要介護と要支援の違いは?要介護認定の基準や流れを解説!
要介護認定はどれくらいの介護が必要なのかを客観的に判断するものです。
要支援1、要支援2、要介護1〜5までの認定があり、認定された状態に合わせて介護サービスを受けられます。
要介護認定をすることで、必要な介護の状態を正確に判断でき、適切な介護が受けられるので、本人や家族にとって大きなメリットです。要介護や要支援など、どのような違いがあるのか分からない人も多くいます。本記事では、要介護認定や要支援について詳しく説明します。
1. 要介護認定とは
要介護認定とは、介護の度合いを客観的に判断して数値化したものであり、介護を受ける場合には、要介護認定をしなければいけません。
介護サービスは、運動機能や思考力、理解力の低下によって日常生活に支障が生じ、介護が必要な状態である場合に利用できます。要介護は1〜5で分類されます。
また、要介護認定がされた場合には、介護保険制度の適用対象となり、毎月決まった給付額を受け取れます。
介護の度合いは1〜5の段階が上がるほど重くなり、給付額もそれに合わせて増加します。
無料会員登録はこちら2. 要介護と要支援、自立の違い
要介護の他にも要支援や自立と判断される場合もあります。それぞれに基準があるため、具体的な例を交えながら要介護と要支援、自立の違いについて詳しく説明します。
■要介護とは
要介護とは、日常生活の基本的な動作を自分で行うのが困難であり、誰かの介護が必要な状態をいいます。
例えば、入浴時には自分で体を洗うことができない、排泄時にはズボンの上げ下げをできない、立ち上がる時に手助けが必要などです。
このように、日常生活に困難をきたしており、一人では生活できずに介助を必要とする状態を、要介護といいます。
■要支援とは
要支援とは、日常生活のほとんどのことを自分で行えるが、場合よっては介助が必要である状態、または現在の状態が続けばこれから要介護になる可能性がある状態をいいます。
例えば、入浴は自分でできるが、掃除などは自分でできないなどです。
■自立とは
自立とは日常生活の基本的な動作から手段的動作まで自分一人でできる状態のことをいいます。
特に、歩行や入浴、食事、排泄などです。手段的な動作は薬の服用、電車に乗るなどの動作を言います。
簡単に言えば、日常生活を自分一人でも問題なく送れるということです。
無料会員登録はこちら3. 要介護認定の流れ
要介護認定の申請は、介護サービスを受けたいご本人もしくはご家族が自治体の役所で行う必要があります。
要介護認定までには、申請や調査、一次判定などの手順を踏まなければなりません。
■申請
まずは、要介護認定の申請です。申請をするときは、介護保険被保険者証が必要となり、40〜60歳までの人が申請をするときは、医療保険証が必要となります。
■要介護認定調査
要介護認定をするために、市区町村などの調査員が自宅を訪問して調査を行います。病院にかかっている場合は主治医によって調査が行われ、いない場合は市区町村の医者が診断します。
■一次判定
一次判定は、コンピューターによる客観的な判定です。
調査結果と主治医意見書はデータ化され、全国で同じ判断方法によって要介護度が判定されます。一次判定が終わったあとは、二次審査に進みます。
■介護認定審査会での二次判定
二次判定においては、一時判定の結果と主治医意見書に基づいて介護認定審査会による要介護度の判定がされます。
市区町村は介護認定審査会の判定結果に基づいて要介護認定を行い、申請者に結果を知らせます。申請から二次判定の結果を得るまでには、大体1ヶ月ほどかかります。
■介護度の判定
二次判定で判定された要介護度の結果と被保険者証が利用者に渡されます。
介護度の判定が終わったあとは、介護サービス計画書の作成を行い、介護予防とケアプランの2通りの予定を作成します。
無料会員登録はこちら4. 介護度(レベル)認定の基準・区分
介護度の認定基準や区分について説明します。
介護度の区分は、要支援1・2、要介護1〜5で設定され、一次判定と二次判定で決まります。
一次判定は、以下の表の要介護認定等基準時間で区分を判定します。
区分 | 要介護認定等基準時間 |
---|---|
非該当 | 25 分未満 |
要支援 1 | 25 分以上 32 分未満 |
要支援 2・要介護 1 | 32 分以上 50 分未満 |
要介護 2 | 50 分以上 70 分未満 |
要介護 3 | 70 分以上 90 分未満 |
要介護 4 | 90 分以上 110 分未満 |
要介護 5 | 110 分以上 |
要介護認定等基準時間は以下の5つの介護を時間換算したものです。
直接生活介助 | 入浴や食事、排泄などの介助 |
---|---|
間接生活介助 | 洗濯や掃除などの家事の援助など |
BPSD関連行為 | 徘徊や不潔な行為に対する後始末など |
機能訓練関連行為 | 歩行訓練や日常生活訓練の機能訓練 |
医療関連行為 | 輸液の管理や褥瘡の処置など、診療の補助 |
このように、要介護認定をするときは、日常生活における生活場面ごとの行為を基準とします。実際のケア時間やケアに必要な人材など、様々な面を考慮して決定します。
無料会員登録はこちら5. 要介護と要支援の具体的な状態の目安
要介護と要支援の段階は客観的に要介護認定等基準時間で違いがありますが、具体的な状態も違いがあります。
その段階ごとの状態について説明します。次の表にまとめているので、参考にしてください。
要支援 1 | 日常的な動作についてほぼ自らで行えることができる状態(入浴やお手洗いなどはほぼ自分でできるが、掃除などはできないとき) |
---|---|
要支援2 | 要支援1の状態に比べて自分でできることが減り、支援に加えて一部介助が必要な状態。介護サービスの利用をすることで、状態の維持や改善ができる(食事やお手洗いはできるが、入浴時に背中を洗えないなど) |
要介護1 | 立ち上がりや歩行が不安定な状態になり、部分的に介助をする必要がある場合(日常生活において少しの手助けが必要)立ち上がりや歩くことがうまくできなくなり、日常生活における介助が必要な状態(入浴時や着替えの時に手助けが必要、お手洗いの際にズボンの上げ下ろしの手助けが必要) |
要介護2 | 立ち上がりや歩くことがほとんどできなくなり、日常生活の大部分で介助が必要な状態(見守りがあれば着替えられるが、お手洗いや入浴時には一部手助けが必要) |
要介護3 | 立ち上がりや歩くことが困難になり、日常生活のほとんどの部分で介助が必要な状態。 (排泄、入浴時、食事に手助けが必要。暴言や暴力、徘徊などの認知症による症状) |
要介護4 | 立ち上がりや歩行が自分ではできず、食事などは介護がないとできない状態。(排泄・入浴・着替えなどに介助が必要) |
要介護5 | 寝たきりの状態で、日常生活のほとんどができなくなっている状態。意思の疎通が困難。(寝たきりで食事やおむつ交換、寝返りなどは介助なしでできない) |
6. 介護度別の利用可能なサービス
介護度によって、利用できる介護サービスが異なります。
介護度別にどのようなサービスが利用できるのか、以下の表にまとめました。
サービス | 要支援 | 要介護 |
---|---|---|
訪問介護・入浴・看護・リハビリテーション | ◯ | ◯ |
夜間対応型訪問介護 | × | ◯ |
定期巡回・随時対応型訪問介護看護 | × | ◯ |
通所リハビリテーション(デイケア)・通所介護(デイサービス) | ◯ | ◯ |
認知症対応型通所介護・地域密着型通所介護 | ◯ | ◯ |
小規模多機能型居宅介護 | ◯ | ◯ |
看護小規模多機能型居宅介護 | × | ◯ |
短期入所生活介護 | ◯ | ◯ |
短期入所療養介護 | ◯ | ◯ |
介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム) | × | △ |
介護老人保健施設 | × | ◯ |
介護療養型医療施設 | × | ◯ |
介護医療院 | × | ◯ |
認知症対応型共同生活介護 | △ | ◯ |
地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護 | × | ◯ |
地域密着型特定施設入居者生活介護 | ◯ | ◯ |
福祉用具貸与 | △ | △ |
特定福祉用具販売 | ◯ | ◯ |
住宅改修費の支給 | ◯ | ◯ |
7. 要介護と要支援の給付限度額について
要介護と要支援の給付限度額は要介護状態区分によって異なります。
以下の表で要介護状態の区分ごとの限度額(東京都目黒区)を説明します。
限度額は単位制となっているため、介護給付の1単位を10円と換算して費用を計算しています。
介護給付については現金での支給ではなく、サービス自体の現物支給です。
支給限度額以上のサービスを受ける場合には、超えた費用の全額は利用者が負担することになります。
要介護区分 | 区分給付限度額 | サービスの利用にかかる費用 |
要支援1 | 5,032単位 | 50,320円から57,364円 |
要支援2 | 10,531単位 | 105,310円から120,053円 |
要介護1 | 16,765単位 | 167,650円から191,121円 |
要介護2 | 19,705単位 | 197,050円から224,637円 |
要介護3 | 27,048単位 | 270,480円から308,347円 |
要介護4 | 30,938単位 | 309,380円から352,693円 |
要介護5 | 36,217単位 | 362,170円から412,873円 |
8. 要介護・要支援のまとめ
要介護認定は、介護の度合いを客観的に判断して数値化したものであり、それに沿ってさまざま介護サービスを受けることができます。
要支援は、日常生活を送る上で、支援が必要な状態であり、要介護は日常生活の全般で介護が必要な状態です。
要支援・要介護の状態・違いを理解し、介護サービスの利用や介護保険の申請時に役立てましょう。
無料会員登録はこちら