介護施設のおすすめ体操レクを紹介!具体的な効果ややり方を解説
適切な体操は健康的な生活の一部として重要です。特に高齢者の場合、身体機能の維持や向上のために欠かせません。介護施設で働く方の中には、利用者にとって効果的な体操レクを取り入れたいと考えている方も多いのではないでしょうか?
今回は、介護施設での体操レクの目的と、おすすめの種目を紹介します。
1. 介護施設で行われる体操レクの主な目的
体操レクは、身体機能の維持・向上など、活動的な日常を送るきっかけになり、QOLの向上が期待できます。ここでは、介護施設が体操レクに取り組む主な目的を4つ紹介します。
■身体活動量の増加
介護施設で行う体操レクの最大の目的は、日々の活動量を増やすことです。
無理なく楽しく体を動かすだけで、日常動作の保持や増加、身体機能の衰え防止につながります。体操レクは、高齢者が健康で活動的な生活を維持するための鍵と言えるでしょう。
■利用者同士の交流を促す
施設の利用者は集団で体操を行うことにより、自然とコミュニケーションを図ろうとします。体操を通じたコミュニケーションでは仲間意識を芽生えさせ、互いの心身の健康維持にもメリットがあるでしょう。
外出する機会の少ない高齢者にとっては、精神的な安定をもたらす役割があります。
■日常生活の間接的なサポート
体操により身体機能の維持・向上が自覚できると、高齢者は自発的に活動の範囲を広げようとするでしょう。体を動かすことは、日々の動作での困難が少なくなり、結果的に生活を豊かにすることにつながります。
■ご家族の介護負担の軽減
高齢者が体操で身体機能を維持しようとすることは、周囲にポジティブな影響を与えます。家族や介護スタッフが身体介助をする際の負担を減らし、精神状態に余裕が生まれると、よい関係性を生むきっかけになるでしょう。
無料会員登録はこちら2. おすすめ体操レク6選を紹介!
ここでは、おすすめの体操レクを6つ紹介します。どれも無理なく気軽に全身を動かせる体操レクなので、ぜひ取り入れてみてください。
■首の体操
首を前後左右の6方向に動かす運動です。それぞれの動きを10回ずつ行いましょう。
【手順】
- イスに腰かけ背筋を伸ばす
- 首を前に倒す
- 首を後ろに倒す
- 顔を右に向ける
- 顔を左に向ける
【効果】
- 肩こりの予防
- 咀嚼(そしゃく)・嚥下(えんげ)機能の維持・活性化
- バランス能力の維持
【ポイント】
- 自分のペースで無理なく運動することが最も大切です。痛みを感じたら、すぐに体操を中止しましょう。
■肩の体操
8種類の動きで筋肉をほぐし、胸から肩にかけての柔軟性を維持します。
【手順】
- 肩を上に上げる
- 肩を後ろに引く
- 腕を真横に上げる
- 肩を内側に閉じる
- 肩をすくめる
- 肩を下に落とす
- 腕を水平に内側に動かす
- 腕を水平に外側に動かす
【効果】
- 円背や肩の可動域の改善
- 上着の着替え、頭や体を洗う動作の改善
【ポイント】
- 各10回ずつ、深呼吸をしながら行うとよいでしょう。
■手先のストレッチ
手先の運動は認知症予防に効果があると言われています。
【手順】
- 両手を前に出し、手首や指先をぶらぶらと揺らしてほぐす
- 両手でにぎってひらく動作を10回繰り返す
- 両手を合わせてから、指先を開く
- 両手の指同士がくっついているかを確認する
- 指先だけがくっついている状態で手のひらに空間を作る
- 親指だけを離して、指が当たらないようにぐるぐると10回まわす
- 各指をぐるぐると10回ずつまわす
【効果】
- 手首の柔軟性の改善
- 血行の促進
- 指先の動作改善
【ポイント】
- 中指や薬指は特に難しく感じるかもしれませんが、無理をせずゆっくりと行いましょう。
■足の指の体操
足の指の柔軟性を高める運動です。足の指の動きはバランス感覚や歩行に大きく影響します。転倒防止のためにも忘れず取り入れましょう。
【手順】
- イスに腰掛け、片足のつま先を床に立てる
- 5〜6回繰り返す
- 反対の足も同様に行う
【効果】
- バランス機能の維持
- 歩行に必要な足指の力を養う
【ポイント】
- 初めての方や指先を立てるのが困難な方は、素足になって目で確認しながらゆっくりと行いましょう。
■太もも裏のストレッチ
太ももの裏を伸ばすことで、腰痛改善や膝への負担軽減も期待できます。座っている時間が長い方には特におすすめの体操です。
【手順】
- イスに腰掛ける
- 片方の太ももの下にタオルを入れる
- タオルの両端を持つ
- タオルで太ももを引き上げるようにし、片方の足の裏をイスの上に乗せる
- 上げたほうの膝を両手で固定する
- 両手で膝を持ちながらの足を体に引き寄せる
【効果】
- 歩行時の動きを改善
- 立ち上がる際の動きを改善
【ポイント】
- 左右順番に行いましょう。
- 無理な動作は筋肉を傷つける可能性があるので、膝や足全体に痛みを感じない範囲でゆっくりと実施するのが重要です。
■腰の体操
腰の筋肉が伸びているのを感じながら行うと、起き上がったときにスッキリします。
【手順】
- イスに腰掛けて姿勢を正す
- 上半身を前に倒す
- 足首をつかむ
【効果】
- 靴や靴下の着脱動作を改善
- 腰の柔軟性を改善
【ポイント】
- 2と3の動作ではそれぞれ10秒間キープし、これを6回を目安に繰り返してください。
- 前傾する際、バランスを崩して転倒しないように注意しましょう。
- 安全な位置と姿勢で行い、無理に深く曲げようとせず、できる範囲で行うことが大切です。
3. 体操レクを行う際の注意点
体操レクを適切に行うために、以下の3つを守りましょう。
■利用者の状態を常に把握しておく
介護施設で体操レクを行う前に、参加者の体調や気分を理解・把握しておく必要があります。レベルの高い体操や長時間の運動は、ケガだけでなく体調不良の原因になる可能性があるので、限界を超えないよう配慮しましょう。
■利用者ごとに鍛えるべき場所を決めておく
すべての参加者が同じ体操をこなせるわけではありません。利用者一人ひとりの筋力や柔軟性、運動能力を考慮したうえで、ニーズに合わせた体操を提供することが大切です。
日々の様子や会話を参考に、身体機能の維持・向上に効果的な運動プログラムを作成しましょう。
■楽しんでもらえる工夫をする
体操レクは、ただ運動を目的にするのではなく、楽しんでもらえる工夫を取り入れながら行うことが最も大切です。参加者の興味や好みに合わせて、笑いを誘う演出をしたり懐かしい音楽をかけたりと、全員が楽しく参加できる雰囲気をつくりましょう。
無料会員登録はこちら4. まとめ
体操レクは、心身の健康や日常動作をサポートする大切な役割を担っています。各部位に焦点を当てた体操をこなすことで達成感が得られ、QOLの向上・改善につながるでしょう。
そのためには、その日の状態を把握し、無理のない体操の実施が重要です。また、参加者が楽しめるような工夫をして、充実感を印象付けることも大切です。仲間と協力して楽しい体操レクを実現させましょう。