が得られるでしょう。
さらに、生活支援コーディネーターは決まった時間の日勤が多く、夜勤はほとんど発生しません。ただし、所属する施設によっては例外もあるため、求人に応募をする際は確認しておきましょう。
6. 生活支援コーディネーターに必要な資格はある?
生活支援コーディネーターに必要な資格は特にありません。しかし、研修などを受けることが望ましいとされています。
■取得が望ましい資格
生活支援コーディネーターで取得が望ましい代表的な資格は、介護福祉士や社会福祉士などです。
・介護福祉士
介護福祉士とは介護に関連する一定の知識や、技能を習得していることを証明する国家資格です。資格取得方法は3パターンあります。詳細は以下の通りです。● 養成施設ルート
● 福祉系高校ルート
● 実務経験ルート
上記のいずれかを通過することで受験資格を得られ、その後国家試験に合格すれば資格を取得できます。次回の介護福祉士の試験は2023年1月29日(日)に筆記試験が行われ、実技試験は2023年3月5日(日)に実施予定です。
・社会福祉士
社会福祉士とは福祉・医療に関する相談や、援助の専門家として認められた国家資格です。資格取得方法は12ルートありますが、大まかに3つパターンに分けられます。詳細は以下の通りです。● 福祉系大学・短大(指定科目履修)ルート
● 短期養成施設等ルート
● 一般養成施設等ルート
上記のいずれかを通過することで受験資格を得られ、その後国家試験に合格すれば資格を取得できます。次回の社会福祉士の試験は、筆記試験が2023年2月5日(日)に実施予定です。 無料会員登録はこちら
7. 生活支援コーディネーターに向いているのはどんな人?
生活支援コーディネーターに向いている方は、コミュニケーション能力の高い方や、中立の立場で物事を考えられる方です。地域の機関と連携しなければならないので、スムーズにコミュニケーションをとる必要があります。また、複数の機関の間を取り持つ役割もあるため、中立の立場でいなければなりません。
他にも、人と会って話すのが好きな方や、人の役に立ちたいと考えている方にも向いていると言えます。
8. まとめ
生活支援コーディネーターとは、地域で支え合う仕組みを地域の方々と考え、課題解決の手伝いをする職業のことです。高齢者の生活支援や、介護予防の基盤整備の推進を目的としています。人とのかかわりが重要な仕事です。
生活支援コーディネーターや介護・福祉に関連する職業を検討している方は、ぜひ今回の記事を参考にしてみてください。