訪問介護とは?サービス内容や費用など詳しく解説
日常生活においてさまざまな援助を受けられる訪問介護ですが、どのようなサービスがあるのか、自身が利用できる対象に当てはまるのかわからない方も多いのではないでしょうか。
本記事では、訪問介護とはどのようなサービスか、費用感やメリット・デメリットを解説します。訪問介護の受けるための手順や事業者を選ぶポイントも解説するので、利用を検討している方はぜひ最後までご覧ください。
1. 訪問介護とは?
訪問介護とは、自分や家族だけでは日常生活が困難な利用者に対し、介護福祉士などの資格を所有した介護士が、利用者の自宅を訪問して介護を行うサービスです。利用者が自宅にいても自立した生活を送ることができるよう、さまざまなサポートを行います。
訪問介護を利用するには条件があるため、すべての人が利用できるわけではありません。訪問介護の対象となる人や職員の体制について、下記で詳しく解説します。
■訪問介護の対象となる人
訪問介護の対象となる人は、以下の認定を受けた人です。
● 自力での生活が困難:要介護1~5
● 日常生活の一部で介護が必要:要支援1~2
なお、要支援1~2の認定を受けた人は「介護予防訪問介護」の対象となる
介護予防訪問介護は、要介護状態への進行を予防することが目的です。通常の介護と比べ、週の利用回数などに制限が設けられています。
■職員の体制
訪問介護事業には人員基準があり、下記3職種の人員を事業所に配置しなければいけません。
● サービス提供責任者
● ホームヘルパー
● 常勤管理者
以下でそれぞれ詳しく見ていきましょう。
・サービス提供責任者
サービス提供責任者は、下記いずれかの条件を満たす人の中から、事業所の規模に応じて必要な人数を配置します。● 介護福祉士
● 介護職員実務者研修修了者
● 旧介護職員基礎研修課程修了者
● 旧訪問介護員養成研修1級課程修了者
● 看護職員(看護師、准看護師)
サービス提供責任者は、最低でも事業所に1人配置しなければいけません。また、利用者が40人を超えるごとに1人以上追加・配置する必要があります。なお、新規事業所の場合は推定される利用人数に応じて配置してください。
・ホームヘルパー
ホームヘルパーは、利用者宅に訪問介護を行う職員です。下記いずれかの条件を満たす人の中から、サービス提供管理者を含めて常勤換算で2.5人以上配置する必要があります。● 介護福祉士
● 介護職員実務者研修修了者
● 介護職員初任者研修修了者
● 旧介護職員基礎研修課程修了者
● 旧訪問介護員養成研修1級・2級課程修了者
● 看護職員(看護師、准看護師)
● 生活援助従事者研修修了者
・常勤管理者
常勤管理者は、事業所の責任者として管理業務を行う職員です。常勤で1人配置する必要がありますが、特別な資格は必要ありません。業務に支障がなければ、同一事業所内・敷地内の別業務との兼任が可能です。ただし、事業所の管理業務を専任されているため、事業所外での業務は認められていません。 無料会員登録はこちら
2. 訪問介護のサービスとは?
訪問介護のサービスには、大きく分けて下記の2種類があります。
● 身体介護
● 生活援
■身体介護のサービス内容
身体介護は、利用者の体に直接触れて行うサービスで、下記のような介護が該当します。
● 食事介助
● 入浴介助
● 排泄介助
● 更衣介助
● 起床や就寝の介助
● 体位変換介助
● 移動介助
● 外出介助
● 服薬介助
● 身体整容
● 清拭
■生活援助のサービス内容
生活援助は、利用者本人やその家族が生活するうえで、家事を行うのが困難な場合に代行して日常生活を援助するサービスです。主に下記のような家事が該当します。
● 料理
● 洗濯
● 掃除
● 衣類の整理
● 生活必需品の買いもの
● ゴミ出し
● 薬の受け取り
■サービスを受けられる頻度
訪問介護には政府が定めた利用回数の目安などはあるものの、基本的に上限はありません。ただし、介護予防訪問介護の対象である要支援1の場合は、週に2回までという利用制限があるため、利用時は注意しましょう。
なお、1日に2回以上訪問介護サービスを受ける場合、それぞれのサービスの間に2時間以上時間を空ける必要があります。これは、2時間以上空いていなかった場合、そのサービスは1回のサービスとみなす規定があるためです。
■訪問介護で対象外のサービス
訪問介護とは、利用者にできない日常的な行動などを援助するサービスです。そのため、利用者本人以外への援助や日常生活に支障がない行為などへの援助は対象となりません。訪問介護で対象外のサービスには、下記のようなものがあります。
● 利用者本人以外を対象とした料理や洗濯などの家事
● 不必要な外出への援助
● 同居家族の部屋の掃除
● ペットの世話
● 庭の手入れ
3. 訪問介護の費用
訪問介護の費用は、サービスの内容と所要時間によって変わります。自己負担1割の場合にかかる費用の目安を下記でご紹介します。
■1日あたりにかかる費用の目安
訪問介護における、サービス内容と時間ごとの料金目安は下記の通りです。深夜や早朝など、時間帯によって割増しになる可能性があるため、注意しましょう。
サービス内容 | 時間 | 料金目安 |
身体介護 | 20分未満 | 167円 |
20分以上30分未満 | 250円 | |
30分以上1時間未満 | 396円 | |
1時間以上1時間30分未満 | 579円 | |
生活援助 | 20分以上45分未満 | 183円 |
45分以上 | 225円 | |
身体介護+生活援助 | 身体介護:20分以上30分未満 生活援助:20分以上45分未満 |
317円 |
身体介護:20分以上30分未満 生活援助:45分以上70分未満 |
384円 | |
身体介護:20分以上30分未満 生活援助:70分以上 |
451円 | |
身体介護:30分以上1時間未満 生活援助:20分以上45分未満 |
463円 | |
身体介護:30分以上1時間未満 生活援助:45分以上70分未満 |
530円 | |
身体介護:30分以上1時間未満 生活援助:70分以上 |
597円 | |
通院時などの乗降車介助 | 1回 | 99円 |
4. 訪問介護のメリット
ここでは、訪問介護のメリットをご紹介します。
■住み慣れた自宅でサービスが受けられる
介護サービスには、デイサービスや有料老人ホームなど、施設で介護を受けるサービスがあります。訪問介護はこれらと違い、自宅でサービスを受けられるのが大きなメリットです。
住み慣れた自宅でサービスを受けられるため、生活スタイルを変えることなくサービスを受けられるでしょう。
■必要な分だけサービスを受けられる
訪問介護は、サービス内容と時間ごとに細かく料金が設定されています。そのため、自分に必要な分だけサービスを受けられるのが特徴です。
1回あたりの料金も安いため、気軽にサービスを受けられるでしょう。
■離れて暮らしていても安心できる
利用者が家族と離れて一人暮らしをしている場合、離れている家族は利用者の安否が心配です。訪問介護によってホームヘルパーが利用者宅に訪れることで、定期的に安否確認ができます。
体調の変化などにも気付きやすいため、離れている家族も安心できるでしょう。
5. 訪問介護のデメリット
ここでは、訪問介護のデメリットをご紹介します。
■他人を家に入れるのに抵抗がある場合も
訪問介護は自宅で介護を受けられますが、どうしても自宅に他人を入れたくない人にとってはデメリットと言えるでしょう。自宅内に触れてほしくないものや見られたくないものがある場合、自宅にホームヘルパーを入れるのは抵抗があります。
抵抗がある場合は、まずは短時間や家族がいる時間帯での利用から始めてみるとよいでしょう。
■ホームヘルパーとの相性が合わない可能性も
訪問介護では、ホームヘルパーとの相性も重要です。介護を受ける際に要望をホームヘルパーに伝えますが、相性が悪いとうまくコミュニケーションを取れず、伝わらない可能性もあるでしょう。
気になる点を改善できない場合、利用者は今後訪問介護を頼みにくくなります。とはいえ、利用している事業所に連絡するとホームヘルパーを変更してもらえる可能性もあるので、問題があれば一度相談するとよいでしょう。
6. どのような人が訪問介護に向いているの?
訪問介護には、メリット・デメリットの両方があります。それらを踏まえて、訪問介護に向いている人は下記のような人です。
● 一人暮らしで自分だけでは日常生活に支障がある人
● 自宅での生活を続けたい人
● 部分的なサポートが必要な人
7. 訪問介護サービスを受けるまでの手順
ここでは、訪問介護サービスを受けるまでに必要な手順を解説します。
■要介護認定の申請
訪問介護サービスを受けるには要介護1~5、または要支援1~2の認定を受けている必要があります。そのため、まずは要介護認定の申請が必要です。
申請者本人が「要介護認定申請書」を作成し、各市区町村の担当窓口へ提出しましょう。
■認定調査と主治医意見書の作成
申請すると、調査員による認定調査が行われます。調査後は、各市区町村からかかりつけの主治医に意見書の作成が依頼されます。
■審査判定
認定調査や主治医の意見書をもとに、審査が行われます。調査内容による1次審査と、1次審査の結果と主治医意見書をもとに要介護度を決定する2次審査の2つの審査が必要です。
■要介護認定
2次審査まで終わると、結果が申請者へ通知されます。申請から通知までは、およそ1か月ほどかかるでしょう。
■ケアプランの作成
審査の結果要介護認定を受けられた場合、ケアプランの作成を行います。ケアプランの作成は、要介護と要支援で担当が違うため、注意しましょう。依頼先は以下の通りです。
● 要支援:地域包括センター
● 要介護:介護支援専門員が在籍している居宅介護支援事業
■介護サービスの利用開始
ケアプランを作成した後は、プランに沿ってさまざまな介護サービスを利用できます。
8. 訪問介護の事業者を選ぶ際のポイント
訪問介護の事業者はどこでもいいわけではなく、利用者に合った事業者を選ぶことが重要です。ここでは、訪問介護の事業者を選ぶ際のポイントを解説します。
■職員の配置状況
職員の配置状況では、主に常勤ヘルパーの人数をチェックします。
・常勤ヘルパーが少ない場合
常勤ヘルパーが少ない場合、非常勤ヘルパーを含む事業所全体の職員が多い傾向にあります。そのため、利用者と相性のよいホームヘルパーを見つけやすいでしょう。一方で、非常勤ヘルパーは直行直帰が多いため、事業所に行く機会があまりありません。結果として、事業所とのつながりが薄く意見交換や新たな介護手法など、知識面で不安がある可能性もあります。
・常勤ヘルパーが多い場合
常勤ヘルパーは事業所を拠点として利用者宅へ訪問しています。つまり、常勤ヘルパーが多い場合は事業所内での意見交換などが活発に行われていると考えてよいでしょう。知識面では安心できますが、一方で職員が少ない傾向にあるため、相性のよいホームヘルパーを見つけることが難しいというデメリットもあります。■事業者の口コミや評判を複数比較する
事業者の口コミや評判を比較することも、事業者選びのポイントです。利用者の声を聞くことで、ホームヘルパーの質やサービス内容などを利用者目線で知ることができるでしょう。
9. まとめ
訪問介護とは、利用者が自宅にいながらさまざまな介護を受けられるサービスです。短時間から利用できるため、必要以上に費用がかかることもありません。
訪問介護サービスを受けるには要介護1~5、または要支援1~2の認定を受けている必要があります。要介護認定を受けていない人は、今回解説した手順に沿って申請を行いましょう。
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