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介護

2022年5月24日

精神科デイケアとは?プログラムの内容や目的と効果、介護職の役割についても解説

高齢者の生活支援や障がい者の自立支援を行う福祉サービスの中には、老人介護の他にも「精神科デイケア」と呼ばれるものがあります。精神科デイケアとは名の通り、精神科による日帰りのリハビリテーションサービスのこと。
今回は、そんな精神科デイケアのサービス・プログラム内容、介護職員の役割などを解説します。精神科デイケアについて興味をお持ちの方はもちろん、これから福祉職への就職をお考えの方もぜひ参考にしてください。

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1. 精神科デイケアとは?


精神科デイケアとは、精神的疾患を抱えている人を対象に行われる日常生活での自立や社会参加、就労・就学を目的としたサービスおよび通所施設のことです。
精神科リハビリテーションの一つとされ、利用者はさまざまな内面的・対人的・実践的プログラムを通してリハビリを行い、早い段階での社会復帰を目指します。

■どんなプログラム?

精神科デイケアは高齢者の身体介護や生活援助を行う老人介護サービスとは違い、精神障害をもつ人を対象としているのが特徴です。スポーツや文化活動などのプログラムがあり、一般的には9〜15時の6時間にわたって行われています。

■精神科デイケアを実施している施設について

精神科デイケアを行なっている施設はさまざまであり、主な場所として次のようなところが挙げられます。

● 病院(単科病院、総合病院)
● 精神科クリニック
● 保健所
● 精神保健福祉センター

施設によってデイケアの目的やプログラム内容、サービスを提供する対象者は異なります。しかし、精神疾患をもっている方の日常生活および社会生活の自立、が狙いであることに変わりはありません。したがって、自分が介護職従事者としてどのような働き方をしていきたいのか、何をやりがいとしているのかを考えておくことが大切です。

■どんな人が利用できる?

精神科デイケアを利用できるのは、発達障害や精神障害をもつ精神科患者の中でも比較的症状が落ち着いており、医師により入院の必要がないと判断された方です。患者本人が社会生活や日常生活の改善・回復を希望している場合、もしくは医師や看護師から利用を進められる場合もあります。
また、近年では統合失調症やうつ病、双極性障害といった精神疾患のほか、アルコール依存症や認知症などを抱える方の利用も増えています。

■精神科デイケアのスタッフについて

精神科デイケアには精神科の医師をはじめ、看護師や精神保健福祉士、作業療法士、臨床心理技術者といった精神医療の専門家が所属しています。人員配置については施設の目的や規模によって異なるため、以下の表を参照してください。

施設の最大利用人数 人員配置の内訳

30人
● 精神科医師1人
● 作業療法士または精神保健福祉士、臨床心理技術者のうち1人
● 看護師1人

50人
● 精神科医師1人
● 作業療法士または作業療法の経験を有する看護師1人
● 精神保健福祉士または臨床心理技術者どちらか1人
● 看護師1人

70人
● 精神科医師2人
● 作業療法士または作業療法の経験を有する看護師1人
● 精神保健福祉士または臨床心理技術者のどちらか1人
● 看護師1人
● 精神科医師以外の従事者1人

■デイケア以外の精神科でのリハビリテーションとは?

デイケアを含め、精神科リハビリテーションには4つの種類があります。デイケア以外のリハビリテーションについては以下の通りです。

・ショートケア

ショートケアとは、午前もしくは午後の3時間だけ行われる短時間のリハビリテーションサービスです。そのため、特定のプログラムのみを受けたい方や、リハビリが初めての方によく利用されています。

・ナイトケア

ナイトケアは、夕方16時以降の4時間にわたってプログラムを受けます。朝の活動が苦手な方や仕事などで日中通えない方に向けたサービスです。

・デイナイトケア

デイナイトケアの場合、朝9時頃から活動を開始して夜8時頃まで過ごします。デイケアとナイトケアを組み合わせて行なっている施設が多いのは、生活のリズムを規則正しく整えることが目的のためです。

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2. 精神科デイケアの目的


精神科デイケアの大きな目的は精神患者の社会復帰や社会参加の後押し、疾患の再発防止です。加えて対人関係スキルの向上や就学・就職支援など、社会復帰後に必要とされる能力を身に付けることも意図されています。

■疾患の再発や再入院の防止

精神疾患の症状が安定している場合でも、少しのきっかけで再発・再入院してしまう方も多いのが現状です。したがって、精神科デイケアでは利用者の疾患が再発することを予防し、再入院を回避することが目的の一つとなっています。
そして常に精神疾患の専門家がいる環境下で患者一人ひとりが穏やかに過ごすことで、訓練を通し社会復帰を目指すのです。
一部の施設では自分の疾患について学ぶプログラムもあり、再発予防や再発時の対処に活かせるなど、対策方法もさまざまです。

■生活リズムの改善

通常の生活が難しくなるほどの精神疾患では、生活リズムが崩れがちです。そのため、精神科デイケアでは決まった時間に来所し、食事やプログラムなどの活動を通して規則正しい生活リズムに整えていきます。
また、デイケアの利用時間に合わせて起床・就寝することで、自宅での生活リズムを改善し、通勤や通学をスムーズに再開できるようにするのも狙いのひとつです。

■対人関係の訓練

精神科デイケアでは、利用者同士でさまざまなプログラムを行い、対人関係の訓練を図ります。家族や医師以外の人とかかわることは、学校や会社で求められるコミュニケーション能力を養うために欠かせないこと。
また、同じ悩みを抱える人同士が交流してコミュニケーションをとることによって自信が付き、社会復帰後の人間関係を築きやすくなるでしょう。

■就学や就職の支援

目的の一つに、利用者の就学や就職に対する支援もあります。パソコンをはじめとする作業能力を向上させるためのプログラムもあり、施設によっては資格・試験、ビジネスマナーといった講習を受けることも可能です。
面接練習などの就労支援がプログラムに組み込まれている場合もあり、個々の利用者に応じて社会復帰へのサポートをしています。

■本人と家族の心に余裕をもたせる

精神疾患をもつ方は自宅にいる時間が多くなりがちなため、家庭内でケアする家族への精神的負担が懸念されます。ケアの一環として施設に通うことにより、利用者本人と家族を離し、心に余裕をもたせるといった効果もあるのです。

3. 精神科デイケアのプログラムの種類と内容


精神科デイケアでは主にスポーツや文化活動などのプログラムを通して利用者の社会復帰を支援します。個別作業の他にグループで行うものもあり、同じ障害がある方との交流を行うとともに社会復帰で必要な能力を身に付けられるのが特徴です。

■文化系プログラム

文科系プログラムには、以下のようなものがあります。

● 料理
● 手工芸
● 塗り絵
● 音楽鑑賞
● カラオケ
● 俳句
● 短歌
● 書道
● 園芸
● 茶道
● アロマ

文化系プログラムでは、創作や趣味活動が大半を占めます。手作業や利用者同士の交流が多いことから、集中力やコミュニケーション能力の向上が可能。

■運動系プログラム

運動系プログラムには、以下のようなものがあります。

● ヨガ
● ストレッチ
● 卓球
● 体操
● ウォーキング
● バドミントン
● テニス
● ゲートボール
● バレーボール
● フットサル

体を動かすため、体力づくりや健康維持に効果があるうえにストレスを発散できます。また、スポーツを通して仲間と嬉しさや楽しさを共有でき、協調性を養えるのもメリット。

■ソーシャルスキル・トレーニング

ソーシャルスキル・トレーニングは「SST」と略されることもあり、日本語に直訳すると生活技能訓練または社会生活技能訓練という意味。自分の病気・障害について理解しつつ対処法を学ぶ心理教育の一つであり、ロールプレイやディスカッションをしながら対人関係の練習をします。
自発性や協調性も身に付くため、社会復帰を目指すうえで重要なトレーニングです。

■就職支援

就職支援の内容は、以下のようなものが実施されています。

● エクセルおよびワード
● ビジネスマナー
● プレゼンテーション
● 敬語
● 履歴書作成
● 面接対策

就職を希望する利用者は、会社で必要とされる基本的なパソコンスキルやマナーについて学べます。なかには企業見学や体験実習を実施している施設もありますが、就職先の案内はしていません。

■講義

精神疾患の特徴や治療法、対処法を知り、自分の障害との付き合い方について理解を深めます。

■行事関連

行事は以下のようなものが実施されています。

● バーベキュー
● 日帰り旅行
● クリスマス
● お花見

季節のイベントを仲間と楽しむことで交流が深まり、自宅と病院以外のよりどころが得られます。

■その他

発達障害がある方を対象とした施設の場合、障害の特性を知るための認知行動療法を取り入れています。またADHD(注意欠陥多動性障害)、自閉症スペクトラムといった障害向けのプログラムを行なっている施設もあります。

4.精神科デイケアの1日の流れ


精神科デイケアでは、1日6時間におよび施設で過ごします。
ただし、施設ごとにプログラムや内容は異なるため、参考の一つとしてお考えください。

時間 活動内容
9:00〜9:30 来所
9:30〜10:00 朝の会およびストレッチ
10:00〜11:30 午前プログラム
12:00〜13:00 昼食および休憩
13:00〜14:30 午後プログラム
14:30〜15:00 掃除および帰りの会


5. 精神科デイケアにおける介護職の役割


精神科デイケアのサービスやプログラムの内容について解説してきましたが、なかには介護の経験を精神科治療に活かしたいと考えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。じつは、精神科デイケアにおいても介護職従事者の需要は高まっており、介護で得た知識やスキルを活かせるケースがあります。

■仕事内容

精神科デイケアでは精神疾患をもっている方に対して行われるサービスであることから、介護職員の人員配置は特に定められていません。そのため、ヘルパー職ではなく一般職員として看護補助・看護助手、利用者の送迎といった業務を担当することがほとんどです。
ただし、高齢者や身体に障害をもっている方が利用者にいる場合、介護職で培った経験とスキルが活かされるでしょう。

■精神保健福祉士の有資格者は人員配置される

介護・福祉の相談支援を行うソーシャルワーカーの資格を持っている場合は、「精神科ソーシャルワーカー」として働けます。なかでも社会福祉士は、精神保健福祉士の資格が認められ、適切な人員配置が行われます。
精神保健福祉士は、精神科デイケア利用者および家族の相談役となる重要な存在。深い知識と技術を活用し、精神疾患をもつ人の社会復帰を支援します。

■精神科デイケアにおいて介護職は重要なポジション

近年、精神科リハビリテーションをはじめとする通院治療が精神科治療の主流を占め、さまざまな職種との連携が重要視される傾向にあります。そのため、介護施設や訪問介護などの介護サービスは、精神科デイケアにおいても大切とされているのです。介護に関する知識やスキルを他の場面で活かせることは、介護職経験者にとってさらなるステップアップにつながるでしょう。

6. まとめ


精神科デイケアは、社会復帰や社会参加を目指す精神疾患をもっている方にとって大きな手助けとなる存在です。精神科医師や作業療法士以外に介護職従事者の活躍も期待されていることから、今後ますますのサービス充実化が予想されるでしょう。
精神科に通院している人で社会復帰を目指したい、介護職の経験を精神疾患で困っている人に活かしたいといった場合には、精神科デイケアというのも選択肢の一つと言えます。

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デジタルマーケティング部

井上優喜

求人あるあるの求人作成・記事執筆を担当。 介護士として様々な施設形態での勤務実績あり。求職者目線での記事作成が得意。

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